図は視野と感度の関係(右目の場合)をあらわしたものです。
上の図の円は目の中心からの角度を表し、黄色い部分が見える部分詰つまり視野をあらわしています。
黄色い部分を囲む線は地形図の等高線にたとえていえば、等感線とも言うべきものです。
ともかく見えると言う範囲で言えば、眼の鼻よりは60度、耳よりは100度、上下はそれぞれ60度と70度です。
左の目はこれと左右対称ですから、両目の中心線を重ねれば、左の耳側が100度ですから、左右の視野は200度、上下は135度ということになります。
ところが右目の鼻寄りの視野と左目の耳寄りの視野が重なり合うのは60度の範囲で、左目の鼻寄りの視野と右目の耳寄りの視野が重なり合うのはやはり60度の範囲です。
したがって左右の眼の視野が重なり合うのは120度の範囲ですから、両岸の視野が重なり合う範囲は左右に120度、上下に135度ということになりますから、ある程度見えるという意味では上下でも左右でも同程度の範囲だといえそうです。
眼が二つ横に並んでいるのだから、当然左右のほうが視野が広いはずだと思うかもしれませんが、二つの眼の視野が重なり合う範囲は上下のほうがやや広いのです。
ところが、黄色い部分の内側にある等感線を見ると上下は35度ですが、耳寄りは50度ですからある程度よく見える範囲というのは、左右のほうが上下より広いということがわかります。
実感としても左右の視野のほうが、上下の視野よりも広いのは、ぼんやりとでもともかく見える範囲というだけでなく、ある程度はっきり見える範囲をとっても、左右のほうが上下より広いからです。
日本語は今でも縦書きのほうが主流ですが、世界的には圧倒的に横書きが主流です。
文字は順を追って線状に並べて記されていますから、普通に見れば横書きのほうが一度に多くの文字が見えます。
したがって横書き文字のほうが眼をあまり動かさないでも読むことができるということになります。
それでは横書きのほうが眼が疲れないかというと、必ずしもそうではありません。
人によっては横書きのほうが眼が疲れ、横書きが増えたせいで日本人の眼が悪くなったなどという人もいます。
どちらのほうが眼が疲れるというようなことは、一概には言えないのですが、横書きの法が視線を動かさなくてすむため、固視に近い状態で読み続けがちです。
縦書きの場合は一度にある程度の文字数を見ようとすれば、焦点距離を遠めにするか眼をすばやく動かさなくてはなりません。
そのため凝視をしないですむので、かえって眼が疲れにくいのです。