こんにちは/こんばんは。
先週は「寒の戻り」のような状態になり、またマイナスになったり雪が降ったり強風が吹いたりというアイスランド的天気が続きました。出かける時に、長いダウンにしようか?短いダウンでいいか?普通のコートにしようか?と迷う時期ですね。
日本では年度末の一週間になってしまいましたね。卒業シーズンはもう過ぎちゃったか?入学・入社の方がこの時期のメインのイベントですかねえ?
清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Kameron_kincade@unsplash_com
アイスランドでは今月の末日31日が復活祭の日曜日となります。復活祭はキリスト教文化のもとにある地域では、かなりメジャーな祭日で、実際今日から始まる一週間は「聖週間」と呼ばれる特別な週になります。
え〜とその前に、日本では馴染みがない復活祭ですが、これは「移動祭日」と言って毎年日付が変わります。クリスマスのように移動しないのは「固定祭日」です。日本で復活祭が定着しないのは、「移動祭日」の故に商業化するのが難しいからだ、という意見を以前聞いたことがあります。
「商業化」と言うのは俗な話しですが、確かに「バレンタインデー」「ホワイトデー」「ハロウィーン」とかを見ていると、商業的なバックアップがあるからこそブームになってる、感はありますね。
この復活祭、アイスランド語ではPaskarパスカーと言います。男性名詞なのですがなぜか複数形で、単数は存在しないようです。ちなみに英語ではEasterです。Easterという名称は、ゲルマン神話の春の女神Eostreから来ているそうで、なんでも紀元6世紀あたりに、キリスト教とゲルマン神話が重なり合って、その名称ができたんだそうです。これは受け売り情報です。
Paskarの方はもう少しはっきりとしていて、これはヘブル語のPesachペサハからきています。ペサハは「過ぎ越し(の祭り)」であり、英語ではPassoverと呼ばれるものです。ちょっと、こんがらがってきそうな言葉の推移なので、説明させてください。
春の女神Eostre
Myndin er ur Wikipedia.org
もともとあったのはユダヤ教のメジャーな祭りである「過ぎ越しの祭り」ぺサハです。今でもあります。この祭りは、ユダヤ人にとっては大切なもので、エジプトの地で奴隷だったユダヤ人が、神の保護の下、モーセによって大脱出劇を果たしたことを記念するための祭りです。
その際に、神はユダヤ人を解放しないエジプト人の頑なさを懲らしめるために、エジプト人とその家畜の「初子」を病にかけたのですが、ユダヤ人には自分の家庭のドアに子羊の血を塗るように指示を与え、見分けるための印としました。そしてユダヤ人の家庭には病が入り込まないようにしたのです。つまりユダヤ人の家庭を病が「過ぎ越し」たわけです。これを記念するのが「過ぎ越しの祭り」なのです。
そして、イエス・キリストが捕えられ十字架の刑に処された出来事は、まさにこの過ぎ越しの祭りの只中に起こったものでした。過ぎ越しの祭りも、一週間ほどかかるお祭りで、一日こっきりのものではありません。イエスが十字架に付けられたのが金曜日、復活したのが日曜日とされています。そしてこの日曜日が「復活祭の日曜日」Easter Sundayとなったわけです。
要するに、もともとユダヤ教の祭りだったところへ、新しくキリスト教の祭りが重なってしまったわけです。そのため、キリスト教の教会でも復活祭の祭りのことを指してPassoverと呼んでしまうこともあるみたいです。
「いい加減だな」とお思いかもしれませんが、キリスト教はユダヤ教の土台の上に建っていますし、ユダヤ教からの遺産をすべて否定しているわけでもありません。いろいろなユダヤ教からの遺産は、キリスト教の中でも大切な財産として保たれているのです。
Paskarも明らかに「過ぎ越し祭」を思う流れの中で、アイスランド語での復活祭を指す言葉となりました。
聖週間の始まりは「シュロの日曜日」シュロとはPalm tree
Myndin er eftir Avel_chuklanov@unsplash_com
ところで、初期の頃はユダヤ教の「過ぎ越しの祭り」とキリスト教の「復活祭」は、毎年同じ時期になっていたわけですが、4世紀頃の公会議で、教会は復活祭の独自の算定の仕方を決めました。以降、「過ぎ越しの祭り」と「復活祭」はまったく同じ時期ではなくなっています。ちなみに、今年2024年の過ぎ越し祭は4月の23日からの一週間だそうです。
さて、そういう復活祭を前にしての今日の日曜日からの一週間が「聖週間」です。「せいしゅうかん」とタイプすると、一番先に出てくる転換が「性習慣」であることはご愛嬌です。(*^^*)
アイスランドではこの一週間は学校はお休みとなります。加えて、木曜日と金曜日は一般人も加えての「国民の祭日」です。木曜日は「聖木曜日」あるいは「洗足木曜日」とも呼ばれます。キリストが弟子たちと最後の晩餐を取ったのがこの日であり、また弟子たちの足を洗ってあげた、という逸話が残されています。
アイスランド語では「洗足」の「足」が脱落していて、単に「きれいにする日」Skiradagurとなってしまっています。
過ぎ越し祭で食べることになっている食事の例
Myndin er ur History.com
金曜日は英語で言うところのGood Fridayで、キリストが十字架に付けられた日であり、日本の教会では「受苦日」とか「受難日」とか呼ばれていると思います。アイスランド語ではFastdagurinn langiファストダーグリン・ランギ「長い金曜日」と呼ばれます。
私が初赴任したのは名古屋の教会で、隣りがガソリンスタンドでした。もちろん「聖金曜日」だの「受苦日」だの、日本社会では知らないのがフツーですから、聖金曜日でもサザンとか景気の良い曲が一日中かかっていました。ああいう環境では「苦しみ」を偲ぶのはなかなか難しいかも。
アイスランドでは、そういう点では楽ですね。聖金曜日は、私の個人的な感想では「静か」です。なんとなく「はしゃいだり騒いだりする日ではない」という雰囲気があります。
私がアイスランドに来た頃はもっと顕著で、すべてのお店もビジネスもお休みになってしまっていました。ワタシら地元民はいいのですが、そんなことを露知らずこの時期に来てしまったツーリストの人たちはとんだ災難でした。だって、カフェもレストランも開いてないし、スーパーもしかり。まさに「受苦日」
今では随分とゆるやかになって、相当数のお店は開いていますし、生活に支障があるということはまずないでしょう。良く言えば「フレキシブル」、悪く言えば「世俗化」です。
聖週間、祝日が二日もあるにしても、私ら教会関係者には「そんなの関係ねー」であって、やることは山とあります。今週の個人的目標は:「汝、忙しいと言うなかれ」です。牧師がですねえ、「忙しい、忙しい」と言いながら顔を引きつらせているようなのは... ダメですよ。周りの人を追いやってしまいますからね。
というわけで、ワタシは今週ものんびり生きます。(「行きます」の打ち間違えではなく「生きます」です)(*^^*)
あ、そうそう。前回「A Iで翻訳したままの本文、どのパラグラフでしょうか?」というしょうもないクイズを出しました。答えはですね:
三枚目の写真の後、
「しかし同時に、ここに誘惑があります。」から始まって、 「料理のレシピ」を書きたい場合など、場合によってはこちらの方がずっと簡単かもしれません。 (アイスランド語で「レシピ」を書くのはとても複雑です)
までの、ふたつの段落でした。よーく読むと、AIっぽさが感じられるかもしれません。
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Church home page: Breidholtskirkja/ International Congregation
Facebook: Toma Toshiki
先週は「寒の戻り」のような状態になり、またマイナスになったり雪が降ったり強風が吹いたりというアイスランド的天気が続きました。出かける時に、長いダウンにしようか?短いダウンでいいか?普通のコートにしようか?と迷う時期ですね。
日本では年度末の一週間になってしまいましたね。卒業シーズンはもう過ぎちゃったか?入学・入社の方がこの時期のメインのイベントですかねえ?
清涼感アップ用ピック
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アイスランドでは今月の末日31日が復活祭の日曜日となります。復活祭はキリスト教文化のもとにある地域では、かなりメジャーな祭日で、実際今日から始まる一週間は「聖週間」と呼ばれる特別な週になります。
え〜とその前に、日本では馴染みがない復活祭ですが、これは「移動祭日」と言って毎年日付が変わります。クリスマスのように移動しないのは「固定祭日」です。日本で復活祭が定着しないのは、「移動祭日」の故に商業化するのが難しいからだ、という意見を以前聞いたことがあります。
「商業化」と言うのは俗な話しですが、確かに「バレンタインデー」「ホワイトデー」「ハロウィーン」とかを見ていると、商業的なバックアップがあるからこそブームになってる、感はありますね。
この復活祭、アイスランド語ではPaskarパスカーと言います。男性名詞なのですがなぜか複数形で、単数は存在しないようです。ちなみに英語ではEasterです。Easterという名称は、ゲルマン神話の春の女神Eostreから来ているそうで、なんでも紀元6世紀あたりに、キリスト教とゲルマン神話が重なり合って、その名称ができたんだそうです。これは受け売り情報です。
Paskarの方はもう少しはっきりとしていて、これはヘブル語のPesachペサハからきています。ペサハは「過ぎ越し(の祭り)」であり、英語ではPassoverと呼ばれるものです。ちょっと、こんがらがってきそうな言葉の推移なので、説明させてください。
春の女神Eostre
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もともとあったのはユダヤ教のメジャーな祭りである「過ぎ越しの祭り」ぺサハです。今でもあります。この祭りは、ユダヤ人にとっては大切なもので、エジプトの地で奴隷だったユダヤ人が、神の保護の下、モーセによって大脱出劇を果たしたことを記念するための祭りです。
その際に、神はユダヤ人を解放しないエジプト人の頑なさを懲らしめるために、エジプト人とその家畜の「初子」を病にかけたのですが、ユダヤ人には自分の家庭のドアに子羊の血を塗るように指示を与え、見分けるための印としました。そしてユダヤ人の家庭には病が入り込まないようにしたのです。つまりユダヤ人の家庭を病が「過ぎ越し」たわけです。これを記念するのが「過ぎ越しの祭り」なのです。
そして、イエス・キリストが捕えられ十字架の刑に処された出来事は、まさにこの過ぎ越しの祭りの只中に起こったものでした。過ぎ越しの祭りも、一週間ほどかかるお祭りで、一日こっきりのものではありません。イエスが十字架に付けられたのが金曜日、復活したのが日曜日とされています。そしてこの日曜日が「復活祭の日曜日」Easter Sundayとなったわけです。
要するに、もともとユダヤ教の祭りだったところへ、新しくキリスト教の祭りが重なってしまったわけです。そのため、キリスト教の教会でも復活祭の祭りのことを指してPassoverと呼んでしまうこともあるみたいです。
「いい加減だな」とお思いかもしれませんが、キリスト教はユダヤ教の土台の上に建っていますし、ユダヤ教からの遺産をすべて否定しているわけでもありません。いろいろなユダヤ教からの遺産は、キリスト教の中でも大切な財産として保たれているのです。
Paskarも明らかに「過ぎ越し祭」を思う流れの中で、アイスランド語での復活祭を指す言葉となりました。
聖週間の始まりは「シュロの日曜日」シュロとはPalm tree
Myndin er eftir Avel_chuklanov@unsplash_com
ところで、初期の頃はユダヤ教の「過ぎ越しの祭り」とキリスト教の「復活祭」は、毎年同じ時期になっていたわけですが、4世紀頃の公会議で、教会は復活祭の独自の算定の仕方を決めました。以降、「過ぎ越しの祭り」と「復活祭」はまったく同じ時期ではなくなっています。ちなみに、今年2024年の過ぎ越し祭は4月の23日からの一週間だそうです。
さて、そういう復活祭を前にしての今日の日曜日からの一週間が「聖週間」です。「せいしゅうかん」とタイプすると、一番先に出てくる転換が「性習慣」であることはご愛嬌です。(*^^*)
アイスランドではこの一週間は学校はお休みとなります。加えて、木曜日と金曜日は一般人も加えての「国民の祭日」です。木曜日は「聖木曜日」あるいは「洗足木曜日」とも呼ばれます。キリストが弟子たちと最後の晩餐を取ったのがこの日であり、また弟子たちの足を洗ってあげた、という逸話が残されています。
アイスランド語では「洗足」の「足」が脱落していて、単に「きれいにする日」Skiradagurとなってしまっています。
過ぎ越し祭で食べることになっている食事の例
Myndin er ur History.com
金曜日は英語で言うところのGood Fridayで、キリストが十字架に付けられた日であり、日本の教会では「受苦日」とか「受難日」とか呼ばれていると思います。アイスランド語ではFastdagurinn langiファストダーグリン・ランギ「長い金曜日」と呼ばれます。
私が初赴任したのは名古屋の教会で、隣りがガソリンスタンドでした。もちろん「聖金曜日」だの「受苦日」だの、日本社会では知らないのがフツーですから、聖金曜日でもサザンとか景気の良い曲が一日中かかっていました。ああいう環境では「苦しみ」を偲ぶのはなかなか難しいかも。
アイスランドでは、そういう点では楽ですね。聖金曜日は、私の個人的な感想では「静か」です。なんとなく「はしゃいだり騒いだりする日ではない」という雰囲気があります。
私がアイスランドに来た頃はもっと顕著で、すべてのお店もビジネスもお休みになってしまっていました。ワタシら地元民はいいのですが、そんなことを露知らずこの時期に来てしまったツーリストの人たちはとんだ災難でした。だって、カフェもレストランも開いてないし、スーパーもしかり。まさに「受苦日」
今では随分とゆるやかになって、相当数のお店は開いていますし、生活に支障があるということはまずないでしょう。良く言えば「フレキシブル」、悪く言えば「世俗化」です。
聖週間、祝日が二日もあるにしても、私ら教会関係者には「そんなの関係ねー」であって、やることは山とあります。今週の個人的目標は:「汝、忙しいと言うなかれ」です。牧師がですねえ、「忙しい、忙しい」と言いながら顔を引きつらせているようなのは... ダメですよ。周りの人を追いやってしまいますからね。
というわけで、ワタシは今週ものんびり生きます。(「行きます」の打ち間違えではなく「生きます」です)(*^^*)
あ、そうそう。前回「A Iで翻訳したままの本文、どのパラグラフでしょうか?」というしょうもないクイズを出しました。答えはですね:
三枚目の写真の後、
「しかし同時に、ここに誘惑があります。」から始まって、 「料理のレシピ」を書きたい場合など、場合によってはこちらの方がずっと簡単かもしれません。 (アイスランド語で「レシピ」を書くのはとても複雑です)
までの、ふたつの段落でした。よーく読むと、AIっぽさが感じられるかもしれません。
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Church home page: Breidholtskirkja/ International Congregation
Facebook: Toma Toshiki
コメントいつもありがとうございます。
そうですね、冗談ではなくAIに管理されないように管理して欲しいものです。
AIを見破るのは、私には難しいです!
お休みですか?そうなんでしょうね。私は自分が9-5の仕事ではないので、そういう感覚がなくなってしまっています。(^-^;
AIに騙されないように、互いに気をつけましょう。これからますます精巧になっていくには間違いありませんから。