肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ミリオンダラー・ベイビー』、観ました。

2005-09-25 21:13:50 | 映画(ま行)
ミリオンダラー・ベイビー

ポニーキャニオン

このアイテムの詳細を見る

 『ミリオンダラー・ベイビー』、映画舘で観ました。
小さなボクシング・ジムを経営するフランキー。一流の選手を育てるのだが、
タイトルマッチと背中合わせにある再起不能のリスクを自分の選手に
冒させようとしないため、成功を求めるボクサーは彼の元を去っていく。
そんな時、不遇の人生を送ってきた31歳の女性マギーが入門を志願してくる…。
 勝負の世界は、僅か一握りの勝者と、その他圧倒的多数の敗者によって
成り立っている。そして残酷にも勝負のアヤは、あと少しの運と不運が
その両者を分けるのだ。ここに描かれるのは、紛れもなく“その敗者たち”の
物語‥‥、彼らは互いに夢破れ、孤独に耐え、傷を胸にしまって生きている。
熱気漂い、汗が飛び散る“リングの眩しさ”とは対照的に、その哀しみが…、
その涙の粒が‥、幾重にも重なり観ているボクに圧し掛かる。ボクは
激しく熱い感動が、これほど静かに切なく染みてくる映画を初めて観た‥‥。
 さて、ボクが、この映画の主人公を観ながらダブらせてしまった実在の
名トレーナーがひとり‥‥それはエディ・タウンゼントだ。《選手としての
人生より、後の人生の方が遥かに長い》という信念を持ち続けた彼は、
誰よりも選手の人生を守り、大切にしたトレーナーだ。この映画を観た輩には、
イーストウッドは“尊厳死”に賛同する考えの持ち主なのかと想いを
めぐらせるかもしれないが、それは全くの誤解に違いない。なぜなら、
彼が演じた主人公は、「神」と、「罪」と、「命の重さ」の狭間で充分に
悩み苦しみ続けたのだから‥‥(涙)。いや、むしろ、ここでは「尊厳死」の
テーマよりも、「人生の価値」について‥、「命の意味」について‥、
問い掛けたかったんじゃないのかな。チャンピオンになったかどうか、
試合に勝ったかどうかなんて問題じゃない。大切なのは、そこに“ベスト”を
尽くせたかどうか、“その一瞬”を懸命に生きたかどうか、その人生に
“誇り”を持てたかどうか、なのです。ならば、真の意味で、人生における
勝者と敗者とは??、それはナンセンスな質問だ。だって、その答えは
人生を生き抜いた後に、“本人こそ”が決める権利があるのだから。



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ポップ)
2005-11-12 01:33:52
コメント&TBありがとうございます。

そうですね、この作品、色々なテーマを

扱っているけれど、やはり一番大きいのは

二人の固い絆ですよね。きのこスパさんは

繰り返し見られたのでしょうか?繰り返し

みるには辛い作品でもありますよね。

ボディーブローのようにこたえる映画です。
返信する
TB&コメントありがとうございました。 (naomi-0604)
2005-11-11 15:06:07
本当に考えさせられる映画ですね。

マギーはフランキーと出会って、幸せだったと思います。



現在、gooへのTBが私のブログから出来ない状態です。システムの問題なんでしょうけど、出来なくて申し訳ないです。
返信する
こんにちは! (猫姫少佐現品限り)
2005-11-10 15:49:25
ご夫婦それぞれの意見の食い違い(?)が、楽しいです。

今後も、もっとやってください!

楽しみにしています!
返信する
Unknown (ポップ)
2005-11-10 02:59:41
はじめまして、こんにちは。

この映画、とても深い作品でしたよね。

作品全体になんともいえない悲しさが

ただよっていました。そうですね、

フランキーは宗教とマギーへの愛のあいだ

で苦しんでいましたよね。

マギーはベストをつくしたし、そのことを

モーガン・フリーマンもいってましたよね。

TBおねがいしますね。よかったら僕のレビュー

も読んでくださいね。
返信する

コメントを投稿