60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

周辺視野で見る

2007-10-01 23:06:00 | 注意と視野

 上の絵はレンブラントの「夜警」という絵です。
 この絵は夜の光景であると思われていたこともありましたが、実際は昼の絵です。
 まん中部分が明るくはっきり見え、周辺部分が暗くぼんやりしていることから夜の光景と思われていたのですが、うえから光が降りてきていて、昼の光景なのです。
 昼なのに周辺部分がぼんやりと描かれているのは、眼でものを見たとき、まん中部分ははっきり見えるが周辺部分はぼやけて見えるということを表現しているためだとされています。
 私たちが普通に眼を開けてものを見ているときには、まん中の部分だけがはっきり見えるという意識はなく、周辺部分もはっきり見えているように感じています。
 これはものを見ているとき、一点を凝視するのではなく絶えず頭や目を動かしているためで、視線を向けた先はいつもはっきり見えているからです。

 下の最初の文字列を見ると、すべての文字がはっきり見えるように感じますが、これは無意識のうちに視線を動かして全体を見ているためです。
 ためしに行の先頭部分に視線を固定してみると、途中からどんな文字が表示されているのか分らなくなります。
 周辺部分が暗く見えるわけではないのですが、ぼんやりして文字の見分けがつかなくなるので光が足りないように見えるのです。
 実際は眼の視細胞が中心部分に集中し、周辺部分にはまばらにしかないので、光の刺激を受ける量が少ないのでぼんやりとしか見えないのです。

 文字列の真ん中の部分(SとAの間)に視点を固定して、じっと見つめると中心の五文字ははっきりと見えますが、中心から離れた部分はぼやけて見えます。
 極端に言えば二行目のように左右の両端が薄く、光の刺激量が足りないように見えます。
 目の中心から離れた部分は、視細胞まばらなので光の刺激量が足りないのと同じような見え方になるのです。
 焦点がまん中に合わせられているので、左右両端は焦点から外れてもいるので読み取りにくくなっているのです。
 
 三行目は見るときの焦点をまん中部分に合わせるのではなく、左右両端部分に焦点が合うようにしてみた場合の見え方を示したものです。
 まん中部分は焦点が合っていないので、ぼやけて見えるのですが視細胞が集中しているので読み取ることができ、周辺部分は視細胞がまばらでも焦点があっているのではっきり見えます。
 焦点を合わせ、中心部分で見ればはっきり見えて一番読み取りやすいのですが、そうすると読み取り範囲が狭くなりすぎます。
 そこで周辺視野でも文字を読み取れるようにするのですが、そのためには周辺視野に注意を向け、焦点を中心部分からはずしていわゆる反り眼(ソフトフォーカス)で見る必要があります。