肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ミッション:8ミニッツ』、観ました。

2012-09-10 20:36:20 | 映画(ま行)

監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:ジェイク・ジレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト

 『ミッション:8ミニッツ』、観ました。
シカゴで乗客全てが死亡する列車爆破事件が発生。犯人捜索のため政府が
遂行する極秘ミッションに、米軍エリートのスティーブンスが選ばれる。しかし、
スティーブンスは訳も分からず上官の命令に従っていくうちに次第に作戦への
疑惑を抱きはじめる――。
 誰が観ても、フツーに面白い。フツーに観て楽しめて、万人受けする――。
しかし、考えてみれば、そのフツーが大事。それこそがこの映画の“ストロング
ポイント”だ。何度も繰り返して観直したくなるほどの奥行きも味わいも皆無だが、
ヘンにかしこまらずに観れる安心感と安定感がある。映画は、いきなり主人公が
目を覚ますと自分は別人に、しかもそこは超高速で走る列車の中――、さも
シチュエーションサスペンスらしい突然の切り口から、訳も分からず時間を
過去へとループ、ぐいぐい畳み掛けてくるスピード感が絶妙だ。やがてそれを
何度も繰り返すうち、パズルのピースをはめ込むようにボヤけていた全体像が
少しずつ見えてくるのだけど、やれ極秘国家軍事ミッションだの、やれテロ
実行犯を追えだの、やれパラレルワールドだの、話がどんどんマンガチックに
非現実路線へと舵を切る。近年似たような内容で、相手の潜在意識へ潜り込む
『インセプション』ってのがありましたが、そちらは超A級――、こちら『8ミニッツ』は
どっぷり肩までB級テイストに浸かってる。はっきり言って、設定はご覧の通り
デタラメだ――。全くもってデタラメだが、やはり嘘は話がでっかいほど面白い。
そこは恐らく作った側も、そして我々観る側も、確信犯バレバレの共犯者。
いっそ東スポや日刊ゲンダイの飛ばし記事を読むつもりで楽しんだら良ろし。
ツッコミどころは数知れず、それでも映画は進み、Train-Train、走っていく。
気がつきゃ、あれよあれよという間に、力技で押し切られ、テンションMAXのまま、
物語の終着駅へとなだれ込む。あー、面白かった――。それ以上でもそれ以下でも
ない。でも娯楽映画として、フツーによく出来ている。


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