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拾い読み

2007-04-10 22:48:32 | 文字を読む

 日本語の漢字かな混じり文は、意味の部分は主として漢字で表記されているので、漢字の部分を拾い読みすれば速く読めるという説もあります。
 ところが実際にひらがなの部分を隠してしまうと、図のように意味はなかなか読み取れません。
 図の下が元の文ですが、カナを伏せた文章を読んでいたのでは元の文章の意味をつかむことが難しいことがよくわかります。
 一所懸命意味を読み取ろうとして推理をすればわかるかもしれませんが、そんなことをするより始めから飛ばさないで読んだほうが速く正確です。
 
 とはいっても、実際にいわゆる飛ばし読み、あるいは拾い読みをしようとした場合、漢字だけを読むということはできません。
 漢字やカタカナの部分に目を向ければ、そばにあるヒラガナは一緒に目に入ってしまいます。
 漢字だけを拾っていったつもりでも、ほとんどカナも目に入ってしまうのですから、拾い読みしたことにはなりません。
 拾い読みをするとすれば、注意を引く単語あるいは関心のある単語を拾い出してその周辺を読むということでしょう。
 漢字かな混じり文は、漢字が目立つので興味のある部分とか重要と思われる部分を探索しやすく、探索した単語の部分を読めば役に立つと期待できます。
 文章を通読しようとするのであれば、どこが重要なのかはあらかじめわかりませんから、拾い読みをしたのでは誤解することもあります。
 拾い読みの目的は関心のある部分を見つけて読むということなので、カナの部分を伏せて意味がとりにくいから拾い読みはダメというのは見当違いなのです。

 ところがニュース記事などの場合は、カナの部分を伏せても楽に意味がわかるという場合があります。
「11日■行■■■安倍首相■中国■温家宝首相■■■首脳会談■、羽田―上海・虹橋空港間■国際チャーター便■実現■共同文書■明記■■■見通■■■。」という文はこれだけ見ただけで意味はだいたいわかります。
元の文は「11日に行われる安倍首相と中国の温家宝首相による首脳会談で、羽田―上海・虹橋空港間の国際チャーター便の実現が共同文書に明記される見通しとなった。」なので、カナを伏せて読んでも意味が理解できたことが確認できます。
 ニュース文は固有名詞が多い関係で漢字の使用率が高く、文章が直線的なので漢字部分だけ示されても意味が理解しやすいのです。
 漢字だけ見ていけば意味がわかるというような説は、新聞などのニュース記事を読んでから思いついた説かもしれません。