昨日のモルグンブラーズ紙に、今年のこれまでの九ヶ月間のアイスランドでの人の移住に関する記事が出ていました。ここでいう「移住」とはアイスランドから外国へ移って行くことと、逆に国外からアイスランドで移って来ることを意味します。
もちろん観光客はここには入らず、相当な期間を国外または国内で過ごす人たちが対象です。どのようにしてそれが分かるのかというと、基本的には「法定住所」の抹消(国外へ移住する場合)と登録(国内へ移住して来る場合)の統計によります。
この法定住所は海外も含めてひとり一カ所しか登録できない原則になっているので、人の移住の動きを測る上ではかなりしっかりとした根拠になります。もっとも季節労働者のように、本国の法定住所を維持しながらこちらへ来る人もありますので、それは何か別の資料で補足的に計算するのでしょう。機会があったら調べてみたいと思います。
さて記事によると今年に入ってからの九ヶ月間で海外へ移住したアイスランド人は2.570人、アイスランドへ帰ってきたアイスランド人は2.550人で、僅かに出て行った人の数がお帰り組を上回っています。
外国籍の人をみると、アイスランドへ移って来た人の数は3.060人、出て行った人の数は1.630人でこれは1.430人というかなりはっきりとした増加になっています。
詳しくもとの統計を見たわけではないので断言はできませんが(アイスランド人は統計好きです。これについては別の機会にまた)、外国籍の増加組の大多数はヨーロッパからの移住組と思われます。
アイスランドはEUには加盟していませんが(加盟申請はしていたのですが、喧々諤々の議論があり、今は加盟申請を休止しています。これについても機会を改めて)EEA(ヨーロッパ経済機構)には加盟しており、そこでの条約によって加盟国の市民は自由にアイスランドへやって来て働くことができます。もちろんアイスランド人がEEA加盟国へ行って働くことも可です。
このようにEUもしくはEEA内では「国境」の敷居はどんどん低くなっているのですが、逆にEUとEU「外」の敷居はどんどん高くなってきている感があります。実際に日本を含めてのアジアやアフリカ、アメリカ大陸からの移住を実現するには二重三重のチェックポイントをクリアしなければなりません。
移住を可能にするには「外国人法」が定めるみっつの条件をまず満たす必要があります。1)仕事があり自身の経済をまかなえること、2)始めの半年間をカバーする医療保険に入っていること、3)保健衛生の基準を満たす住居を確保していること、のみっつです。
保険や住居はさておいて、最大の山は仕事です。「職探し」はそれ自体困難なことなのですが、移住者が職を探すのは輪をかけて難しくなっています。
例えば日本人がこちらで就労ビザを得るには「入国前に労働許可を得ていること」が求められます。ところが労働許可を申請するには具体的な雇用者との契約書が必要になります。つまりこちらへ来る前に日本でアイスランドでの仕事の契約と許可を得ていないといけないわけです。
自分自身がその場にいない状況で職を得るというのは、ほとんど奇跡的なことだと思われます。あるいは取りあえず職探しで現地に行ってみるか?という向きがあるかもしれませんが、法律上は普通のツーリストビザでの職探しも禁止されています。まあ、これはかなりザル法でしょうが。
ところがこれだけではありません。先があります。空いている仕事はまずアイスランド人またはEEA内の労働者にあてがわれます。EEA外の市民に労働許可を発行できるのは、その当該職を管轄する労働組合から「アイスランド人またはEEA市民からはアプライがない」という承認が必要なのです。
ですからEEA外の人が就労できるのは、アイスランド人もEEAの人も就きたがらない仕事が残っている場合、ということになってしまうわけです。実際そのような仕事はいつでもあるようですが、日本と同じく3Kに類する仕事のようです。
もちろん労働許可の発行についての例外もあります。例えば高度な専門性を必要とする仕事をする人の場合で、スポーツ選手やコーチ、語学の教師、特定の民族料理のシェフなどがその代表でしょう。この場合は先に述べたような条件を飛び越して労働許可が発行され得ます。スポーツ選手は国籍も取得しやすいんですよね。これもどっかとよく似ている。
このようにEEA外からの移住を難しくしている規定は不公平な感じに思えるのですが、当該国とアイスランドという二国間で同等の権利が相互に与えられない限りは、変えることは難しいでしょう。
日本-アイスランドに限っていえば、アイスランドから日本へ怒濤のように労働者が流れて行くというような恐れは事実上ないでしょうから、特別に二国間協定でも結んでくれたらいいのにな、と考えちゃいます。双方とも益するところが多いと思うのですけどねえ...
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
もちろん観光客はここには入らず、相当な期間を国外または国内で過ごす人たちが対象です。どのようにしてそれが分かるのかというと、基本的には「法定住所」の抹消(国外へ移住する場合)と登録(国内へ移住して来る場合)の統計によります。
この法定住所は海外も含めてひとり一カ所しか登録できない原則になっているので、人の移住の動きを測る上ではかなりしっかりとした根拠になります。もっとも季節労働者のように、本国の法定住所を維持しながらこちらへ来る人もありますので、それは何か別の資料で補足的に計算するのでしょう。機会があったら調べてみたいと思います。
さて記事によると今年に入ってからの九ヶ月間で海外へ移住したアイスランド人は2.570人、アイスランドへ帰ってきたアイスランド人は2.550人で、僅かに出て行った人の数がお帰り組を上回っています。
外国籍の人をみると、アイスランドへ移って来た人の数は3.060人、出て行った人の数は1.630人でこれは1.430人というかなりはっきりとした増加になっています。
詳しくもとの統計を見たわけではないので断言はできませんが(アイスランド人は統計好きです。これについては別の機会にまた)、外国籍の増加組の大多数はヨーロッパからの移住組と思われます。
アイスランドはEUには加盟していませんが(加盟申請はしていたのですが、喧々諤々の議論があり、今は加盟申請を休止しています。これについても機会を改めて)EEA(ヨーロッパ経済機構)には加盟しており、そこでの条約によって加盟国の市民は自由にアイスランドへやって来て働くことができます。もちろんアイスランド人がEEA加盟国へ行って働くことも可です。
このようにEUもしくはEEA内では「国境」の敷居はどんどん低くなっているのですが、逆にEUとEU「外」の敷居はどんどん高くなってきている感があります。実際に日本を含めてのアジアやアフリカ、アメリカ大陸からの移住を実現するには二重三重のチェックポイントをクリアしなければなりません。
移住を可能にするには「外国人法」が定めるみっつの条件をまず満たす必要があります。1)仕事があり自身の経済をまかなえること、2)始めの半年間をカバーする医療保険に入っていること、3)保健衛生の基準を満たす住居を確保していること、のみっつです。
保険や住居はさておいて、最大の山は仕事です。「職探し」はそれ自体困難なことなのですが、移住者が職を探すのは輪をかけて難しくなっています。
例えば日本人がこちらで就労ビザを得るには「入国前に労働許可を得ていること」が求められます。ところが労働許可を申請するには具体的な雇用者との契約書が必要になります。つまりこちらへ来る前に日本でアイスランドでの仕事の契約と許可を得ていないといけないわけです。
自分自身がその場にいない状況で職を得るというのは、ほとんど奇跡的なことだと思われます。あるいは取りあえず職探しで現地に行ってみるか?という向きがあるかもしれませんが、法律上は普通のツーリストビザでの職探しも禁止されています。まあ、これはかなりザル法でしょうが。
ところがこれだけではありません。先があります。空いている仕事はまずアイスランド人またはEEA内の労働者にあてがわれます。EEA外の市民に労働許可を発行できるのは、その当該職を管轄する労働組合から「アイスランド人またはEEA市民からはアプライがない」という承認が必要なのです。
ですからEEA外の人が就労できるのは、アイスランド人もEEAの人も就きたがらない仕事が残っている場合、ということになってしまうわけです。実際そのような仕事はいつでもあるようですが、日本と同じく3Kに類する仕事のようです。
もちろん労働許可の発行についての例外もあります。例えば高度な専門性を必要とする仕事をする人の場合で、スポーツ選手やコーチ、語学の教師、特定の民族料理のシェフなどがその代表でしょう。この場合は先に述べたような条件を飛び越して労働許可が発行され得ます。スポーツ選手は国籍も取得しやすいんですよね。これもどっかとよく似ている。
このようにEEA外からの移住を難しくしている規定は不公平な感じに思えるのですが、当該国とアイスランドという二国間で同等の権利が相互に与えられない限りは、変えることは難しいでしょう。
日本-アイスランドに限っていえば、アイスランドから日本へ怒濤のように労働者が流れて行くというような恐れは事実上ないでしょうから、特別に二国間協定でも結んでくれたらいいのにな、と考えちゃいます。双方とも益するところが多いと思うのですけどねえ...
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