
今年の4月は、我が街の観測史上最も日照時間が短く、気温も最低記録だったという。
確かに寒かった。晴れた日はほとんどなく、毎日が肌寒く、雨も結構降っていた気がする。
なので、休日もスポーツジムに行く以外は部屋に籠り、ひたすら映画を観て過ごしていた。

待ちに待った待望の桜も、4月の20日前後に開花して、市内の所々、一斉に綺麗な花を咲かせていたけれど、ゴールデンウイークの29日なんて冷たい雨がずつと降り続いていて、外に出て花見をじっくり鑑賞するという気分にはまったくなれなかった。
暖房のクーラーをつけていないと部屋の中も冷え冷えとしていて、こんな四月も珍しい。

そして五月。
その初日となる木曜日は珍しく市内は雲一つない五月晴れ。
気持ちのいい風が吹いて、桜自体は散り始めてはいたものの、まだ満開に咲き乱れる木々もぽつぽつ見受けられ、心も少しだけれど晴れ晴れとなる。

そんな五月の初めの日は、仕事で某行政機関での打ち合わせがあり、郊外にある仕事場から車で向かった。
市内中心部エリアの数か所を行き来する必要があったので、逆に車で動くのが面倒臭く(一々駐車場を探して停めたり、そこからまた歩いたりと)、一旦、自宅の駐車場に停めて、そこから歩いて周ることにした。そっちのほうが数段速い。

それにしてもなんという素晴らしい天気なんだろう!
五月の風が心地よく、空には明るい太陽が燦々と降り注いでいる。
歩いていると少し汗ばむ、そんな暖かな気温だ。こんな日がずっと続いてくれたら嬉しいのに・・・。
ほんとに今年の冬は寒過ぎた。

一つ目の打ち合わせをクリアして、そこからまた歩いて、次なる青森県を統括している某ビルへと向かった。
まだ打ち合わせの時間まで30分程度ある。
ということで、合同庁舎向かいにあるコンビニに寄って珈琲を買い、隣接している「青い森公園」の中に入って朽ちた木製ベンチに腰掛け、独り、熱い珈琲を啜って時間をつくった。

快晴の空を見上げる。
あっ! 飛行機雲!
真っ白な線を描いて、青いキャンバスを南から北へとなぞっている。
眩しい太陽が降り注いでいて、着ているスーツを脱ぎたくなった。

遠くのベンチに腰掛けてぼんやりと虚空を睨んでいる中年男性のほか、あとは誰もいない。そんなひっそりとした街のど真ん中にある公園。
微かに国道四号線のコンクリートを擦る車の音やクラクションを鳴らす音が、まるで環境音楽のように聞こえてくる。
なんという、長閑で優し過ぎる五月の午後なんだろう!

至福の30分間が終わって、珈琲缶をコンビニの屑入れに入れ、そこから歩いて某施設へ。
まだ読んでいないミステリー小説でも持って、またあのベンチに腰掛け、一日中いようかな・・・。
ずーーっとこんな五月だったらいいのに。
ずーーっとこんな穏やかな明るい陽が降り注ぐ午後だったらいいのに。