肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、観ました。

2008-05-26 21:36:19 | 映画(あ行)





監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希


 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、観ました。
昭和34年春。東京オリンピックの開催が決定し、日本は高度経済成長時代に
足を踏み入れようとしていた。取引先も増え、軌道に乗ってきた鈴木オートに
家族が増えた。事業に失敗した親戚の娘、美加を預かることにしたのだ。しかし、
お嬢様育ちの美加と一平は喧嘩ばかり。一方、一度淳之介を諦めた川渕だが、
再び茶川の所にやってくるようになっていた。淳之介を渡したくない茶川は、
再び芥川賞に挑戦しようと決意する…。
 恥ずかしながら、泣かされた…。観る前は絶対泣くもんか、って心に誓って
いたのに、やられちまった。映画は、その頭にカタカナの“ド”が付くほどの
コテコテ“ド”人情劇。どうだ、泣けと云わんばかりの演出に、ここぞの場面では
必ずといって言いくらい聞こえてくる感動的なBGMのかぶせ方、その向こうに
“涙”があることなんてミエミエの展開は、観ているこっちの方が恥ずかしく
なってくる(笑)。感動したくてたまらない人ならまだしも、オイラみらいな“ヒネた
輩”がみるにゃー、ちとムズ痒い(笑)。しかし、それでも映画はお構い無しに、
夢の中で死んだ戦友と酒を飲み交わすシーンやら…、水仕事の後、オバさんに
塗ってもらったクリームで、少女が初めて“母の温もり”に触れるシーンやら…、
やばいゼ、一つ一つのエピソードが、オレの固く閉ざした心の扉を開けんと
ノックする。そして、映画終盤、主人公の茶川が愛する女性(ひと)への想いを
モチーフに、書いた小説の一説が流れ始めた場面でのこと――、ついに
堪え切れず、それまで行き場を失ってたオレの感情が堰を切ったよう流れだす。
改めて、言うまでもなく、そこには一昔前にあった“使い古された愛の言葉”が
並ぶだけ…、しかし、その、心が通った文章を読むにつれ、何故か心が
切なくなる(涙)。多分、それは、主人公が持つ“愛の深さ”を知ると同時に、
彼の“心の温もり”に触れたせいかもしれない。勿論、“泣ける映画”がすべて
良い映画とは思わないけど、この映画の場合はキャラクターの一人一人が皆、
生き生きと描かれていて、“貧困”の中でも“希望”を忘れず、歯を食いしばって
懸命に生きている。それぞれが誰かに助けられて生きていて、それぞれが
誰かを助けながら生きている。――と、考えてみれば、この映画では、主人公が
誰々で、その人物を中心に物語が廻っているといった類のものではなく、生活は
貧しくとも、心豊かな人たちが寄り添い、助け合いながら暮らしている‥‥、
そんな“心の通った空間”を描いた作品のように思えてくる。そして、それを
見下ろす形で聳え立つ“東京タワー”が印象的だ。それは“高度成長を遂げる
日本のシンボル”として、また、これから先の“未来の象徴”でもあるんだろう。
ラストシーン、そのタワーに登った主人公らが、沈みゆく“夕日”を眺めている…、
過ぎ去ろうとする“今日の日”を眺めている…。それは、消えゆく過去と、
生まれくる未来の両側から、現代の我々に“本当に大切なものは何か?”と、
問い掛けているように思えて仕方ない。貧困の過去と豊かな未来を繋げる
“心の架け橋”として‥‥。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (きのこスパ)
2008-06-04 23:31:51
コメント、ありがとうございます。

ボクは、原作を読んでないので、
原作と比べてどうこう言うことは出来ないのですが、
この2作目も“群像ドラマ”としてみれば、
人物もよく描けていて、なかなかのものだったと思いました。
ただ、前作と比べてみると、
テーマ自体も、その描き方自体も、特に新鮮味はなく、
単に“前作の延長線上にある作品”の印象でした。
これ以上続くと、マンネリ化が進んで
どうしようもなくなってしまいそうなので、更なる続編は???、
まさか、“ポスト『寅さん』”を狙ってるわけじゃあるまいし(笑)。



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Unknown (マーク)
2008-06-04 22:56:16
こんにちは。
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』ボクも見ました。ボクは『ALWAYS 三丁目の夕日』の方が感動しました。もともと西岸良平ファンだったので、映画を見たら原作のイメージが壊れるのではないかと思って、見るには少し決心が必要でした。『ALWAYS 三丁目の夕日』を見た第一印象は、鈴木オートの社長はあんなに短気ではないし、茶川先生はもっと年寄りだぞ、という違和感があったのですが、それを払拭してくれるだけの内容がありました。感動しました。でも続編にはもうその感動はありませんでした。
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