60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

縦書き、横書きと文字種

2007-10-08 22:52:35 | 眼と脳の働き

 縦書きと横書きとではどちらが読みやすいかという場合、眼の構造による生理的な観点からすれば横書きのほうが有利に思えます。
 目が二つ横についているので、視野は左右に広いので横書きのほうが長い文字列が自然に目に入ります。
 したがって、横書きのほうが楽に読めて理解もしやすいのではないか、と考えられそうです。

 どちらが速く読めるかという点については、小中学生では縦書きのほうが速く、年齢が進むにつれて差が少なくなり、大学生ではほとんど差がなくなるという実験データがありました。
 これは、おそらく文字の習い始めは縦書きが多く、学年が進むにつれ横書きに接する機会が増えるためと思われます。
 社会に出ると、ビジネス文書はほとんど横書きですし、広告チラシなども大部分が横書きですから、縦書きのほうが読みやすいという根拠は内容にも思えます。

 一方で、読んだ場合の眼の疲れやすさという点では、客観的な測定基準はありませんが、横書きのほうが疲れやすいという意見はあります。
 普通に考えれば縦書きよりも横書きのほうが、長い文字列が目に入るので疲れないように予想されます。
 逆に横書きのほうが疲れるというのは、生理的な問題よりも経験的な要素が多くかかわっている、ということではないかと考えられます。
 
 たとえば、国語の教科書が縦書きなので、単語(主として漢字語)は縦書きで覚えており、漢字熟語などは縦書きのほうが自然に頭に入るように感じます。
 実際、上の図で見るように、漢字熟語は縦書きのほうが横書きよりも見やすく頭には入りやすいように感じます(誰でもというわけでなく、年代とか経験によって異なると思いますが)。
 ひらがなや、カタカナになれば縦書きのほうが頭に入りやすいというほどではありませんが、アルファベットになるともちろん横書きのほうが読みやすくなります。
 
 図にはありませんが、数字(アラビア数字)になると、これはもう断然横書きが読みやすく縦書きは苦しくなります。
 そういう点では、ビジネス文書や広告チラシは数字が大きな役割を占めているので、横書きでなければならないということが分ります。
 従来の普通の小説や、読み物などは漢字かな混じり文は縦書きのほうが読みやすいと考えられますが、カタカナやアルファベットが多く使われるような文章になると事情が違ってくるでしょう。