肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

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『桐島、部活やめるってよ』、観ました。

2013-03-07 16:04:59 | 映画(か行)

監督:吉田大八
出演:神木隆之介、橋本愛、大後寿々花、東出昌大

 『桐島、部活やめるってよ』、観ました。
ありふれた時間が流れる金曜日の放課後。誰もが認めるバレーボール部の
スター、桐島が退部のニュースが駆けめぐったことから、校内の人間関係が
静かに変化していく――。
 とある平凡な学園内を舞台にした学生らの群像ドラマ。ことの起こりは
中心的な存在であったバレー部のキャプテン桐島が退部するらしい、って
噂だけ。それ以後も事件らしい事件は起こらず、一切の過激描写もなければ、
サプライズな演出も見当たらない。おまけに肝心要の主人公、桐島クンは
一向に登場する気配もない。それでも観ながら、物語の中枢にグイグイ
引き込まれ、一級のエンターテイメントとして成立させてしまうのは、そこに
迷える“若者たちの今”が切り取られ、“等身大の姿”として皆がリアルに
描かれているからだろう。
 さて、何といってもこの物語の動力は、ユニークで個性豊かな登場人物ら――、
ホラー映画オタクで“ロメロ”信者の映画部部長、いつもどこかハッキリしない
帰宅部のイケメン君、そんな彼に報われない恋心を抱く吹奏楽部の優等生
部長、夏の大会が終わっても一向に辞める気配のない三年生の野球部部長、
亡き姉の後を追うように練習に打ち込むバドミントンの女子部員、退部した
桐島の穴を埋めるべくシゴキに耐えるリベロのバレー部員、そして、大いなる
勘違いをし続ける軽薄なオンナ――。一見、ランダムにみえる人物構成だが、
実はよく考えられていて、大きく二種類に振り分けられる。まず片方は、自分の
損得を優先して立ち回る、いわゆる“スマートで要領の良い生き方”をする
連中だが、もう片方はというと――、不器っちょな生き方しか出来ない凡人達だ。
叶うはずもない恋と知りながらあきらめ切れない。アカデミー賞もドラフトも
自分とは無縁のもので、決して埋めることの出来ない実力差を自覚しながら、
何故か辞めずに続けている。尊敬するジョージ・A・ロメロ――、大好きだった姉――、
憧れだったバレー部のキャプテン桐島――、決して届くはずのない“その人の
背中”に近づこうと努力する。はっきりとは言えないけれど、彼らにとってそれが
《生きる》ってことかもしれないな。いや、別の言葉で、それが《青春》というもの
かもしれない。何故かオイラはそんな彼らの姿が堪らなく愛しく感じられた。
 映画終盤、カメラを覗く映画部部長に「やっぱ、カッコ良いね」と言われた
イケメン君が、「俺なんか、そんなんじゃないよ」と泣き崩れてしまう。その涙の
解釈は様々だが、容姿のカッコ良さなんかじゃなく、内面的な部分について――、
思うに、彼はその時やっと気付き、同時に恥じたのだろう。目標が見当たらず、
“ゾンビ"のようにさ迷い歩く――、自分の“カッコ悪い生き方”を。


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“ベニス”三本締め

2013-02-23 09:18:00 | ★独断と偏見的シネマ・セレクション3

独断と偏見的シネマ・セレクション3 《キーワード編》“ベニス”

水の都ベニスは、何度も映画の舞台になっている美しい街だが、
とりわけオイラの記憶に残っているのはこの三本――。

、『赤い影』
、『ベニスに死す』
、『旅情』


三者三様、同じベニスの街でも
撮る監督が違えば、その印象も大きく異なるが、
上の三作品中、一般人(?)から最も受け入れやすいベニスはだろう。
デヴィッド・リーンらしい、王道を往くロマンチックなメロドラマ――、
鉄橋を渡る列車の冒頭シーンからすでに、
その映像美に圧倒され、思わず画面に引き込まれる。

は、夏のベニスの華やかさ――、
しかし、その唯一無比の美しさゆえに
それが醜くけがされていく際の儚(はかな)さ――。

は、あまり観ている人がいなくて残念だが、
オイラは10代の頃に観てトラウマになっている。
そのトラウマは二つある――、
一つは、大好きなドナルド・サザーランド(因みに男優デス)のヌードが
ねちっこい描写でしつこいくらいに拝めること(汗)。
もう一つは、映画終盤、主人公が迷宮のような、ベニスの夜に迷い込んだ末、
殺人犯に遭遇し、その正体を目撃したシーンの衝撃だ。
以来、オイラにとってベニスは“コワイマチ”の印象が植え付けられている。


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『瞳の奥の秘密』、観ました。

2013-01-29 11:47:51 | 映画(は行)

監督:ファン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、ギレルモ・フランチェラ

監督:ファン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、ギレルモ・フランチェラ

 『瞳の奥の秘密』、観ました。
刑事裁判所を退職したベンハミンは、残された時間で25年前に起きた忘れ難い
事件をテーマに小説を書く事を決心し、かつての上司で今は判事補のイレーネを
訪ねる。それは1974年、銀行員の夫と新婚生活を満喫していた女性が自宅で
殺害された事件。当時、渋々担当を引き受けたベンハミンが捜査を始めて
まもなく、テラスを修理していた二人の職人が逮捕されるが、それは拷問による
嘘の自白によってだった…。
 “永遠”となるはずだった愛が、ひとつの悲劇によって脆くも音を立てて
崩れ去る。一方で、その事件を追う男女の、胸に秘めたる恋心が情感豊かに
観る者の胸に迫ってくる。派手さはないが、味わい深い。近年のミステリー
映画では、『ゴーストライター』と並んで最も堪能出来た一本だ。緻密に
組み立てられたプロットと、さりげなく本編に散りばめられた伏線の数々――、
あの時のあの台詞が…、あの時のあのシーンが…、映画終盤で別の意味を
成して蘇り、“それぞれの点”であった出来事が、“一本の線”になって
繋がっていく瞬間は、思わず「あぁ」と驚嘆の声をあげてしまう。この映画は
犯人探しや難解なトリック、如何なる手段で事件を解決させるかを焦点にした
サスペンスにあらず。言ってみれば、誰しも人が生まれながらに持ってしまった
“哀しき性(さが)”について――、人が心の奥に隠し持つ“不変の愛”にスポットを
当て、仕組まれた“大人のミステリー”だ。
 (※以下、ネタバレ。未見の方はご注意下さい。)重複するが、隠された
秘密が明らかになる映画終盤、予想だにしないドラマの着陸地点に愕然とする。
その時、呪文のように頭の中で繰り返され、蘇ってくる言葉は、《終身刑》。
タネを明かせば、そこで男は牢に繋がれていた――。実は、オイラは今回が
二回目の鑑賞だったのだが、ここでやっと気がついた。その牢に繋がれた
男は誰なのか??、ゴメスか‥‥、確かにそれはそれで間違いないのだが、
その男はゴメスであると同時に、実は“我々自身”でもあるってこと。
付け加えるなら、この映画に登場する全ての人物でもあるのだ。被害者の
夫は、25年も前の事件のことが忘れられずに、今もそれを引きずっている。
主人公のベンハミンは、伸ばせば届く愛を怖がって、今もなお逃げたことを
清算できていない。一方、その相手のイレーネは、その後、別の男性と結婚して
家庭を持ったが、以来“空虚な時間”を送り続けている。そう、人間の本質は、
そう簡単には変えられない‥‥。次の一歩が踏み出せず、《自分》という名の
“見えない牢”に繋がれている。考えてみれば、それは観ているオイラ達だって
同じこと。いつまで経っても、どこまで行っても、自分は自分であることを
やめられない。(過去の罪やその人生から)逃れようとしても逃れられない
《終身刑》だ。その、ラストシーンに映る男たちが立場こそ違えど、何故か皆
同じように哀れに見えるのは、きっとそのせいなんだろうな。


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『ダークナイト ライジング』、観ました。

2013-01-14 11:06:49 | 映画(た行)

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、アン・ハサウェイ、トム・ハーディ、モーガン・フリーマン

 『ダークナイト ライジング』、観ました。
ジョーカーとの戦いから8年、バットマンはゴッサム・シティーから姿を消し、
ブルース・ウェインは隠遁生活を送っていた。そんな彼の家にセリーナ・
カイルという女性が忍び込み、彼の指紋を盗み出す。彼女に盗みを依頼した
組織が何か大きな計画を立てていると気付いたブルースは、再びバットマンの
コスチュームに袖を通す。その頃、不気味なマスクをつけたベインという男が、
ゴッサム・シティーの地下で大規模テロを計画していた…。
 行き過ぎた正義が行き場を失い、次の瞬間、コインの表裏のように悪へと
変わる。絶望の現実を“偽り”という闇で隠したシリーズ第二作『ダーク
ナイト』――。今更ながら前作は、クリストファー・ノーランならではの
ヒーロー映画だったが、今作『〜ライジング』の方は、あえて彼が監督する
までのことがあったかどうか疑問が残る。勿論、全編に漂う重厚感に加え、
クオリティの高さは疑いようもないのだが、テーマが散漫になり過ぎて、
軸となる部分が分かりにくい。人間や社会の持つ二面性については前作で
やり尽くされた感はあるし、絶望の底から希望を見出し、再生していく人生の
物語は、第一作目ですでに語られている。まぁ、三部作の最終章という
立ち位置を考えれば致し方ないのかもしれないが、今作においては新たに
テーマを見い出すよりも、シリーズの完結を第一に、前二作をまとめ上げた
という印象だ。
 今回の舞台となるのは、前作の戦いが終わった後のゴッサムシティー――、
新たに制定された法は危ういまま、英雄として語られる人物はまやかしで、
偽りの勝利によって見せかけの平和を手にした人々は、どこか疑心暗鬼に
なっている。そして、今作だけに限らず、この三部作を通して共通するのは、
物語の背景とダブるように現在のアメリカとイラク戦争の構図が見え隠れする。
本作においてベインの一味が、事の初めにゴッサムシティーの証券取引所を
襲撃したのは、9・11のワールドトレードセンターを連想させるし、彼らにとって
物品の強奪が主の目的ではなく、人々の混乱や世界の再構築の方に
狙いを定めていることからもうかがい知れる。そう考えれば、長い戦いの
ダメージが(体も心も)癒せぬまま、立ち直ろうともがき苦しんでいる主人公
ウェインの姿は、まさに現在のアメリカかもしれない。そこから抜け出すのは
並大抵のことではない。その為にはウェインがそうしたように、内に秘めたる
恐怖を隠すのではなく、己の弱さを自覚し、対峙することで、本当の自分の
姿が見えてくる。そして、その時やっと“再生への第一歩”が踏み出せる。
結果、それまでの恐怖が勇気へ、人々の不信が結束へ――。この三部作
にしては拍子抜けするような手堅い終幕だが、言わんとしている事は分かる。

 


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『007 スカイフォール』、観ました。

2012-12-23 22:09:10 | 映画(た行)

監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ベレニス・マーロウ、レイフ・ファインズ、アルバート・フィニー、ジュディ・デンチ

 『007 スカイフォール』、映画館で観ました。
トルコのイスタンブールで、極秘データを盗んだ敵を追っていたMI6
エージェント“007”ことジェームズ・ボンドは、敵ともみ合ううちに狙撃され、
川に落ち生死不明に。MI6では007を死亡したと判断する。その頃、
MI6本部が爆破され、サイバーテロ予告が届く。これらのテロはMI6を
率いる“M”に恨みを抱く者の犯行だった。イスタンブールで密かに
生き延びていたボンドはMI6に戻り、MI6を襲う敵に立ち向かうことを
決意する…。
 何を今さら『007』と言ったところで、とっくの昔にオワコンだろ、って
思っていたが、ダニエル・クレイヴをボンドにそえてからすっかり流れが
変わった。総じて、これまでのジェームズ・ボンド像は、完全無欠の
ヒーローだ。狙った獲物は決して逃さず、どんなヤバい状況下にあっても、
雄弁でジョークを忘れない余裕ぶり。人間離れした能力で危機を脱して
しまう超人だったのだが、クレイヴ版ボンドは当たり前のようにミスを犯すし、
身内に被害が及ぶと動揺する。怒り、憎悪、悲しみ、悔しさ、焦り――、
それらの葛藤を必死に抑えようとしても表に出てしまう生身の人間であり、
“人間”ジェームズ・ボンドだ。
 また、今作では『007』シリーズの見所の一つとなっているハイテクの
最新兵器もほとんど登場せず、僅かに本人認識機能を持ったワルサーと、
小型発信機のみ。まぁ、シリーズではお馴染み、アストンマーチンの勇姿も
拝めるが、もはや“クラシックな存在”で、あろうことか最後には跡形もなく
爆破されてしまう。道具には頼らない……っていうか、もう道具なんて
いらない。監督サム・メンデスによる、そんな意思表示にさえ思える。
 そう考えていくと、この映画の構造もしっくりくる。今作でジェームズ・
ボンドとあいまみえるのは、MI6さえ凌駕するコンピューターネットワークの
知識を持ち、内部の情報収集に長けた難敵だ。007側は“ハイテク技術”で
太刀打ち出来ず、後手に回され、ボンドの生まれ故郷にある“辺鄙な
屋敷”に身を寄せる。その場所でボンドは、かつて幼年期を共に過ごした
管理人の老人と合流するのだが、それは“人間同士の絆”が生んだ結束だ。
一方、そのボンドと行動を共にするM(エム)にしても、自らの判断ミスから
ボンドを傷付け、その自責に苦しみながらも、今はボンドに“全幅の信頼”を
置いている。その、原始的かつ古典的な、三人の固い絆がハイテク装備の
新鋭部隊へと向かう構図は、まさにこの“新『007』”を象徴している。
生身の人間同士による信頼と結束。失敗から多くを学び、挫折を
乗り越えることで成長する――。そんな“人間臭いボンド映画”をオイラは
結構気に入ってる。


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『アレクサンドリア』、観ました。

2012-11-18 18:16:46 | 映画(あ行)

 

監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ、オスカー・アイザック

 『アレクサンドリア』、観ました。
4世紀末エジプトのアレクサンドリア。そこには人類の叡智を集めた図書館が
あり、図書館長の娘で天文学者でもあるヒュパティアによる、天体についての
授業が行われていた。宗教を問わずに生徒を集めていた彼女だが、急速に数を
増したキリスト教徒が古代の神を侮辱した事から、市民の間に争いが起きる。
やがて図書館はキリスト教徒に破壊される。数年後、増大するキリスト教徒は、
その支配の邪魔になるヒュパティアに狙いをつける……。
 何の予備知識もなく、軽い気持ちで観てみたらビックリした。この手の
“ハリウッド産”歴史映画にありがちな視覚的(CG)娯楽に比重を置いた大味な
凡作にあらず――。緻密に計算されたメッセージ性と、細部にまでしっかり
作りこまれたドラマ性を兼ね備えた秀作だ。近年の大作では間違いなく
ベストの部類に入る出来栄えだし、何より作品に対するスタンスが素晴らしい。
例えば、殺戮シーンひとつ取ってみても、“神(天)の視点”で描かれているので、
敵味方そのどちらにも肩入れすることなく、狭い輪っかの中で傷付け合い、
殺し合う“人間の愚かさ”だけが際立って見える。鑑賞後、誰が監督したのか
調べてみたら、アレハンドロ・アメナーバルだった、『アザーズ』に『海を
飛ぶ夢』に『オープン・ユア・アイズ』か――。なるほどね、さすがだ。
 さて、映画の舞台となるのは、アレクサンドリア。エジプトの中心都市に
して、文明と文化の発祥地だ。太陽系の惑星が皆、太陽を軸に回っている
ように、当時の世界は、アレクサンドリアを中心に動いていた。そう、どの
世界にも揺るがぬ軸が存在し、そこを基点に回っている。ならば、その人間
社会にとっての軸は何だろう――、それは《神》か??、いや、それは違う。
なぜなら、神も聖書も宗教も、時の権力者によって勝手に捻じ曲げられ、
都合よく形を変えて利用されたに過ぎないからだ。断じて軸には成り得ない。
物語終盤、教会から神への信仰を強制されたヒロインのヒュパティアは言う、
「私は“哲学”を信じます」と。彼女が信じたものは、哲学という名の《真実》だ。
軸は決して揺るがず、何事にも動じない。《真実》もまたひとつのみ――、
いかなる権力者をもってしても捻じ曲げることは出来ないのだ。
 その昔、イエスが十字架刑に処されたのは、人々が盲目だったからだと
いう。だとしたら、このアレクサンドリアもまた、“世界の軸”が何であるかを
見誤って崩壊していったのだろう。いや、そのイエスの寓話を例になぞれば、
この映画におけるヒュパティアこそが、イエスだろう。彼女こそが女神であり、
太陽の場所に位置する。長官のオレステス、奴隷のダオスらにとって彼女への
憧れこそが生きる活力であり、人生の“中心”だった。ここ(人間関係)に、
もうひとつの“円運動の中心力”が存在する。その軸である彼女が消えゆく時、
その男らの人生も崩壊していくのだ。

 
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『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』、観ました。

2012-11-01 23:48:55 | 映画(さ行)

監督:ジョージ・クルーニー
出演:ライアン・ゴズリング、ジョージ・クルーニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、 ポール・ジアマッティ

津川雅彦:
「役者が政治的発言をするというのは、やっちゃあいかんことだよ。
特に若いうちはね。役を演じる上でニュートラルであるべき。
いろんな役をやるので色がついてない方がいい。」

 

 『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』、観ました。
大統領を目指し民主党予備選に出馬したモリス州知事は、ライバルのプルマン
議員をわずかにリードしていた。彼を支えるのは、キャンペーンマネージャーの
ポールと、若き広報官のスティーヴン。両候補が雌雄を決するオハイオ州
予備選を前に、スティーヴンの元へプルマン陣営の選挙参謀から密会の打診が…。
 ジョージ・クルーニーというダンディズム――。一見、カッコ付けでダテ男の
風貌から、知らない人には知られてないが(ま、当たり前か)、自身の監督作は
実に硬派な社会派で一本芯が通ってる。聞けば、オバマ再選の資金集めにも
積極的に協力しているとか。上に挙げた津川雅彦氏の金言も至極ごもっともだが、
クルーニーほどの才人ならそれも全く問題ないね。仮に、一切オファーが
無くなっても、そしたら今度は自分で撮れば良いのさ。それもこれもクルーニーが
役者と監督、二足のわらじを高レベルで履く映画人であるからこそ。むしろ、
そんなクルーニーの活動を知るがゆえ、このポリティカルサスペンスにも、
別の意味で変な説得力を感じてしまう。クルーニー自身、長い下積みを
経験した苦労人だが、人生うまく回りだせばどんどんうまく回るもの。お金も
地位も名誉もすべてを手に入れたクルーニーにとって、どうやら、もうカツガツと
映画を当てるつもりもないらしい。自ら出演するも主役からは降り、代わりに
しっかりクセ者を揃えた通好み(?)のキャスティング――、フィリップ・シーモア・
ホフマンにポール・ジアマッティにマリサ・トメイか‥‥、シブい、シブ過ぎる。
確かにシブいが、ただでさえ一般受けしない政治ものなのに、果たして
これで客は呼べるのか。こだわりにこだわり抜いたこの一本、って感じか。
ほとんど金持ちの道楽だな。あぁ、ジョージ・クルーニーというダンディズム再び。
でも、そんな彼のスタンス、決してオイラは嫌いじゃないゼ。
 映画は、緊張感とスピード感が途切れることなく、時間の経過を忘れる程に
観ててしまう。そして、何より登場人物がそれぞれ魅力的に描かれていている。
改めて、“監督”ジョージ・クルーニーの非凡さにほとほと感心する。ほんと、センスの
塊みたいな人だ。ザ・男前でビジュアル的にも申し分なく、映画製作の才能も
持ち合わせた、天が二物を与えた男だ、ジョージ・クルーニー。このままじゃ、
オイラも同じ男として悔しいんで、少しだけディスっとこうか。いいか、心して
聞くように。物語中盤、ある女性キャラがある人物にレイプされるんだけど、
それからほとんど時間を置かずに好きになったといえ別の男性(主人公)に
アタックするだろうか。それってお国柄なのか、男と女の違いなのか、オイラは
観ていてチョット不自然な印象をうけたよね。

 
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『薔薇の名前』、観ました。

2012-10-15 11:02:18 | 映画(は行)

監督:ジャン・ジャック・アノー
出演:ショーン・コネリー、F・マーリー・エイブラハム、クリスチャン・スレーター、イリア・バスキン

 『薔薇の名前』、観ました。
ヨーロッパに宗教裁判の嵐が吹き荒れる1327年。北イタリアのベネディクト
修道院で、重要な会議が行われることになった。ひと足早くやって来た
バスカヴィルのウィリアムと見習修道士のアドソは、院内で起きた殺人事件に
巻き込まれる。ウィリアムは、立ち入り禁止になっている文書館に、事件の鍵が
隠されるいると考えるのだが…。
 これまで何度観たか分からない――。一般的にいうところ、“ネタが命”の
ミステリーというジャンルであるからして、そのほとんどが一回観れば充分だが、
この『薔薇の名前』に限っては繰り返し何度も観てしまう。中世ヨーロッパの
僧院内に巻き起こった連続殺人事件の怪――。そこから続く犯人探しや
トリックの解明ばかりに気をとられてしまうと、案外アッサリとした印象しか
残らないかもしれない。そう、このミステリー映画の真髄は“そこ”じゃない。
山岳の広大な敷地にそびえ立つ中世巨大修道院の佇まい――、それを
スケール感たっぷりに再現させたオープンセットの素晴らしさも然ることながら、
その内部に至るまで拘り抜いたディテールには、思わず息を呑んでしまうほど。
一方で、怪しげな容疑者と謎多き登場人物たち――、禁断の書に隠された
陰謀――、開かずの間や秘密の抜け道――、階上へと延びる迷宮の階段など、
生粋(きっすい)のミステリー好きなら、思わずニヤリとしてしまう様々な
仕掛けとエッセンスが、ふんだんに散りばめられている。更には、事件の
背景にある歴史的な舞台設定にも興味を引かずにはいられない。伝統ある
僧院内で起きた猟奇的事件と平行して、中世カトリックによる異端審問の実態が
明らかになり、やがてその両者が野望と策略の下で絡み合い、結びついていく
展開は非常にスリリングだ。
 改めて、本作の特長を分析するに、一介のミステリーがトリックや伏線を
張りながら観る側を“ダマす”ことを前提に置くのに対し、この『薔薇の名前』は
タネよりも“雰囲気作り”に比重を置き、《魅せるミステリー》だといえる。手間・
暇・労力を惜しむことなく注ぎ込み、作り手の執念さえ感じさせる雰囲気作りは、
この映画における見どころの一つであり、“陰の主役”に間違いない。とにかく、
オイラは映画の物語上に漂う空気――、何とも言えない、このミステリアスな
世界観が大好きだ。この映画、これまで何度観たか分からない。そして、この先、
何度観るかも分からない。

 


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『悪魔の嵐』、観ました。

2012-09-16 21:59:31 | 映画(あ行)

 『悪魔の嵐』、観ました。
アメリカ、メイン州に位置する小さな孤島に、強大な嵐とともに“リノージュ”と
名乗る、謎の男がやってくる。彼は不思議な力で、次々と島の人間を殺し
「望みのものを渡せば立ち去る」というメッセージを残していく。男の望みの
ものとは一体なんなのか?そして、この男の正体は?
 1999年に製作されたスティーヴン・キング書き下ろしによるTVムービー、
各90分の3話構成からなる全4時間30分の長編だ。TV局製作のそれに
相応しく、見るからに地味で映像的にも平凡だが、一方で時間にたっぷり余裕を
持たせた物語構築の面白さは、TVムービーならでは。1日1話ずつのつもりが、
ついつい夢中になって止められず、ほとんど一気に観終わってしまった。
 さて、内容的には、近年の『ミスト(キング原作「霧」)』に通じるもので、“悪魔の
魔力”から逃れ、地下シェルターに避難した島民らが、徐々に追い詰められて
常軌を逸し、異常な精神状態に陥っていく様を描いている。ここでの“悪魔の
魔力”とは、《恐怖》のこと――。一人また一人と仲間を失い、一歩また
一歩と音もなく忍び寄る、その恐怖からくる“怯え”を使って、悪魔は人の
心を支配する。やがて恐怖に立ち向かう勇気は消え、悪魔との取引に応じ、
自分の体を切り売りする(仲間を差し出す)ことで逃げ場を探す。閉ざされた
空間における集団心理、逃げ場のない恐怖に直面した人の心の弱さ、誰しもが
背負いながら生きるしかない人生の十字架など――、この作品における
テーマ性は数知れず。その上で、キングの試みは、おどろおどろしい悪魔や
怪物を登場させることなく、細かなエピソードを丁寧に積み重ね、真綿で
首を絞められるように観る者の“内なる恐怖”を煽っていく。そして、じっくり
プロセスを踏んだ後に用意された“究極の選択”のシーンは、(主人公の立場を)
我が身に置き換えれば背筋が凍る。この作品の怖さは、決して現実離れした
“表面的な(悪魔の)恐怖”ではない。人間なら誰しもが心の奥底に隠し持つ――、
そして、この世に生を持つもの皆に共通する弱さ、欠点、無力さからなる
“内なる怯え”なのだ。本作が単なる恐怖映画にあらず、観終わって“底知れぬ
余韻”を残すのは、我々も自らの弱さを自覚し、それを他人に触れられるのを
恐れているせいかもしれない。


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『ミッション:8ミニッツ』、観ました。

2012-09-10 20:36:20 | 映画(ま行)

監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:ジェイク・ジレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト

 『ミッション:8ミニッツ』、観ました。
シカゴで乗客全てが死亡する列車爆破事件が発生。犯人捜索のため政府が
遂行する極秘ミッションに、米軍エリートのスティーブンスが選ばれる。しかし、
スティーブンスは訳も分からず上官の命令に従っていくうちに次第に作戦への
疑惑を抱きはじめる――。
 誰が観ても、フツーに面白い。フツーに観て楽しめて、万人受けする――。
しかし、考えてみれば、そのフツーが大事。それこそがこの映画の“ストロング
ポイント”だ。何度も繰り返して観直したくなるほどの奥行きも味わいも皆無だが、
ヘンにかしこまらずに観れる安心感と安定感がある。映画は、いきなり主人公が
目を覚ますと自分は別人に、しかもそこは超高速で走る列車の中――、さも
シチュエーションサスペンスらしい突然の切り口から、訳も分からず時間を
過去へとループ、ぐいぐい畳み掛けてくるスピード感が絶妙だ。やがてそれを
何度も繰り返すうち、パズルのピースをはめ込むようにボヤけていた全体像が
少しずつ見えてくるのだけど、やれ極秘国家軍事ミッションだの、やれテロ
実行犯を追えだの、やれパラレルワールドだの、話がどんどんマンガチックに
非現実路線へと舵を切る。近年似たような内容で、相手の潜在意識へ潜り込む
『インセプション』ってのがありましたが、そちらは超A級――、こちら『8ミニッツ』は
どっぷり肩までB級テイストに浸かってる。はっきり言って、設定はご覧の通り
デタラメだ――。全くもってデタラメだが、やはり嘘は話がでっかいほど面白い。
そこは恐らく作った側も、そして我々観る側も、確信犯バレバレの共犯者。
いっそ東スポや日刊ゲンダイの飛ばし記事を読むつもりで楽しんだら良ろし。
ツッコミどころは数知れず、それでも映画は進み、Train-Train、走っていく。
気がつきゃ、あれよあれよという間に、力技で押し切られ、テンションMAXのまま、
物語の終着駅へとなだれ込む。あー、面白かった――。それ以上でもそれ以下でも
ない。でも娯楽映画として、フツーによく出来ている。


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