「侵攻なければ人類文明の終わり」プーチン氏のバイブル“戦争論”からの脱却は?【8月11日(金)#報道1930】|TBS NEWS DIG
https://www.youtube.com/watch?v=XOTRRVSjR9E&ab_channel=TBSNEWSDIGPoweredbyJNN
は、戦況の説明に終始してきたTBS報道番組が、久々にピントの合った本質的に意味をもった分析を示したので、非常に価値の高い番組なったと思う。保阪正康の解説も良かった。
私は、この番組を視聴していて、プーチンがクラウゼビッツ戦争論の宗教的信者であり、その戦略をそのまま採用していることを知った。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E4%BA%89%E8%AB%96
クラウゼビッツは、私の個人的な主観からは、哲学の深さという視点から「孫子の兵法」に劣るような気がするが、おもに、戦争現場での戦略戦術の基本的な考え方を集大成したものだ。
クラウゼビッツの基本戦略は、(番組では15分あたりから)
①戦争は政治の延長である 政策の一つとして軍事侵攻が位置づけられる
②戦争計画は二つの原則から成り立っている。可能な限り集中的に行動する。可能な限り迅速的に行動する。敵の戦闘力を集中させ、その点に対して我の戦闘力を集中することが必要である。
③敵の承服しがたい一方的な講和をもちかけ、敵の集中攻撃を誘い、防御戦に持ち込む。強力な防御ラインで戦況を膠着させ、敵の損耗と疲弊を誘う。
④ 弱った敵に対し、極限の暴力による最終戦争を仕掛け、完全な勝利に終わる「絶対戦争」に持ち込む。
このような戦争プロセスを、プーチンは最初から構想として描いていた。2022年2月末のロシア軍侵攻は、まさに一気呵成の集中的、爆発的侵攻を狙ったものだったが、ロシア側の準備不足や兵力劣化によって思い通りに進まなかった。
今は、まさに③の防御ラインを膠着させ、ウクライナ側の損耗と疲弊を起こさせている状況といっていい。
すると、次に来るのは、「絶対戦争」である。あらゆる武器と兵力を総動員して「究極の暴力」を実現すると言っている。つまり最終段階でのNBC兵器使用は、侵攻の最初からスケジュール化されていたのである。
番組の28分過ぎから始まる、プーチンのKGB時代の同僚=セルゲイ・ジルノフの証言はもっとも重要だ。
プーチンは、第二次世界大戦の終わらせ方として、KGB時代からアメリカによる日本への原爆投下に強烈に魅入られていた。プーチンは核兵器を使いたくて仕方がなかったのだ。
表向きは、広島長崎の被曝者に哀悼の意を表しながら、実は「稀代の大嘘つき」とメルケル首相が驚愕した(番組で39分30秒あたり)ように、本心では、いつか自分も核兵器を使用してやると決意していたのだ。
プーチンは、「日本の敗戦は広島長崎の核使用によって決定した」ことを強烈に心に焼き付けている。
「アメリカが戦争を終わらせるのに核兵器を使用した歴史的事実があるのに、ロシアが同じことをやって悪いわけがない」と。
それがプーチンの正体なのである。
つまり、プーチンは、ウクライナ侵攻の最初から、「戦争の終わらせ方」として核兵器の使用を念頭に置いていた。
だから、クラウゼビッツ理論による、強力な防御ラインによってウクライナ側に著しい損耗が生じた後に、いよいよ最終戦争=絶対戦争に持ち込むことになる。
つまり、持てる限りのNBC兵器(核生物化学兵器)を戦場に投入する。
第二次世界大戦では、日本はイタリアやドイツと同盟を結んでいたが、あまりに地理的に遠いため、事実上、孤立していたし、その同盟国も軍事的に崩壊していた。
だから、アメリカが原爆を投下しても、文句を言う国はいなかった。周辺国は歓迎したのだ。
だが、今のロシアは違う。周囲の国家(中国・北朝鮮・ベラルーシの独裁国家を除けば)は、大半がロシアに批判的であり、核兵器がキーウに投下されたなら、間違いなくNATOによる報復戦争が始まる。
だから、プーチンロシアは、反NATO諸国と手を組んで、NATO国すべてに破滅的攻撃を加える可能性がある。
そこで、アロイス・アルメイヤと出口王仁三郎の予言が実現することが、にわかにリアリティが帯びてくるのだ。
http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5968125.html
http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5967194.html
私は、ロシアが劣勢に陥ったり、プーチンが暗殺されたとき核兵器が使われると予想していたのだが、今回、番組内のジルノフの証言を聞いて、そうではない、最初からプーチンは、脅しではなく、確実な核兵器使用を前提にウクライナ侵攻を行っていたのだと知った。
そして、2022年2月のウクライナ侵攻のターゲットは、実はウクライナとともに日本だったという事実が明らかにされている。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72891
つまり、プーチンの最終戦争=絶対戦争のターゲットには、NATO諸国とともに、日本も含まれているのだ。だから、いよいよ、出口予言にある「北海道三陸を南下する非道な侵略軍」という意味が、鮮明に見えるようになったと思う。
なぜ、そんな馬鹿げたことをするのか?
それは、世界の政治が、21世紀の今になっても、独裁指導者たちの、自分勝手な妄想ファンタジーによって突き動かされているからだ。
そもそも、国家と権力の拡大要求というものは、社会的必然性から生まれるものでは決してない。それは、国家に独裁者が登場し、彼が自分の価値に対して際限のない誇大妄想ファンタジーに突き動かされて自分の個人的人生を飾る目的で生まれるのだ。
プーチンも習近平もルカシェンコも金正恩もエルドアンも、すべて自分の価値への自己撞着、妄想ファンタジーの結果、自己肥大を起こし、暴走を始めるのだ。
かつて、戦前の日本軍皇道派も同じだった。自己肥大で自分を見失うことがすべてなのだ。
今、我々は韓国人が、「ウリナラファンタジー」という名の自己肥大妄想に囚われ、「自分たちは日本人より上だ」という傲慢な妄想のなかで、日本のすべてを蔑んでいる姿を見て嘲笑しているのだが、その反日韓国人を笑う日本人が、同じ妄想ファンタジーに囚われていることに、どれほどの人が気づいているだろう?
「日本は凄い、日本が大好き妄想」といってもいい。「日本人は世界で最も尊い選ばれた民だ」という妄想ファンタジーで、YouTubeに、盛んに登場している。
私の目から見れば、ウリナラファンタジーと日本は凄いぞファンタジーには、何一つ違いはない。謙虚さを失っている点で、まったく同じものだ。
そんなファンタジーに熱狂する若者たちは、日本軍国化を熱狂的に支持し、「強い日本、凄い日本」に憧れる者たちと完全に一致している。
彼らは、1980年代からの戦争ゲーム世代とも同じであって、「強いものに対する憧れ」というファンタジーに洗脳されているのだ。
彼らと同じ発想の延長に、プーチン・習近平・ルカシェンコ・金正恩がいると思っていい。その本質は、妄想ファンタジーなのである。
そして拡張していえば、国家の存在そのものが、権力者が自分の独裁に陶酔するための妄想ファンタジーによって成立しているのである。
国家などファンタジーがなければ、何一つ必要性がない。そこには地球上に生息する人間の生活と集団というものがあるだけで、国家など必要がないのだ。
国家が必要になるのは、独裁者が登場して、自分の個人的権益を拡大する要求が芽生えることが前提になる。言い換えれば、国家とは独裁者の欲望によって生まれるものであり、人々が独裁ではなく、自由と平等の協調社会を作れば何一つ必要のないものなのだ。
まさに、独裁者個人の妄想ファンタジーの集大成によって、これから第三次世界大戦が勃発し、もの凄い死者が出るのだ。これが人類の現在までの到達点といっていいだろう。
本当の民主主義があったなら、こんな戦争は起きなかった。
しかし、人類は民主主義よりも独裁体制を選んだ結果、ほとんど人類滅亡の結果しかない第三次世界大戦に突入するのである。