テルミンとJAZZ
テルミンやマトリョミンの話。私、こちろうこと相田康一郎のプロフィールは左メニューバーのCATEGORYを。
 



1月4日、五反田団主催・「新年工場見学会2005」を観てきた。場所はアトリエヘリコプター
1月2~4日までの公演の最終日。超満員。3日間4公演とも満員状態だったとのこと。

演劇、映画、絵画展示を渾然一体とした工場見学(ホンモノの工場・・・実際に使われているそうだ)であり、それぞれに、とても興味深く、楽しい演目であったが、ここでは基本的にテルミン演奏部分についてのみレビューする。
その他の全体像についてのレビューはこちらに詳しい。

打楽器アンサンブルの「オムトン」から今日はお二人で澤口希さん・高橋若菜さん。テルミンは佐藤沙恵さん。お三方とも着物姿でお正月していた。
マリンバ、テルミン、ジャンベ、キーボード、いろいろな打楽器、色々なおもちゃ等を使っての演奏。「重機に囲まれての演奏は格別な気分」だそうだ。観客にも音楽用のホールやライブハウスとはまた違った非日常性をたっぷりと味あわせてくれる環境である。意外なことにテルミンに関しては音響はよかった。テルミンの高音もキンキンせず、豊かに鳴っていた。あれだけいろんな重機や金物が転がっているのに、よく共振などおこらないものだ。

演劇に引き続いての演奏は、演出として3人の若者(男性)が部屋に集って酒を飲みながら、いい音楽を聞いて楽しんでいる様子を前景にして進められた。その3人のコ芝居がとてもわざとらしく素人っぽく、そのせいで微笑ましく、必要最小限の説明と観客の緊張を和らげる効果もあり、好ましかった。
最初はその道具立てや芝居仕立ての進行がかえって音楽の邪魔をするのでは、と少々の危惧も持ったが、杞憂であった。さすがである。

もっと書きたいことはいっぱいあるが、本題の演奏のレビューである。
佐藤さんのテルミンはピアノ伴奏による「夢のあとに」(フォーレ)、オムトンの澤口さん作曲の「若菜のマーチ」、「テルミン大教授に寄せて」(曲名ちょっと違ってるかも)は、マリンバなどの打楽器などとの合奏。オムトンと佐藤さんがこれまでも共演されているのは聞いていたが、どんなことになっているのか想像できなかった。果たして音は溶け合っているのか、馴染んでいるのか。
結果は私の耳にはとても心地よく、違和感無くすっと体に染み入ってきた。思うに共演者のお二人、とりわけ作曲者の澤口さんがテルミンという楽器をよく理解され、かつその音とオムトンの音を両方とも際立たせる力量をお持ちだからこそなせる技と感じた。
また、マリンバ演奏の「動」とテルミン演奏の「静」の対比が面白かった。腕から先のみならず、体を躍動させて演奏するマリンバ、どこまでもカラダは静止しさせつづけなければならないテルミン。でも、同じときに同じ音楽をいっしょに演奏している。なんとも不思議な光景である。

佐藤さんの演奏はいつもお聞きしているのと違わず、いや、いつにも増してやさしく響いていた。佐藤さんはオムトンとの共演の際もこの日のように、いつものように、やさしい音を響かせ続けて欲しいと思った。そしてそれが、音の立ち上がりのキリリとした打楽器にテルミンが対抗(?)できる唯一の手段であるとも思った。(対抗しないようにしたほうが良いとの意)
途中、マトリョミンの紹介もあり、やっぱりこれを出すと観客から笑い声が聞こえてくる。佐藤さんはムーンリバーをマトリョミンで演奏。
また聞きたい。
書かなかったお芝居、映画も本当に面白かった。満足。


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