鉄道改善案

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現実的なJR再編案 -JR北日本、JR関東、JR中日本、JR関西、JR中四国、JR九州-

2023年02月05日 | JR再編

 JR再編については本ブログでも何度か提案してきた。JRホールディングスを設けてその下部を9社に再編するという案や、全社を統合して「JR全日本」とする案などがあろうが、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州は完全民営化しており、おいそれと再編が進まないのも事実である。そこで、最も現実的なスタートとしての再編案を以下に提示する。

JR西日本は中国地方をJR四国に譲渡せよ
 JR西日本は実はJR各社の中で最も経営状況が厳しい。そのため中国地方の赤字ローカル線を廃線にしたがっているのだが、これでは国土不均衡を生じてしまう。関西アーバンに集中投資しその他をなおざりにしている大阪本社に問題があるのだが、そもそも関西と中国地方が同じ会社にあることが問題の根源である。文化が違う関西と中国地方が同じ会社であることで、本社側ではない中国地方に様々な歪みが生じてしまっている。中国地方の鉄道のためには関西から完全に切り離した別会社とすべきであるが、中国地方のみでは採算性が厳しく完全民間企業では難しい。そこで国が100%株主であるJR四国が、中国地方のJR路線網を譲受すべきである。JR四国は実質国営企業であるから、株主の意向は国の意向である。国家が中国地方の路線のことを真に考えるのであれば、このような策を講じることに何の問題もないだろう。ここに山陽新幹線も含むこととすれば、合併後はそれほどの赤字額にもならず、むしろ黒字になる可能性すらある。いずれにしても中国地方の鉄道をこれ以上衰退させないためにも国の手によって関西から切り離す必要があり、そのために中国地方在来線と山陽新幹線を国営企業であるJR四国が引き取るべきである。社名は「JR中四国」とし、本社は岡山とすべきであろう。

JR西日本は北陸地方をJR東海に譲渡せよ
 JR西日本は北陸地方のローカル線も切り離したい意向が露骨に見える。北陸本線は3セクに移行する(した)が、枝線の越美北線、七尾線、城端線、氷見線、高山線、大糸線はJR西日本のままであり、極めて非効率である。そもそも北陸新幹線が完成すれば関西から北陸に直通する在来線特急は全く走らなくなり、分割民営化の際に北陸がJR西日本になった理由である「関西方面からの膨大な特急列車が存在する」という状況が完全に消滅するのである。もはや北陸地方の在来線がJR西日本である必要性はどこにもない。高山本線猪谷~富山など、特急「ひだ」も走るのでJR東海にしてしまった方が良いくらいである。
 それどころか、北陸新幹線ですら、JR西日本であることで弊害が生じている。新大阪延伸の際にJR東海管轄の東海道新幹線に直通できないのだ。そのために米原ルートでの話が進まず小浜経由などというこの上なく馬鹿げたルートが計画されているが、問題が山積しており計画が難航している。もし北陸新幹線がJR東海であれば北陸新幹線は米原経由で早期に決着が付き、米原~新大阪は東海道新幹線と共用にすることで、早期の新大阪直通が可能になる。
 このように考えると、北陸地方の在来線、北陸新幹線とも、JR東海に移管してしまった方が何かと都合良い。従来の東海エリアに北陸エリアを加えて「JR中日本」(本社:名古屋)とすべきであろう。問題はJR東海がこれを引き受けるかであるが、北陸新幹線込みであれば、その黒字額は枝線の越美北線、七尾線、城端線、氷見線、高山線、大糸線の赤字額と相殺されるであろうから、損失はない。むしろ北陸地方と一体的に観光戦略を立てることができ、プラスの要素が大きいのではないだろうか。JR西日本にとっては北陸新幹線を失うことになるが、切り離しを切望していた北陸地方在来線を手放せるのだから御の字であろう。
 なお、同時に関西本線亀山~加茂も「JR中日本」に組み込むべきである。この区間は現在のJR西日本では非電化区間として孤立しており、車両運用が非効率である。亀山で接する紀勢本線などと同会社とすることで効率的な車両運用にすることができる。

残る関西の在来線は「JR関西」に
 上記により、JR西日本は、中国地方(山陽新幹線含む)と北陸地方(北陸新幹線含む)を除いた関西の在来線のみが残る。新幹線はなくなるが、中国地方と北陸地方の赤字ローカル線を手放せて本来の望みを果たすことができる。社名を「JR関西」に変更すべきであろう。「JR中四国」と「JR関西」、「JR中日本」と「JR関西」の境界駅はそれぞれ以下とする。

・「JR中四国」と「JR関西」の境界駅:播州赤穂、上郡、上月、浜坂
・「JR中日本」と「JR関西」の境界駅:新宮、加茂、柘植、米原、近江塩津、東舞鶴(※北陸本線と小浜線は全線「JR中日本」とする。)

JR東日本は東北をJR北海道に譲渡せよ
 JR東日本はJR西日本ほどではないにしてもコロナ禍で経営が厳しくなりつつある。その原因は東北地方のローカル線である。さらに関東と東北が同じ会社であることで様々な悪弊がもたされており一刻も早く関東と東北を切り離すべきである。東北は単独では完全民営企業としては無理なので、国営企業の管轄とすべきであろう。新会社を設立しても良いが、最も手っ取り早いのは国が100%株主であるJR北海道に東北地方のJR路線網を譲渡することである。東北と北海道は豪雪地帯、電化路線は交流である等多くの環境が共通しており、同じ会社であってもほとんど問題はない。唯一問題が生ずるとすれば本社の位置であろうが、北海道新幹線が全通すれば仙台と札幌が直結するので大きな問題はないであろう。むしろ東北と北海道の観光戦略を一体的にできるなどメリットも大きいはずだ。東北新幹線の大宮以北、北海道新幹線も含めば、赤字額は抑えられるはずである。会社名は「JR北日本」(本社:札幌)とすべきであろう。
 これによりJR東日本は関東甲信越在来線、東北新幹線の東京~大宮、上越新幹線、北陸新幹線東部を管轄する会社となり、東北を切り離して、経営を安定化させることができ、真に首都圏、甲信越のための施策を行うことが可能になる。社名を「JR関東」に変更すべきであろう。

・「JR北日本」と「JR関東」の境界駅:村上、坂町、新津、越後川口、黒磯、常陸太子、いわき

まとめ
 まとめると、以下のような再編となる。なお、並行在来線3セクは基本的にJRに戻すべきであり、下記もそれをふまえている。また、JR中日本(現・JR東海)とJR関東(現・JR東日本)の境界駅をいくらか変更すべきであり、以下もそれを踏まえている。

【JR北日本】Northern Japan Railway Company
・在来線:北海道、東北地方
・新幹線:東北新幹線(大宮以北)、北海道新幹線
・沿革:JR北海道が東北地方の路線を譲受。JR北海道から社名変更。
・運営:国(鉄道運輸機構)が100%株主
・本社:札幌(、仙台)

【JR関東】Kanto Railway Company
・在来線:関東甲信越地方
・新幹線:東北新幹線(東京~大宮)、上越新幹線、北陸新幹線(高崎~富山)
・沿革:JR東日本が東北地方の路線をJR北海道に譲渡して残った範囲。JR東日本から社名変更。
・運営:完全民営
・本社:東京

【JR中日本】Central Japan Railway Company
・在来線:東海地方(長野県南部、山梨県南部含む)、北陸地方
・新幹線:東海道新幹線、北陸新幹線(富山~米原?)、リニア中央新幹線(建設中)
・沿革:JR東海が北陸地方等の路線を譲受。JR東海から社名変更。
・運営:完全民営
・本社:名古屋(、東京)

【JR関西】Kansai Railway Company
・在来線:関西地方
・新幹線:なし
・沿革:JR西日本が中国地方の路線をJR四国に、北陸地方等の路線をJR東海に譲渡して残った範囲。JR西日本から社名変更。
・運営:完全民営
・本社:大阪

【JR中四国】Chūgoku-Shikoku Railway Company
・在来線:中国地方、四国地方
・新幹線:山陽新幹線
・沿革:JR四国が中国地方の路線を譲受。JR四国から社名変更。
・運営:国(鉄道運輸機構)が100%株主
・本社:岡山

【JR九州】Kyusyu Railway Company
・在来線:九州地方
・新幹線:九州新幹線
・沿革:現状通り
・運営:完全民営
・本社:福岡

<在来線境界駅>
・JR北日本ーJR関東:村上、米沢、津川、越後川口、黒磯、常陸太子、いわき
・JR関東ーJR中日本:泊、塩尻、岡谷、甲府、御殿場、熱海
・JR中日本ーJR関西:新宮、加茂、柘植、米原、近江塩津、東舞鶴
・JR関西ーJR中四国:播州赤穂、上郡、上月、浜坂
・JR中四国ーJR九州:下関



元画像はGoogle Earth