蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

親族の基本構造第一部の補遺ヴェイユの証明 6

2021年11月17日 | 小説
(2021年11月17日)

前回(11月15日)にヴェイユが数式で解明した交差いとこ婚の仕組みを系統図に再現した。


本章の結論が下のスライドです。左図は交差いとこ婚の成立、数式とともに仕組みを展開図で示しています。図では兄が水平で嫁を貰えば、妹はたすき掛けで嫁に出る。この兄妹の婚姻形体の差異が交差いとこ婚の条件となります。それをヴェイユは右図(写真)で説明する。A(a1,a2)が条件I(並行婚姻)で嫁を取れば、B(b1,b2)はII(たすき掛け婚)で嫁を取る。a1の兄妹を視点にすると、兄は平行婚、妹はたすき掛け婚ーの仕組みを説明する。左の展開図を式で説明する。



さて若干のサンチマン(sentiment)を籠めたスライドです。運命の見えない赤い紐伝承は東アジアに広域に伝わる。妾(わらわ)は誰と結びつくかなど生まれた瞬間に決まっている。それが見えないだけ、年頃娘の思い込みでもあるのです。しかしなんと!ヴェイユがこの運命を紐解いた、f[f(Mi)]=g[g(mi)]の数式は古代の交差いとこ婚に起源が遡れるノダ。


ここで部族民(蕃神)の解釈。レヴィストロースは決して全周が一般化交換の部族社会を想定してはいなかった。4の階層がヴェイユモデルでは形成できない。

これが全周16回の一般化交換、ヴェイユモデル(既出)。

Murngin族の親族体系(の章)では4の階層(classe)に言及している。階層は「子の交換を限定にして」連結を強める支族と解釈します。するとヴェイユモデルから離れる限定+一般化交換の体系が浮かび出てくる。

上スライド(既掲載)は隣接のAranda族体系を展開図におとした。婿を一般化交換、子を限定交換の4支族モデルです。Aranda モデルを起点にしてMurngin 族体系を再考するシリーズを近々にBlog上梓します。

最後のスライドはオマケ。作成したが一葉では煩雑になった。なぜ「子が(息子娘とも)親と同じあるいは逆=条件i)とii)の婚姻形体に分かれると、交差いとこ婚が発生しないかを解説している。お時間に余裕(といっても2~3分読んだらすぐに完璧に分かる)お方に向けて張っておきます。


親族の基本構造第一部の補遺ヴェイユの証明 6(最終) の了
予告:ヴェイユの証明を本月後半から2として再開する。





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