血と骨 コレクターズ・エディションポニーキャニオンこのアイテムの詳細を見る |
『血と骨』、観ました。
1920年代、一獲千金の夢を胸に済州島から日本に渡って来た金俊平。彼は
李英姫を強姦し強引に結婚。息子の正雄らに暴力をふるい、次々と愛人を
囲う父親だった‥‥。
映画における“暴力(描写)”は、描かないで済むのであれば描くべきでは
ないというのが、一貫したボクの考え方です。ただし、ことこの映画に
関しては、それほど気にならなかったかな。幼い頃、安住の地を求めて
遥か朝鮮から海を渡った主人公‥‥、パラダイスと思ったはずの日本は、
「差別」と「偏見」が蔓延(はびこ)る“ゴミ溜めのような生活”、、、
その社会への怒りと、現実のもどかしさが、彼を“暴力”へと走らせる。
弱みをみせれば食いものにされ、通りでは強者だけが生き残る。
しかし、彼は暴力によって“権力”を得るが、同時にその暴力によって
(周りから見放され)“孤独”にもなっていくわけだ。つまり、ここでは
過激な暴力シーンだけを描きたかったんじゃなくて、“暴力に怯える人の心”‥‥
強いては、その“恐怖”が血に染まり、深い“憎しみ”へと変わっていく様を
描きたかった‥‥ボクはそんな風に解釈しました。
さて、映画の技術面に話を移せば、主演ビートたけしの大熱演も確かに
凄いが、それ以上に昭和初期を再現させたオープンセットの素晴らしさには
驚いた。生活感の漂う街並みから小道具、ファッション、そして
ベタついた空気まで‥‥まるで、その時代にタイムスリップしたような
錯覚に陥らさせられる。聞けば、監督の崔洋一は前作『クイール』の儲けを、
すべて今作のための資金繰りに使ったとか‥‥。これ観て納得、、、久々に
日本映画の「底力」と「執念」を見たような気がしました。
ごあいさつが遅れました。
きのこスパさんの解釈、なるほど~と思いました。
暴力から生ずる様々な影響が描かれてましたね。
オープンセットや小道具や遊ぶ子ども達の様子まで、時代の移り変わりとともに丁寧に表現されていて面白かったです。
崔洋一監督の執念だったんすね。
コメント&TB、どうもです。
上のレビューにも書いた通り、
ボクは基本的に“暴力描写”のある映画は
好きじゃないのですが、
この映画だけは例外的に良かったです。
それは暴力を与えた側の心情ではなくて、
暴力を受けた側の“痛み”だとか、“心の傷”みたいなもの‥‥。
「時代」という言葉では片付けられない、
“人の哀しさ”を痛感しました。
暴力を受けた側にさまざまな影響というか変化があった事にきのこスパさんが注目しておられて、自分とは違う見方なので、なるほど~と思ったわけなんです。
またよろしくお願いいたしますね。