肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『第9地区』、観ました。

2011-11-05 18:15:51 | 映画(た行)

※第82回アカデミー賞作品賞他4部門ノミネート
※2010年キネマ旬報ベストテン第3位

 『第9地区』、観ました。
南アフリカ上空に巨大な宇宙船が出現。乗っていたのは100万を超える
難民と化した異星人たち。そして28年後、市内に設けられた異星人専用
居住区“第9地区“はスラムと化し、治安は悪化していた。政府は異星人を
さらに僻地へ強制的に移住させようと考える‥‥。
 ま、簡単に言ってしまうと、あの往年の『E.T.』をキャラクター再構築して、
独特のアプローチで現代風にした感じ。何を今更、地球人とエイリアンの
友情を描いたところで、特に目新しさは感じないが、それでも、その星の
数程ある“ETもどき”の中で、コイツはとりわけ異彩を放つ映画に仕上がった。
断っておくと、ストーリー自体はどこがどうと言うところはあまり無い。
軍部が研究材料として“あるもの”の価値を見い出し、手に入れようとする
過程から、主人公自らが盾になってエイリアンを宇宙船に送り届ける終盤の
展開まで、『E.T.』のそれに酷似する。ならば、この映画の秀逸さは???、
ブラックな遊び心とコミカルを随所に散りばめた《SFエンターテイメント》で
ありながら、“人権”という重く根深いテーマをバランス良く配置した
《風刺映画》としての側面も併せ持つ。ドンパチありーの、スプラッター
描写ありーの(←間違っても子供には薦められない)、でも映画の根幹には
“ヒューマニズム”が静かに確かに脈打っている。グロテスクでチョッピリ(?)
お下品な振る舞いをし、加えてネコ缶が大好物のエイリアンだが、少なくとも
仲間(家族)を想う“清い心”と、我らが当に忘れてしまった“美意識”は
持っている。一方、隙さえあらば相手をダマし、己の欲の為ならエイリアンの
血さえ啜(すす)り、その肉さえ喰らう地球人の、何とおぞましいこと。
本当の意味で、野蛮な方はどちらなのか?、グロテスクな方はどちらなのか?、
オイラは観ながら、そんな皮肉に反論できずに、図星をつかれたようで
苦笑する。見てのとおり、“B”の匂いプンプン、低予算を装って空っとぼけた
SF映画だが、観ていて突如としてハッとさせられ、深く考えさせられること数度。
非常に作りこまれた作品だ。


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