淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

浦沢直樹×手塚治虫の漫画「プルートゥ」。ついに大団円を迎えたね。

2009年06月29日 | Weblog
 最近の浦沢直樹の漫画、どうも煮詰まっているように思えて仕方ない。
 「20世紀少年」もそうだったけれど、折角素晴らしいラストを迎えそうなのに、ズルズルと後日譚を描いてしまい、失敗しているのである。
 もう少し短く完結できたら、素晴らしい傑作になっていたのに・・・残念である。

 その浦沢直樹の「プルートウ」は、「YAWARA」、「モンスター」、「20世紀少年」など、数々の傑作漫画を手掛けた浦沢直樹と、偉大なる故手塚治虫の合作ということになる。

 オリジナルである「地上最大のロボット」は、昭和39年から40年に掛けて「少年」に掲載された作品で、かなり短い物語だ。
 
 「プルートゥ」のほうが、オリジナルより物語を深く掘り起こし、表現も豊かで迫力も増している。でもだからといって、浦沢直樹が手塚治虫の作品を凌駕していると短絡的に言い切れない。

 物語は意外と単純である。
 スイス林野庁所属のロボット、モンブランが山火事の現場でバラバラになって発見される。同じ頃、ドイツのロボット法擁護団体の幹部が殺害され、遺体の頭には角のようなものが突き刺さっていた。ロボットである特別捜査官ゲジヒトは、同一人物による犯行と考えて独自に捜査を進め、謎の犯人の標的が自分を含めた7体のロボットであることを突き止める。

 その「プルートゥ」が、ついに結末を迎えた。
 僕が買ったのは、通常版のコミックではなく、豪華版のほうである。
 豪華版には2冊の別冊付録がついてくる。少し高いけど。
 「終わりの音の巻」と、最終回「史上最大のロボットの巻」。豪華版がお勧め。

 それにしても浦沢直樹が凄いのは、手塚治虫の傑作「地上最大のロボット」を単になぞることなく、あえてそれを超えようと、大胆に再構築したことではないだろうか。
 それは成功しているといっていい。

 単純なリメイクでもなく安易なオマージュでもない。
 過去の素晴らしい遺産を継承し、そこに新たな生命を与えているのである。
 
 ラストは、ちょっとキュンとした。
 当然、正義は勝つ、愛はすべてを超える、正しいことをすると必ず報われる的な終わり方ではあるけれど、その手塚治虫が伝えたかったメッセージが、きちんと浦沢直樹にも伝播されているように思える。

 やはり只者ではなかった。
 手塚治虫も。
 それから、浦沢直樹も・・・。



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