綾瀬はるかが主演して行定勲監督がメガホンをとった、映画「リボルバー・リリー」には公開前からかなり期待していた。
「予告編」もカッコよかったし、封切り後すぐさま劇場まで駆け付け、速攻で観た。
綾瀬はるかがクールで美しい元敏腕スパイを演じ、それも舞台は大正末期の1924年。共演者も長谷川博己にシシド・カフカに豊川悦司。そして映画の内容は、消えた陸軍の資金を巡って、その重要なカギを握る少年と出会った主人公による大逃亡劇というではないか。
期待するなというほうが無理である。
「予告編」の中では、綾瀬はるかがキレのあるアクションや美しさに彩られたGunさばきをみせていて、否が応でも観たくなる。
今回の映画には原作があって、ハードボイルド作家の長浦京による小説「リボルバー・リリー」だという。でも、まったく読んだことがなく、作家の名前も映画化を知るまでまったく知らなかった。
実は、少し観る前に若干の不安が頭の中を過ぎったことも事実だった。
監督が行定勲と聞いたからだ。
もちろん、行定勲監督の映画はこれまでもたくさん観て来たし、傑作と呼ばれる彼の作品は多い。
個人的に、「GO!」、「今度は愛妻家」(この映画には号泣してしまった)、「きょうのできごと a day on the planet」など大好きな作品がたくさんある。
ただしこの監督、多作の人であり、中には失望した映画もそれなりにたくさんあったりする。
映画「リボルバー・リリー」の監督が行定勲と聞いて不安に思ったのは、たぶん失敗作は撮らないだろうけど、だからといって、アッと驚くような傑作映画へと化ける、そういうアクションサスペンス作品にもならないのでは?ということだった。
もしかしたら可もなく不可もなく、ひたすら無難に創り上げるのではないか。特にあえて冒険もせず、与えられた条件下の中で、それなりの作品には仕上げるかも・・・そんな気がして仕方がなかった。
映画は約2時間。
物語は大正末期の1924年、関東大震災からの復興に湧く東京が舞台だ。57人の殺害に関与した経歴を持つ元敏腕女性スパイである小曽根百合は、引退をし、今は花街「玉乃井」で女将として暮らしている。
彼女はある日、列車内で陸軍から追われていた少年と遭遇して助けたことで、陸軍精鋭部隊から追われる身となってしまう・・・。
とにかく、アクション・シーンがまったく活きていない。
緊張感も高揚感も躍動感もない。物語自体の盛り上がりと相俟ってアクション・シーンも盛り上がってゆくものなのに最後まで平板で、綾瀬はるかの一生懸命さだけが上滑りしている。
ツッコミどころもたくさんあって、例えば陸軍に囲まれて弾切れになって立ち竦むしかない綾瀬はるかに向かって、突然、陸軍が「引けーっ」と号令を発して撤退してしまうのには正直唖然としてしまった。ふつう、そのままその場で捕まえるでしょ、丸腰になっちゃったんだから。とか・・・色々出て来る。
ああ。
期待していたのに・・・。