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堀文子「みち」

2008-01-26 | 絵本

みち 第3版 (至光社国際版絵本)絵と文~堀文子

 このみちは  いつから そして どこへ  ゆくのか

 山をこえ  谷を わたり  

 しゃらの 林を 抜けるころ  粉雪が 降ってきた

 掘り続けないと 埋もれてしまう 雪国の みち

 あんずの村に 春が のぼってくる

 月の 白い 足音が 山道を のぼってゆく

 花びらを 残して 春は いってしまった

 旅人の とおった みち 

 波が あとかたもなく 洗ってしまう

 いつも わたしの かようみち 

 わたしは 花を みつけ 小鳥に あう

 すすきが原は 冬の 来る みち

 霧が きた もう みちは みえない

 わたしは この山みちで 昔の 人の 声を きいた

 てんの みちを 太陽が おちてゆく

 このみちは いつから そして どこへ ゆくのか

 はてもなく 続く 一筋の みち

 

カラーとモノトーンの挿絵が交互に配置されて、柔らかな優しい色彩と、つぶやくように静かに語りかける文章と(原文はすべてひらかな)マッチして、心に響く絵本です。

 

あとがき~

 山道の古い野佛に、いましがた、誰かが供えたうつぎの花。山菜とりの村人か。峠をこえて行く旅人か。そのやさしい人の姿は見えない。

 人は道で別れ、かけがえのない人と出会った。追われて行った人もあり、帰る人もあったが、道は何も語らず、生きては亡びる、人の世の運命を運び、はてもなく続く。

 そして、道ばたの野佛にぬかづいて、人は旅の無事をいのるのだ。 

 

 

 



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