淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

NHK総合のドキュメンタリー番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」の「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」を観た。315

2024年05月24日 | Weblog
 一年に何度か「市民大学講座」等の講師に招かれることがあって、そこで、「音楽社会学」とか「繁栄する都市 衰退する都市」とか「日本の地方自治体」とかをベースに、パワーポイントを使って講話をすることがある。
 もちろん、限られた時間の中での発表ということなので、基本的な取っ掛かりの部分を紹介するだけで終わってしまうことが多いのだけれど、折角の機会なので、こっちもついつい力が入り、最後まで絶対に飽きさせないぞと意気込むから、聴講者・受講者に向かって色々な仕掛けを施すことがある。
 たとえば、アメリカの歴史を紹介する際、避けては通れないのが、白人の黒人に対する弾圧だったり悲惨な奴隷制度だったり、あるいはアメリカの都市や風土とその地域から生まれ出る音楽や文化との関係性だったりするわけだけれど、その辺りを紹介するときに使わせてもらうのがビリー・ホリディの歌う「奇妙な果実」という曲だ。
 CDラジカセを実際に持参して彼女の名曲「奇妙な果実」を流し、そこからアメリカの歴史と文化を語ってゆくというやり方をするのである。
 これには、ほとんどの受講者が引き込まれる。



 そんなビリー・ホリディの「奇妙な果実」をテーマにした、NHK総合のドキュメンタリー番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」の「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」の回を観た。
 「奇妙な果実」は、20世紀を代表する名曲として評価されている。
 歌詞を読むと、激しいショックを受けるだろう。木に吊るされて南部の風に揺れる黒人の遺体を、果実に見立てて歌っているからだ。
 この曲は、1939年、伝説の黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイによって発表された。そしてこの名曲は人々に受け継がれ、その後の公民権運動やブラックライブズマターへと続いてゆくことになる。



 NHK総合のドキュメンタリー番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」とはその名の通り、蝶のたった一度の羽ばたきが、様々に連鎖してゆくことで、ひいては世界そのものまでが変貌するという意味で、まさしくビリー・ホリデイが歌った「奇妙な果実」そのものも示唆している。



 ビリー・ホリディの人生は過酷極まるものだった。
 シングルマザーの母親は貧しい生活から抜け出そうと売春婦としてビリー・ホリデイを育て、その本人もまた貧しさから身体を売ってお金を稼ぐ生活を強いられる。
 やがてニューヨークでジャズ・シンガーとしてデビューしてからも、人種差別や麻薬・アルコール依存症に悩まされ続け、麻薬と過度の飲酒によって痩せ細り、ステージに立って歌うことすら困難になる。
 そして彼女は、惜しまれつつも44歳という年齢でこの世を去る・・・。


 彼女の生涯は映画にもなっていて、「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」という映画は、今なら「Amazon prime」でも視聴できる。
 NHK総合のドキュメンタリー番組「映像の世紀 バタフライエフェクト」、「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」では、後半にボブ・ディランも登場して、黒人に対する弾圧への抗議を込めた「ザ・デス・オブ・エメット・ティル」を歌い上げる貴重なシーンが登場する。
 ビリー・ホリデイが、音楽シーンに与えた影響はあまりにも大きい。





 
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