60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

目を動かすより視野を広げる

2007-04-16 23:01:51 | 文字を読む

 図のように緑、赤、青の色を25分の1秒提示した場合、三つの色ははっきり見え、三つの色が何色だったかを記憶しています。
 ところが同じ場所に25分の一秒ずつ連続して提示した場合は、三つの色を分けて見ることができません。
 色が重なり合ってしまってここの色を見分けることができないのです。
 各色はそれぞれ25分の1秒づつ提示されるので、それぞれ別に見えてもよさそうなものですが、別の色としては意識されないのです。
 三つの色が25分の1秒づつの間隔で提示されるので色が切り替わっているように見えはするのですが、三つの色が混ざり合ってひとつの色が明滅するように見えるのです。
 このとき見える色は三色を重ねた色(白)ではなく、なぜかオレンジ色に見えます。

 色でなく文字を提示した場合はどうなるかというと、「試」「行」「錯」「誤」という4文字を20分の一秒だけ提示した場合、少し慣れれば読み取って記憶することができます。
 ところが同じ場所に25分の一秒づつ連続して提示した場合は読み取ることができません。
 最後の「誤」という文字がかろうじて見分けることができるかもしれませんが、途中の文字は混ざり合って見分けることができません。
 4文字並べて見た場合は25分の一秒で4文字を読み取れたのに、同じ場所に1文字ずつ提示した場合は各文字につき25分の1秒ずつで合計1秒間かかってもすべての文字を読み取ることができないのです。
 4つの文字のうちどれかが瞬間的に見分けられたとしても、前後の文字は見分けられないので、読取率は同時に示した場合の4分の一以下となります。

 このよう結果から見ると、文字を読む場合には目を速く動かして見るより、いくつかの文字を同時に読み取ることのほうが良いということがわかります。
 あまり目を速く動かして見ると、目に入った文字を読み取れないうちに別の文字が目に入ってしまうので、脳の処理スピードが目の動きについていけないのです。
 特に年をとってくると、脳の処理スピードが遅くなるので、視野を広げて一度に見ることのできる文字数を多くする法が有利となります。

 映画のフィルムは毎秒24コマぐらいになっているそうですから、1コマは25分の1秒程度の提示になります。
 1コマずつが独立に切れ切れに見えず連続的に見えるのですが、これは1コマづつが連続的な映像だから動いて見えるので、各コマの連続性がなければ何が映っているかわからなくなります。
 むかし、野球の川上選手はボールがとまって見えたときがあったそうですが、ボールが飛んでくる各瞬間が切れ切れに見えたわけではないでしょう。
 これはボールを打つタイミングの感覚とボールの一瞬の見えが一致する瞬間があったのそのように表現したのだと思われます。