玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

誰でもできる生き物調べ

2017-02-10 10:38:57 | 生きもの調べ
 私は物心ついたときから動物が好きで、小学校では昆虫の採集や飼育に熱中していました。戦後の山陰では昆虫や魚が好きでそれを採るのは男の子ならだれでもしたことですが、植物が好きだというのは女々しくて恥ずかしいという空気が濃厚でした。私は小学5年生のとき、昆虫採集に行った低山でスミレを何種類か見つけて魅了されました。でも、そういう雰囲気がありましたから、スミレが好きだなどとは友達には口が裂けても言えないことでした。でもあまりにも魅力的だったので、土ごと採集してきて鉢に植えて栽培しました。それは秘め事だったので、友達が遊びに来ると見つからないようにしました。 
 その後、高校生になると生物学者になりたいと思うようになり、大学に進みました。そして幸いなことに大学の研究者になり、40年近く研究をしました。
 そういう私ですから、生物に対してふつうの人より関心も強く、知識も多いのは当然のことです。その意味ではやや特殊な経歴の人間といえるでしょう。でも、今私が玉川上水で調べていることは、現役時代と違い、専門的な機器や道具がいるわけでもないし、チームを作ってトレーニングや指導をして組織的なデータ取りをするということもありません。身軽な服装で、バックパックを持って行くだけです。それでできる調査をしています。私はある観察会のとき、主催者に持ち物を聞かれて答えました。

  3つあれば十分です。野外を歩ける服装、筆記道具、そして一番大切なのは好奇心

 玉川上水は市街地の中を流れる運河ですから、動植物は豊富とはいえません。日本の多くの地方都市であればこれよりも豊富な動植物のいる雑木林などはいくらでもあります。だから、だれでもその気になれば私たちが調べた程度のことは調べることができるということです。そう、身近な自然の動植物を観察するのはだれでもできるのです。このことについて、レイチェル・カーソンは次のように語っています。

「自然にふれるという終わりのないよろこびは、けっして科学者だけのものではありません。大地と海と空、そして、そこに住む驚きに満ちた生命の輝きのもとに身をおくすべての人が手に入れられるものなのです。」(カーソン、「センス・オブ・ワンダー」、上遠訳、1996)

 エドワード・ウィルソンも同じことを言っています。

「知られざる神秘的な生き物は、いまあなたが座っている場所から歩いていけるところにも棲んでいる。」(ウィルソン、「バイオフィリア」、狩野訳、1994)

つづく


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