ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

事業仕分けについてのパブコメ募集に一人でも多くの皆さんのご意見を!! (その3)

2010年06月01日 | 日記
パブコメ募集についてのブログの3回目ですね。パブコメに、ぜひとも皆さんのご意見を送ってください。そして、あなたのお友達にも、一人でも多くパブコメにご意見を出していただくよう、呼びかけてください。


https://www.net-research.jp/airs/exec/rsAction.do?rid=407716&k=346b632983


財務・経営センターに関係する項目の中で、皆さんにどうしてもご意見をいただきたいのは、16番、17番、18番の3つでしたね。5月27日に私の意見が簡単にまとめてあります。

さて、説明が足りなかったことの補足のつづきです。

<17番>
(3) 施設費交付事業、旧特定学校財産の管理処分、財産管理・処分・有効活用に関する協力・助言

この事業についての仕分け結論は「事業の廃止、不要資産は国庫返納」ということでした。

仕分け人のご意見としては、センターではなく国が財産処分をして、国立大学等の土地の売却費は国へ返納し、必要な予算であれば一般会計で要求すればよいではないか、というご意見でした。

私の意見は「当該事業は継続。施設費が大幅に不足している現状では、施設費交付事業は貴重。国立大学や財務・経営センターの資産は不要資産ではなく、国と地域の成長の源泉である国立大学、および地域医療の最後の砦である附属病院の健全な経営を図るために当該事業は必要不可欠」でしたね。

以前のブログでも、施設費交付事業の大切さはお話しました。

国立大学の建物を今後老朽化しないように維持するためには、毎年約2200億円の資金が必要なのですが、一般会計からは約900億円程度しか措置されておらず、全然足りません。それを少しでも補うために、毎年約50億円程度、当センターが各国立大学に修繕費を配分しているんですね。特に地方の小さな大学にとっては、この修繕費がたいへん貴重な資金となっています。

この財源をどうしているかというと、平成16年の法人化の時に、当センターが国から承継した国立大学の土地(財産)を順次売却して得た金と、そして、国立大学法人のキャンパス移転の時に、もし土地の売却益が生じた時には、その半分はその国立大学法人が、残りの半分はセンターに納付してもらって、それを各国立大学に配分しています。

これには、各国立大学法人の間で、最初から大きな資産の格差がある状況を、少しでも均等化するという大切な役目があります。どんな田舎にある小さな国立大学でも、その地域住民にとっての重要性は、大きな大学と全く同じだと思います。

現在センターが売却予定で所有している土地は、時価で約400億円近くありますが、これは売却されれば各国立大学に修繕費として交付され、まったく足りない施設費を補っているわけで、 “不要資産”では断じてありません。

これを国に返して、必要な施設費は一般会計に要求して獲得すればいいではないか、という仕分け人のご意見ですが、今まで、一般会計でいくら要求しても、必要な施設費の半分以下しか措置されていないわけですから、現実的にはありえないことだと思います。

それから、もう一つ、国立大学病院は、平成16年の法人化の時に、約1兆円の借金を受け継ぎ(つまり夕張状態)、しかも、病院運営費交付金を大幅に削減され、資金繰りに行き詰まるようになりました。大学病院の経営は、少しの環境の変化により、数億円単位ですぐに浮沈します。資金繰りがショートすれば、教育研究費から補填せざるをえません。

私は、安定的に確保するべき教育・研究費が、不安定な病院経営の浮沈に左右されて不安定化することは、本来あってはならないことだと考えます。

このような、大学病院の経営危機が突然おこった時に、この財務・経営センターが、その融資事業や交付事業を活かしてセーフティネット機能を提供できれば、絶対につぶしてはならない地域医療の最期の砦である大学病院、そして、教育・研究費の安定的な確保のために、たいへん重要な危機管理の役割を果たすことができると考えます。危機管理は迅速に機動的に対応する必要がありますが、この点で小回りの利く財務・経営センターがセーフティネット機能を持つことは最善と考えます。

財産管理・処分・有効活用に関する協力・助言も、個々の大学法人にとっては、土地の売買はそれほど頻繁に生じるものではなく、経験のある職員が少ないので、やはり当センターの存在がたいへん役にたっています。これもスケールメリットですね。また、財産処分に関係する業務を国へもっていっても、その経費や労力は変わらないわけですから、経費の節減にはなりません。
コメント
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