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淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

ひろさちや著「いいかげんのすすめ」。仏教に関する本って何故こんなにも心が休まるんだろう。

2008年11月18日 | Weblog
 仏教評論家で一時大学教授でもあった、ひろさちや氏。
 彼の仏教に関する著作はとても多い。それに最近、新書でも彼の書いた本がかなり出版されている。
 格差社会、企業倒産、リストラ、地域コミュニティの欠如、ひきこもり、ニート・・・などなど。現代の日本は、金も心も破綻寸前である。誰もが何処かに闇を抱え、ストレスも次第に溜まってゆく・・・。
 漂流しているのだ、みんな。地図も食料も何もない漂うボートの上に立ち、みんな途方に暮れ、大海原の真ん中でさ迷っている。

 僕がひろさちやの本を初めて読んだのは、確か「仏教学講座(だと思う。間違ってたらご免なさい)」の第一巻「般若心経」だった。
 読んで心が、すーっとした。穏やかになった。救われた。気持ちが軽くなった。
 優しく解りやすい平板な文章なので、とてもすらすらと読み続けることが出来た。262文字の中に書き込まれている、ある意味、最強の人生への指南書だと断言してもいい。
 「般若」(ほとけとしての素晴らしい智慧と訳したらいいのだろうか)や「色即是空」などの言葉が踊り、原文のサンスクリット語からこの経典は様々な宗派へと伝達されていった。

 一切は「空」である。
 この言葉の響きだけで心が静かに休まってゆく。勿論、この深くて重い意味の、まだ単なる上っ面しか捉えてなんかいないけれど・・・。
 それでも、やっぱりこの最強の一文字に帰ってゆくのである。「空」。「空」。「一切は空である」。

 その、ひろさちや氏のPHP研究所から出版された「いいかげんのすすめ」を読んだ。
 この人の書いた仏教関連の本ってかなり多いので、内容的にダブっている部分もあったりする。それはご愛嬌ということで笑ってページを進めていただきたい。今回も様々な仏教語を材料に、優しく親切に説いている。

 そして、この本の白眉は何といっても、「思いのままにならないことを、思いのままにしようとしてはいけない」という、とてもシンプルだけれど含蓄のある言葉ではないか。
 この世界に、思い通りになることなど皆無に等しい。
 老いること、病気になること、家族のこと、お金のこと、恋人のこと、容姿のこと・・・。すべてはコントロール不可能な、どうにもならないことばかりだ。
 勿論ある程度、老けることや病気になることを抑えたり、整形して容姿を若干変えてみたり、金儲けに徹することは出来るだろう。でもそれには限度がある。

 その中にあって、人間である以上、生物である以上、これだけは本当にどうしようもならないもの・・・それは「死」だ。
 しかし人間は誰しも、他人は死ぬかもしれないけれど、自分だけはまだまだ死なないと思っている。本気で思っている。つまり、イメージしてない。

 ひろさちやは言う。
 がんばるなと。過去の終わったことは振り返るなと。自分の思うように他人はコントロールできないのだと。まだ来ない未来を今から思い煩うなと。
 今、この時間を生きよと。

 いいかげんとは、どうでもいいやと自暴自棄になれということではない。
 いいかげんは、良い、加減でもある。
 辞書によれば、「物の具合や物の程度をほどよくすること。また、ほどよく整えられた具合や程度」。

 でもなあ。それが中々難しいんだよね・・・ほんと。



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