ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

中都会の片隅で活動する8~10人組コーラスグループ、ザ☆シュビドゥヴァーズの日常。
あと告知とか色々。

Rockな一日

2012-02-26 21:21:23 | ヨン様
 こんばんは、ヨン様です。

 今日は高校時代の先輩のライブに行ってきました。タイトルにもある通り、ロックバンドのライブです。
 この方は先日のシュビのコンサートにも寒いなか足を運んでくれた奇特な(?)ひとで、自分もたまには普段聴かない音楽を聴いてみようと思い、新宿のアンチノックに向かいました。

 いやぁ、しかしなかなか、慣れない音楽は聴きどころが難しいですね。年中合唱に接しているおかげで和声はだいぶ耳に入ってくるのですが、歌詞とかギターのサウンドとかいった和声以外の要素は、聴くことができてもいいのか悪いのか判然としません。そして考えてみるに、ロックという音楽スタイルに占める和声の割合というのはごく限定的なので、和声だけの聴音はほとんど何も聴いていないに等しいわけです。
 やっぱり自分でドラムを叩いたりエレキを掻き鳴らしたりしないと聴こえてこない、あるいは聴こえても理解できない要素が多分にあるんだろうな。編曲を始めたころなんかは和声機能なんてほとんど聴き取れなかったし(せいぜいドミナント・モーションくらい)、メロディー声部以外のパートの音だけ追いかけるなんて相当な重労働だったし。合唱をやっていくうち、それまでばらばらだった音(サウンド)を一定のまとまりや役割をもった音(和声)として分析的に聞けるようになりました。人間、よくできています。
 例えば言語なんかもそういう技術的な側面を持つという意味では、似た感覚を共有できるのではないかと思います。外国語って、やっぱりしばらくの間シャワーを浴びるように聴き続けていて、ようやくただの“音声”から“言語”になっていくものです。また、その言語を生まれつき話していて充分に理解できる人にとっては、ひとつひとつのことばが必ずしも辞書的な意味に還元できない奥行きを持っているように感じられるけど、後から勉強して覚えた人には微妙なニュアンスを嗅ぎわけることは難しいし、まったく勉強したことのない人には、ひどい話、意味不明な音の羅列でしかありません。
 さまざまな音楽スタイルも、言語のように、それぞれ実践してみて初めて聴こえてきたり、見えてきたり、理解できたりするようになるものの一つだと思います。ものによっては方言ぐらいの差しかないかもしれないし、日本語と英語くらい乖離しているかもしれません。まぁ、ロックと合唱だったら東北方言と琉球方言(琉球語)ぐらいのもんでしょうが。

 そういうわけで、自分が和声的な音楽に偏執していることとロックは機能和声で分析してもあまり意味がないということを合算すると、ロクな鑑賞ができるわけないのですが、それでも自分なりの感想を書いてみようかと思います。はじめに断わっておくと、あくまで今日聴いたロックバンドの音楽に限ってのことです。
 まず第一印象は、音楽的な骨格がリフレイン(反復音形)やリズムにあるように感じました。リフもリズムも多少相関関係にあると思われます。とりあえずリフについてだけいうと、ほとんどの場合二つくらいのリフだけで曲ができていました(たしか)。きっとリフにも善し悪しがあって、ものによってメロディーのノリも違ってくるのでしょう。
 続いて、個人的に面白いなと思ったのが、コードがリフ的に使用されていることです。ロックを和声的な分析の型に押し込めても意味はないと思いますが、それでもロックにコードはあります。ただその使われ方は合唱みたいに機能的な連結ではなくて、リフのような断片的なものです。
 たとえば今日聴いたバンドの曲に次のようなコード進行がありました。

  C→G→Am→Em
  ※ハ長調に直している

 このコード進行にはどのような接続が予想されるでしょうか?
 合唱とか、ポピュラー音楽のような和声を持つ音楽ならば、

  C→G→Am→Em→F→C→F→G→C

とか、

  C→G→Am→Em→F→C→D(m)→G→C

とかやってまとめるのがしっくりくるでしょう。
 一方、今日聴いたロックバンドの演奏では

  C→G→Am→Em→C→G→Am→Em...

という進行になっていました。要するに予想されるカデンツ(和声の定型)の後半部分が省略された形でリフのように何度も繰り返されるのです。
 機能和声的にいえばこのコード進行は非常に「尻切れトンボ」で、曲の終止感も得られないだけでなく、そこに向かう和声的な緊張も欠けています。合唱に編曲したら、とんでもなくつまらない曲ができ上がることでしょう。
 しかし、これはこれで音楽になっているのです。ロックでは単に機能的な和声が用いられないというだけでなく、和声が(和音といったほうがいいかもしれませんが)リフなどのメロディー的な成分に近付いているのかなと思いました。

 以上が今日聴いた音楽の印象です。詩については、音を追いかけるのに必死でよくわかりませんでした。それに聴いていたところで、どこまでわかるんだってのが正直なところでして…(音楽以上に)。

 さて、長々と書いてしまいましたがこの辺にしておきます。
 今日演奏したかたはお疲れさまでした。また誘いがあれば行ってみようかと思います。
 では!


追記:
帰りがけに新宿の本屋の楽譜コーナーに寄りました。
合唱譜を目で物色しているとそこに『アニソン・フラッシュ!』の文字。

「『アニソン・フラッシュ!』?どこに需要があるんだよ?
 しかも『フラッシュ』ってなんだ『フラッシュ』って?どっから出てきたんだ?光ってんのか?
 適当に厨二臭い単語入れておけば客が食いつくとでも思っているのか?」

などという疑問を内心抱きながら、静かにその場を去りました。

 というわけで、新レパートリーおよび新企画の研究資料としていくつか楽譜を購入しました。
 よろしくお願いします。