続「とのむら通信」ブログ版

前島本町議会議員・外村敏一(平成29年4月29日付けで引退)
日々の思いや議会傍聴の感想など引き続きお伝えします。

異次元緩和第2弾によるサプライズ(アベノミクス)の功罪と消費税増税論議

2014年11月04日 | 雑感


先月31日日銀は金融政策決定会合で更なる追加の金融緩和に踏み切った。海外投資家に「バズーカ砲」とまで言わしめた
第二弾のショック療法である。異次元緩和の導入から1年半。アベノミクスの本丸である成長戦略に陰りが見えかけた今
日銀とのタッグによる電撃的な金融緩和発表で一気に株価を押し上げた。株高と共に円安も一気に進み、114円台を覗う。

先ごろドイツでは「その年度の歳出はその年の歳入で賄う」という財政健全化にめどを付け、アメリカもFRBが量的緩和
の終了を決めたのとはあまりにも対照的な姿である。
株が騰がれば経済が良くなる、円安が進めば企業収益が改善されると言うが、これって日本の実態経済にとって本当の意味で
どこまで実益があり、正しい政策なのか冷静に考える必要がある。

安倍首相は国会答弁でも「株が騰がれば購買意欲が増し、年金資産も増える」と言いますが、現代の株価は正にマネーゲーム
のツールそのものであり、ギャンブルに等しい。騰がった株価は必ず下がる。暴落すれば年金資産が激減するという危険性は大である。
第一株価の上昇で一時的にはリッチな気分になることはあってもすべての人がキャピタルゲインを手にする訳ではない。
大方の個人投資家は損をし、その分プロ集団のファンドや海外の投資家、証券会社の自己売買部門がなどが儲けているだけである。
しかもその美味しいこともある「マネーゲーム」に参加できる人はほんの一握りの富裕層であって大半の庶民には何の恩恵もない。

円安による企業収益アップというのは為替レートによる貨幣価値の変化であって実態経済の上では正にあぶく銭である。その対価は
商品の売れ行きが増えた結果ではないのでその恩恵が下請けへの発注増や原材料の購入増という形で経済の循環を促進するものではない。
但し円安によって相手国の通貨価値が相対的に上がり、購買力が増えて輸出が増えることはあるが、世界の経済構造が大きく変化した今は
あまり期待できない。現実にもこれだけ円安が進んでもさほど輸出は伸びていない。
むしろ円安による弊害の方が計り知れない。特にここのところの急激な円安は現状の日本経済、庶民生活に大きな打撃を与え始めている。
確かに過去2007年頃に対ドルで124円台を付けた時期があったが、その時代と今では経済構造が大きく変わっているので当時の円安水準と
今では実態経済に及ぼす大きさは遥かにマイナス効果の方が大きい。
更に東日本大震災による原発停止して火力発電への依存率が高い今ではLNGや原油の購入費が膨大な額になっている。又日本は本来的に
多くの原材料、食材などあらゆる物を輸入に頼っている国であるから円安によってここ2年近くは経常収支、貿易収支は大赤字である。

原材料の高騰で大半の中小企業は困っている。庶民も円安と消費税増税のダブルパンチで諸物価値上げに悲鳴をあげているにも関わらず
安倍政権は株高円安でアベノミクスは大成功と言わんばかり。来年からの更なる消費税増税にも意欲を燃やす姿には庶民の暮らしなど全く
眼中にない。税金が足りないなら増税すれば良い。というのは江戸時代の悪代官そのもののお上的発想であって民主主義は崩壊している。

どうしても消費税10%にしたいというのなら「ここまで歳出努力したが、これだけどうしても足りない。だから何とか増税を認めて下さい」
という数字的根拠の説明と「自ら身を切る歳出改革、議員数の削減、肥大化した行政機構の改革、政党助成金の廃止、歳費の大幅削減」に
対する案を国民の前に提示するべきである。何の説明もないままに「増税するかしないか、先送りか」などという本質論のごまかしは許さない。
国民はもっと怒りを露わにしなければならない。