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一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』、観ました。

2005-10-03 20:11:12 | 映画(か行)
映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦

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 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』、観ました。
野原一家全員が美しい姫様の夢を見た。そんなある日、しんのすけはシロが
庭に掘った穴の中から一通の古い書状を見つけ、タイムスリップによって
戦乱に巻き込まれてしまう‥‥。
 この震えるほどの“感動”をどう表現して良いのか分からない。未だ興奮
冷めやらず、褒め言葉さえ見付からず、まさに「言葉がない」とはこのことか‥。
さて、毎回斬新なアイデアと豊かな表現力で、ボクらを楽しませてくれる
『映画クレヨンしんちゃん』シリーズ。驚くなかれ、今作の舞台となるは“
戦国時代”。そして、更に驚くべきは、その服装から住居、小道具、戦術まで
すべて完璧なる“時代考証”のもとで描かれているという点だ。近年は、
TV時代劇でさえ、目に余る時代錯誤が多い中、この「こだわり」は一体どこから
来るかと尋ねれば、実はこの映画、全編を通して“黒澤明へのオマージュ”に
溢れていた。次々と展開される ストーリーに、過去の黒澤映画の名場面、
名台詞がダブってくる。『羅生門』で始まって 『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』
『影武者』『乱』‥‥ 勿論、それは年端もいかぬ子供達には分かるまい。
しかし、ボクは断言する!、《この「こだわり」こそが日本映画にとって
一番大切なものなのだよ。》、そして、これは単なる“黒澤明のコピー映画”に
あらず、しんちゃん流の新たなアレンジを施してあるのが嬉しい。『乱』の
引用で締めくくるラストシーンも“絶望のみ”の『乱』に対し、 今作は
絶望の中に“一点の望み”を残す爽やかなエンディング。更に、更に、更に
驚くべきは、 ここには黒澤明が映画の中で描き続けた「反戦」「自由」
「自然の尊さ」のテーマがしっかりと受け継がれていた。“名画”はこうして形を
変え、次の世代へ‥そのまた次の世代へと語り継がれていく。 これは日本アニメ
史上最高峰に位置する傑作であると同時に、“日本映画を代表する時代劇”だと
思うよ。もし許されるなら、 この映画を“黒澤明”に見せたかった‥‥(涙)。


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