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堀文子「トスカーナの花野」

2008-01-24 | 音楽・芸術

トスカーナの花野 画文集トスカーナのなだらかな丘とその頂にある村や城。丘をめぐる木々。春霞の立つ野道には、犬のふぐり、たんぽぽ、すみれ、大きなつくし。まどろむような春野は、まるで天上の花園のようであった。―田園のヴィラに暮す感動と蘇生の喜びを綴る。

 

「花の四季」でも紹介しましたが、70歳で4年住んだ、イタリアで描かれた作品集です。北海道の富良野、美瑛を想像するような画集でした。

 

~白群色の玉を並べたようなオリーブ畑の丘に向かって、春霞の立つ野道を歩いていった。犬のふぐり、たんぽぽ、すみれ、やえむぐら、つくし。こんな遠い国に、春は同じ花を運んできていた。モンシロチョウが飛び、黒つぐみのはしゃいだ声が、イタリア語を聞くようだ。森の暗い径を抜けると、突然黄色い海原のように花野が開けた。薄紫、白、青の小花の群れが、黄色の中に錦の模様を描いている。丘の裾の葡萄畑。麦畑の目にしみるような若緑。猫柳が目をふき、透き通るような黄緑が綿帽子のように田園のあちこちに春の色を染めている。雉の声がする。まどろむようなトスカーナノ春。~私の魂は、遙か古代の故郷に還ったような安らぎに包まれ、この美しい春の中へ溶け込んでいくのだった。…堀文子

 

春、夏、冬霧に包まれた田園と対照的な冬は、モノトーンのあわーい色彩で木々や、草原の静けさを表現しています。暖炉で薪の燃える部屋…。

北海道の風土と重ねて、トスカーナの花々、田園に思いを寄せました。

 



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