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テルミンとJAZZ
テルミンやマトリョミンの話。私、こちろうこと相田康一郎のプロフィールは左メニューバーのCATEGORYを。
 



何も言葉に出さずとも分かり合えている2人。タイスがこちろうの胸に飛び込もうとしたその刹那。

「ちょっとお待ち!」
あまりの迫力にこちろうの頭の中にはワルキューレの騎行が鳴り響く。
「こちろう、っていったね。あんた、うちのタイスをどうしようと思ってんの!?。タイスはね、もうあたしたち、裏面の仲間なんだよ。勝手に連れて行こうなんて許されると思ってンのかい!?。」

「ち、ち、ちちち、、、、ち・ん・た・い・じ・ん・か・く!。」かくっ。じゃなくてガクッ。
「あっ、どうしたの。いきなり気を失わないでよ、こちろうさん。しっかりして!。」と、タイスが驚く。
こちろうはびびって失神して泡を吹いていた。

「なんだこりゃ。噂に違わぬ小心者だねー。まったく、まだ何にも言ってないのに。」
「おい、誰か水でもぶっかけてやりな。」

「へい、お嬢さん。」
・・・・ザバーッ。・・・・。

「うっ。」バケツの水をぶちまけられて、こちろうは、ようやく我に返った。

「あっ、ところでヒロシ、お前がなんでここにいるんだ。」
賃貸人格の命令にすぐにしたがって準備よくバケツの水をぶちまけた、みるからにその筋の風体をした30代半ばくらいの男が賃貸人格に話しかけている。
「あっしはいつだってお嬢さんのおそばでお嬢さんを見守っておりやす。お嬢さん、いつまでもこんなことやってねえで、早く組に戻ってくだせえ。親分が倒れてからもう2ヶ月、お嬢さんに戻っていただかないと、いろいろとおさまりのつかねえことも起こってきました。」

「ヒロシ、あたしは極道の世界になんか足を踏み入れたくないんだよ。こう、こんなふうにゲージツの世界で生きていきたいんだ。頼むから、帰って組の連中に伝えておくれよ。」

「裏面」のメンバーがひそひそ話。、、、がやがやがや、、、「・・・えっ?、なになに、賃貸人格さんって、そっちの筋の家の娘だったの?。」
「なによ、あんた、そんなことも知らなかったの。この界隈じゃ有名な中村一家の一人娘よ。」
「えーっ?、なんだか、ただものじゃないと思ったわ。不適な面構え、フツーじゃないもの。」
「あっ、もしかしてユキも中村っていう名前じゃなかったっけ?。」
「そうよ、あたしンチも系列の組よ。」
「ふーん、だからガラが悪いんだー。」
ボコッ!
「いたたたた。いきなりなぐらないでよ。」

「あたいはね、あの家とはもう関係ないの。今はカタギの暮らしよ。」「自然を愛するアウトドア派の暮らしをしてるって、知ってるでしょ。」
「あー、あの、風が吹くとすぐガラガラと壊れる掘っ立て小屋での暮らしのことね。」
ボカッ、ドスッ、ボコボコ。


「お嬢さん、それはともかく、コイツ、どうします。ボコボコにして半殺しにしときましょうか。それともいっそのこと・・。」
「ん?、起き上がってきたよ。話は聞いてやろうじゃないの。ボコボコにするのはそれからでも遅くないだろ。」
「へいッ。」

こちろうは我にかえり、ようやく起き上がって賃貸人格と向かいあう。
賃貸人格の隣にひかえるコワイ顔した中年のヤクザからも睨みつけられて、怖いが、ここは腹をくくるしかないようだ。
「・・・ち、ち、ちん、ちん、ちんちんちんちん、、」
「ちょっと、なんだよ、ちんちん、ちんちん、あたしのことをヘンな風によぶんじゃないよ。」
「このヤロー、お嬢さんにむかってチンチンだとー、コラー、ふざけてんのか!」
「ヒロシ、手出しはするな。」

「ち、ち、賃貸人格さん、オレはタイスがここに来るのをひきとめられませんでした。でも、タイスがいなくなってから、よくわかったんです。オレにはタイスのいない生活なんか考えられないって。」

さっきまでびびって気絶していたこちろうは勇気を振り絞って賃貸人格と向かいあっていた。こちろうの体の奥から普段は出ない力がみなぎってきているようだ。

「賃貸人格さんのゲージツは申しわけないけどオレにはよくわかりません。タイスにはオレといっしょに唄うキレイな歌が合ってます。これから先、タイスのことをもっともっと大事にします。そして2人で賃貸人格さんに負けないようなゲージツを創り上げていきます!。だから、お願いです。タイスをオレに返してください!。このとおりです。償いならなんでもします。」
こちろうはひざをつき、頭を地面にすりつけ、タイスを取り戻すため恥も外聞もかなぐり捨てて懇願した。

「あたしからも、お願いします。タイスはこちろうさんのこと、本当に愛してるんです。」
「がびこ!。あんた、タイスがいなくなってもいいのかい。一緒に唄えること、あんなに喜んでたのに。」
「もちろん、ちょっと残念だけど、でも、タイスはこちろうさんのところに戻ったほうが幸せだと思うんです。」

「で、タイス。おまえ、本当にこの裏面をやめて、この弱そうな名前のこちろうっていうやつのところに戻りたいのかい?。っていっても顔に戻りたいって書いてあるね。」
「わかった。と、いっても、あんたも覚悟をきめてこの裏面に入った仲間だ。これでやめるからにはきっちりと落とし前つけてもらうよ。わかってるんだろうね。」

「オトシマエって、いったいどうすれば、、、。」

タイスとこちろうは考えた。こちろうはボーッとしていた。指を失うのかなー、などと想像して、なんだかまた怖くなってきた。と、思ったら気絶した。アワアワ。

(さて、タイスはどんなオトシマエをつけようとするのか、次回をお楽しみに)


緊急報告。
当連続小説のヒロイン、タイスに会えるファンミーティング?。

10/16(日)19:00~。円盤(高円寺)におけるFOT東京サロン。1ドリンク付きで1,000円。
詳細はこちら

タイスも参加するマトリョミンデュエットなどのサロン終了後、タイスとの握手会、撮影会などもりだくさん。(・・・うそですが、ご希望とあらば、ホントニどうぞ。)


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