月曜日から、またいつものような日常が始まった。
8時前には大学の「研究室」の鍵を開け、西側に面した4階の窓を開ける。月曜日は一日断食日なので、机の横に置いたペットボトルの水をちびちび飲みながら、溜まったメールをチェックして返信する内容を打ち込み、学生から届いた前期レポートを学部ごとに振り分けてチェックする。
こうして少しずつ、いつもの生活が戻って来る。
独りぼっち、9時間近く部屋の中に籠っていると、猛烈な人恋しさに襲われる。もちろん、何人かの関係者がやって来て話し込んだり、携帯の電話が鳴って相手とやり取りしたり、メールやラインでの情報交換もしているけれど、やはり、独りでずっとディスク・ワークしていると気が滅入る。
いつもなら、学生たちで行き交うキャンパスもひっそりと佇んでいて、蝉の鳴き声だけが聞こえている。
苦しい断食をクリアして、続く火曜日もまた、仕事場へと定時に到着した。
今日は朝から青空が広がっていて、千切れた白い雲がぷかぷか夏空に漂っている。
新聞を見ると、浜松では41.1度の厳しい暑さで国内最高タイを記録したとのニュースが一面で躍っていた。
パソコンに打ち込んでいると、友人からラインが届いた。
地元のペンクラブの役員でずっと作家活動をしていたY氏と、某ホテルの支配人で商工会議所のメンバーだったM氏が亡くなったという、突然の訃報を知らせるラインだった。
ペンクラブに入れよと誘ってくれたY氏、いつも笑顔で「どうしてる?」と声掛けをしてくれていたM氏、どちらも素晴らしい先輩だった。
特にY氏とは、市内中心部にある伝統小学校の統廃合問題では真っ向から対立する立場となり、互いに公式の場で激しく戦った。
でも、議論していてもまったく不快感や徒労感はなく、Y氏はこちらがガチンコで議論を挑んでも、ちゃんと冷静に最後まで聞き通し、自分の意見も正々堂々と述べ、ある意味とても清々しかったことを今でも鮮明に覚えてる。
ラインを読み終えて、何回かのやり取りを相手と繰り返す。
ラインを閉じた後、言いようのない寂寥感というか、虚しさというか、そんな気分が襲ってきた。
誰もが死んでゆく。どんな人間も必ずこの世から去ってゆく。ただ、健常者(だと勝手に思っているだけかもしれないけど)だけが、死への自覚が希薄なまま、あるいは死への恐怖を隠したまま、今いる世界をなんとなく生きている。
お昼になったので、学内にあるコンビニエンス・ストアに寄って、日本経済新聞と読売新聞、ヨーグルトとサンドイッチ、それに甘辛チキンを買って戻る。
ひとりぼっちのランチ。静かな館内。遠くに臨む山々の峰が、夏の青空よりも濃厚な色合いで聳えている。太陽がぎらぎら燃え滾っている。
暑い。
相変わらず、凄まじい鳴き声を出し続け、必死に蝉たちが叫んでいた。一瞬の夏に泣き叫ぶ、短い命を持った哀しい蝉たち・・・。
ジョン・レノンが言っている。
Everything will be okay in the end. If it’s not okay, it’s not the end.
終わりにはすべてが大丈夫なんだ。もしも大丈夫じゃないのなら、それは終わりじゃないってことなんだよ。
8時前には大学の「研究室」の鍵を開け、西側に面した4階の窓を開ける。月曜日は一日断食日なので、机の横に置いたペットボトルの水をちびちび飲みながら、溜まったメールをチェックして返信する内容を打ち込み、学生から届いた前期レポートを学部ごとに振り分けてチェックする。
こうして少しずつ、いつもの生活が戻って来る。
独りぼっち、9時間近く部屋の中に籠っていると、猛烈な人恋しさに襲われる。もちろん、何人かの関係者がやって来て話し込んだり、携帯の電話が鳴って相手とやり取りしたり、メールやラインでの情報交換もしているけれど、やはり、独りでずっとディスク・ワークしていると気が滅入る。
いつもなら、学生たちで行き交うキャンパスもひっそりと佇んでいて、蝉の鳴き声だけが聞こえている。
苦しい断食をクリアして、続く火曜日もまた、仕事場へと定時に到着した。
今日は朝から青空が広がっていて、千切れた白い雲がぷかぷか夏空に漂っている。
新聞を見ると、浜松では41.1度の厳しい暑さで国内最高タイを記録したとのニュースが一面で躍っていた。
パソコンに打ち込んでいると、友人からラインが届いた。
地元のペンクラブの役員でずっと作家活動をしていたY氏と、某ホテルの支配人で商工会議所のメンバーだったM氏が亡くなったという、突然の訃報を知らせるラインだった。
ペンクラブに入れよと誘ってくれたY氏、いつも笑顔で「どうしてる?」と声掛けをしてくれていたM氏、どちらも素晴らしい先輩だった。
特にY氏とは、市内中心部にある伝統小学校の統廃合問題では真っ向から対立する立場となり、互いに公式の場で激しく戦った。
でも、議論していてもまったく不快感や徒労感はなく、Y氏はこちらがガチンコで議論を挑んでも、ちゃんと冷静に最後まで聞き通し、自分の意見も正々堂々と述べ、ある意味とても清々しかったことを今でも鮮明に覚えてる。
ラインを読み終えて、何回かのやり取りを相手と繰り返す。
ラインを閉じた後、言いようのない寂寥感というか、虚しさというか、そんな気分が襲ってきた。
誰もが死んでゆく。どんな人間も必ずこの世から去ってゆく。ただ、健常者(だと勝手に思っているだけかもしれないけど)だけが、死への自覚が希薄なまま、あるいは死への恐怖を隠したまま、今いる世界をなんとなく生きている。
お昼になったので、学内にあるコンビニエンス・ストアに寄って、日本経済新聞と読売新聞、ヨーグルトとサンドイッチ、それに甘辛チキンを買って戻る。
ひとりぼっちのランチ。静かな館内。遠くに臨む山々の峰が、夏の青空よりも濃厚な色合いで聳えている。太陽がぎらぎら燃え滾っている。
暑い。
相変わらず、凄まじい鳴き声を出し続け、必死に蝉たちが叫んでいた。一瞬の夏に泣き叫ぶ、短い命を持った哀しい蝉たち・・・。
ジョン・レノンが言っている。
Everything will be okay in the end. If it’s not okay, it’s not the end.
終わりにはすべてが大丈夫なんだ。もしも大丈夫じゃないのなら、それは終わりじゃないってことなんだよ。