続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

日本政治の劣化を憂う(選挙に従属する政策)

2015年12月10日 | 日々の思い

自宅近くの「大山崎山荘アサヒビール美術館」の紅葉(昨日撮影)

先日も当欄で国民が負担する税の在り方を根本から議論すべきだと書いた。政府与党(自民・公明)の2党間で
2017年からの消費税10%に際しての軽減税率導入を巡って議論していたが結局は来年の参院選での選挙協力を
重視した政策決定がされようとしている。国民に負担をお願いする税金をどういう考えに基づいて決定して行く
かは国の最高議決機関である国会の総意で決めなければならない。選挙で過半数の議席を得たからといって国会
での議論も無しに政権与党だけの独断で決めていいものか。野党は何をしているのか。

ましてや来年の選挙を意識して国の大事な政策が決定されるなんて相当にレベルの低い政治と言わざるを得ない。
軽減税率の導入について自民党は当初4000億円の財源枠の中でやるには生鮮食品に限ると主張していながら14年の
選挙で公約にしていた公明党から突き上げられるとあっさり妥協して加工食品まで拡大すると譲歩した。
私自身は軽減税率を導入するなら公明党の主張を支持するが、あっさり妥協した自民党はその財源をどうするのか
全く答えていない。当初の4000億円という財源の枠についても根拠は不明だ。
又軽減税率は富裕層により有利に働くという弊害があると言われるが、一方では所得税などにおいては累進課税制
となっていて一定のバランスは確保されていると思うが。

先日の日経新聞の特集に「選挙のワナ」と題する記事があった。記事によると、要するに国民生活にとって重要な
施策も常に選挙を意識した政治行動が優先され、その都度先送りされてしまうという。
戦後70年の国政選挙の回数は日本では47回、アメリカ35回、フランス29回、英国19回、ドイツ18回だそうである。
これだけたくさん選挙のある国は異常である。選挙に掛かる莫大な税金と政策の安定という意味でもむやみに解散
総選挙などという愚は避けられねばならない。ドイツでは議会の解散を強く制限しているという。
1年半おきに国政選挙がある日本の政治では「長期的な課題が結局は1年ごとの話に翻訳されてしまい、国家100年
の計が語られることがなくなる」とは長年日本の政治制度改革に深く関与されてきたという佐々木元東大総長の談。

政治家が選挙を意識するのは当然であるが、その為に高い志や政策に対する信念まで曲げて妥協や迎合するのは
本末転倒である。違憲と言われ続けながら未だに解消出来ない一票の格差問題や、得票数と議席数の乖離を無くす
選挙制度への改革など全く進まないのも政治の責任である。こんな政治が続く国民はたまったものではない。
崇高な政策とそれを実行する信念を貫いて貰いたい。納税者が納得できる政治を願う。