うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

日本の一番長い日(書籍)の感想のはずが、ちょっと話がずれて世代論。

2015年08月11日 | 本と雑誌

映画も始まったようで、この夏改めて注目されているようです。

半藤一利氏が、大宅壮一氏名義で本書を出版したのが50年前の今頃。先日ちらりと書いたが、50年前の日本は、オリンピック後の不景気で多少困ることもあったかも知れないが、新幹線も開業し、高速道路や地下鉄も次々とできて、テレビも賑やかにアニメなどを放映し始めた頃だ。しかし、終戦からまだ20年しか経過しておらず、当時の軍関係者は現役世代として、社会の第一線で活躍していたはずだ。

たぶん、社会全体としても先の大戦についての印象は今とは大きく違っていたのでしょうね。軍の関係者だけではないはずで、一般の人も子供も皆、ある方向に向かって日々何らかの活動をしていたはずですから。それが一気に崩れてしまえば、心理的な傷が残らないはずはない。そういう感覚は、繰り返し語られているのは知っていても、僕等にはたぶん生涯わからないかも知れない。

わずかにわかるのは、’バブル入行組’である僕等と、若い世代(といってももう30代か・・)の間の世代差を、何かのきっかけで実感するときだ。人は、育った時代の価値観や環境の影響から逃れることはできないのだろう。僕等はユルい世代だ。ただ、父母や祖父母、更に若い頃の上司たちは、厳しい時代を生き抜いてきて、その経験を僕等に直接伝えてくれた。そうやって僕等は、厳しかった時代を体で感じ取ることができた。

今の若い世代(といってももう30代か・・・)は、社会人となったはじめから、かつての輝きと行き先を失い、苦しむ日本社会に身をさらさざるを得なかった。著しく低下した大学生の就職内定率や、非正規雇用の増加、重くのしかかる社会保障費など・。しかし一方というか、それでも日本社会全体としては、言われるほど悲壮な状態でもなかったはずだ(まだ、などとは決して言いたくはないけど)。彼らの両親たちを含めて、全体としては昔よりは生活の水準は上がっていることは議論の余地はないだろう。

ただ、もしかしたら彼らの親達や、彼らの上司たる僕たちが、ユルさを伝承させてしまっているのかな、という疑念もないではない・。いや、5年くらい前に、そんな話をしたことがある。

そのときは、中堅層から上の世代(僕等のこと、以下いずれも世代は5年前時点)は日本が元気なときに若い世代として活躍して、豊富な経験を積んできて能力はあるが、バブル気分が抜けず社会に適応できなくなりつつある。その下の、30代くらいは就職氷河期に社会人になり、あるいはなりたくてもなれずに20代のうちにあまりしっかりした社会経験を積めずに年齢を重ねてしまった。そして更にその下の20代は、はじめから社会が厳しいことを自覚しているから、勉強熱心だし浪費などしないし、よほどしっかりしている、と。

しかし、どうかな。たしかに起業できるような気概を持った人はしっかりしているけど、それは世代とは関係ない。組織の中では、やはりなにか大切なものの伝承が大事で、たぶん僕等はそれを十分に果たしきれず、または下の世代が採用抑制とかで途切れてしまい、世代間のつながりがかけてしまったのかも知れない。

そして、今の若い世代(といってももう30代か・・・)もまた、そうした何らかの伝承を受け取れないまま、下の世代に接していくことになるのだろう。繰り返すが、しっかりしている人はいる。ただ、社会が方向性を失うのは、1世代単位ではなく、もうすこし長い世代交代を経て、だんだんになっていくのかな、という気がする。

なんだか全然本の感想になっていないが、無理矢理風呂敷を畳むとすると、日露戦争から、昭和20年の講話受諾まで約40年でしょう。社会というのは、そう急には方向を失うことはないが、一つの世代がずっと進路を見守ることができなくなった頃が、本当に危ない時期なのではないか。

ちょっとタイトルと話がずれちゃいましたね。昨日、ちょっとがっかりしたことがあったので、つい話が変わってしまいました。

映画も見る予定ですので、そのときにまた。

コメント
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