淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

ゆきのまち映画館の黄昏 30

2010年11月10日 | Weblog
 「北」と「南」との戦争は日増しに激しさを増し、どちらも一進一退の攻防を続けていた。何が原因で戦争が始まり、何が原因でそれが拡大し、そして中立なわたしたちの村が何故戦場になったかなんて、わたしは知ろうとも思わない。
 村には長のほかに数十人が住んでいて、それぞれが家を持ち、それぞれの家族が慎ましい暮らしを営んでいた。近くの森で刈り取った樹木を四角の材木に削り込んで井桁(いげた)を作り、それを次々と積み上げ、校倉づくりの家を建て、そこにめいめいの家族が住んだ。家の中の、ひさしや天井、それから壁中に思い思いの模様を書き込み、時にはその上に、しっくいで重ね塗りをする。それはとても楽しい女と子どもたちの仕事で、男たちは狩りをしながら、少しばかりの畑を耕すことに専念した。



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