佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

新潟県合唱講習会中学校部門

2008年12月21日 01時33分55秒 | 合唱
 
 土曜日、12時半から3時間ほど、
標記講習会がありました。
この講習会は毎年開催されていますが、
中学生とその先生方のための講習会です。
中学生を中心に今回も沢山の人が参加していました。
会場は西新潟市民会館。講師は埼玉県栄東中学校の石山明先生。
今回の行事は連盟での担当ではなかったのですが、
記録用の写真を撮りに、半分仕事で行ってきました。
 
 
 で、まず、
今年に入って何度か書いていますが、
難しいんですよ、デジカメの撮影が。
どうしてあんなにブレるんでしょうかね。。。
撮った写真のほとんどが使い物になりませんでした。
ちゃんと脇を締めて固定しているつもりなのですが。。。
 
 
 これ、難しさの原因の一つも分かってはいます。
静止の撮影ではなく、対象が動くということですね。
合唱の講師の先生は、演台とかないですし、
そんなに止まったまま話さないですよね。身振り手振りとか。
あと音楽の場合だと、指揮を振ったりしている写真は
まあほとんど使い物になりません。
多分コツとか技術があるんでしょうが。
 
 
 あとフラッシュも難しい。
最初照明の具合で、講師先生の顔が暗かったので、
フラッシュを使ってみたのですが、逆に全体が暗く写ったり。
自動設定にしてもダメですよね。
うーん、写真って難しい。。。
 
 
 こういった仕事でお得なのは、
仕事と称して先生方の講習を受けられることですね。
今日も色々注視して見ていました。
いくつか気になったことを。
 
 
 まず、新潟県人は慎重というか、非常に壁を作りますね。
これ、例えばライブとかコンサートとか、
大人の話だと思っていたんですが、
中学生もそうでした。なかなか雰囲気が温まらないので
講師先生は非常にやりづらそうでした。
 
 
 講習の内容は、至ってオーソドックスでした。
でも、思うんですけど、日常の練習って、
多分こういうルーティーンの積み重ねですよね。
そんなに面白い練習ばかりじゃない。
で、こういう講習会とかによく呼ばれる先生というのは、
だいたい「必殺技」を持っているんですね。
つまり、その瞬間、一瞬で音を変える技です。
つまり、2時間とか3時間とかで音を変えることを、
講師先生は求められます。
自分がやったことによって、
「あっ、確かに変わった」
という印象を持たせないといけないからですね。
でも、それって、やっぱりその一瞬だけの話で、
帰ってから出来るかというとそうでもない。
そういう意味では、今日の石山先生は
個人的には逆に共感持てました。
普段のそのままを持ってこられたので。
 
 
 技術的に気になったこと。
発声です。
今日参加していた中学生はコンクールとかに参加する団体ばかりで、
結構よく練習している生徒さん達だと思いますが。
先生方の指導がそうなんだと思うんですが、
「強い声」を作り過ぎている気がしました。
どういうことかというと、
高音の方にいくと、太く強く当てるというか、
息とかをぶつけるんですね。
一見、良い声に聴こえるんですが、
これ、僕は良い傾向じゃないと思っています。
柔軟性に欠けるんですよね。
弱音の表現とかが出来にくくなります。
 
 
 昨今、コンクールで勝つためには、
発声が重要視されているんですよね。
発声と言うよりは、
「その合唱団のベースになるサウンド」ですね。
これを固めすぎているんじゃないか、という思いがあります。
今日の石山先生は、とにかく明るい響きで歌うことを
意識させていました。
音源なんかを使って比較したりとか。
 
 
 で、僕の考えですが、
ベースになるサウンドは
必要最小限だけ作るのが良いのではと思っています。
基本的に、発声練習というのは、
一通りの色の声を作るためではなく、
いろいろな表現を出来る声、
自分の声を自由に使えるようになることが目的です。
つまり、声を固めすぎることには、非常に危険が伴うんです。
明るい歌暗い歌、どの曲を聴いても同じく聴こえたりしてしまう。
でも、最近の新潟県の傾向としては、
中高ともそういう合唱団が関東に突破しているから、
そういう方向になってしまうんでしょうね。 
 

 誤解しないでほしいこととしては、
僕は昔よりも発声をかなり重視しているということです。
一人一人がそういう訓練を積むことは悪いことではない、
ただ、合唱団においては、その方向性が重要です。
オペら歌手の声は要らない訳ですから、
どういう方向性で発声の訓練をするか、これが非常に重要です。
 
 
 僕は学生時代、
ハンガリーとか東欧の合唱団の響きに憧れていました。
一人一人は大きな声を出さず細くても、
響きを重ねればすごく良いサウンドになる、ということ。
どういうことかというと、
声にコンプレックスを持っていた自分にとって、
ここは格好の逃げ場だったんですね。
どんなに声量が無くても、正しいピッチで(清潔な音程で)歌えば
みんなが合唱に参加できる、ということです。
 
 
 これ、決して間違ってはいないわけで、正しいんですけど、
その響きというのは、その合唱文化の中で育ってきたものです。
だから、ある作品にはハマるけど
ハマらない作品(時代)もあるわけです。
あと、そういう響きを志向することで、
個人個人の発声技術の成長から
目を背ける傾向が出てくる、とも言えます。
これ、ちょっと挑戦的な言い回しなんですが(苦笑)。
要は、ハモるという響きを作る段階で終わってしまうことです。
声はあくまで色々な表現をするためにあるものなので、
いろいろな時代の作品を歌いたければ、
いろいろな声を出せるように技術を磨かないといけない、
そうでなければ、一通りの声を志向して、
その時代とか、決まった方向性の作品だけを歌い続けるか、
端的に言えばその2通りしか無いと思います。
 
 
 さて、僕は教員ではないので、
また勝手なことを言っていますが、
現場の方々という湖に外部から波紋を投げかけるのが、
学校現場に就職しなかったtek310の役割だと思っているので。
怒ったり苛ついて頂いた方が嬉しい(笑)。
でも、逆に思うことは、
合唱団を毎日指導するなんて、中高生くらいしかできないわけで、
自分の方法論を作るには、これほどの格好の場はない訳ですよね。
最近よく思うのは、
まったく初心者で、歌いたいという気持ちだけがある一般の人を集めて、
週2回くらいで初歩から合唱を勉強する、
そういう合唱団を各地に作れないかということです。
完全初心者向けの合唱団です。
指揮者というのは、自分の音楽を表現したい生き物なので、
歌える人が揃っていた方が良いに決まっています。
でもそれだけの活動で、本当に良いんだろうかと。
たくさんいる初心者を合唱に引き込むことの方が
もっと重要な気がすると感じています。
歌ってみたい、けど。。。という人を集めて
サポートできたらな~、って思っています。
 
 
 ちょっと話がだいぶ逸れましたね(苦笑)。
書きながら熱くなり過ぎました、反省。。。
色々考えながら写真を撮っていた、そんな講習会でした。
 


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6 コメント

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 標記講習会に一度も参加したことのない中学校の... (ikaubon)
2008-12-21 11:00:09
 標記講習会に一度も参加したことのない中学校の音楽教師です。すごく、参考になる講習だったようで行けなかったのが悔やまれます。ただ、中学校や高校の教師でも合唱部の指導が出来るのは希で、全国大会出場経験があっても転勤先では吹奏楽部というの方もいらっしゃいます。私なんか声楽科なのに合唱部指導経験はないし、もう完全吹奏楽人事だし、、吹奏楽部で合唱やればいいと思って少しづつやってます。でも、コンクールは時期が被っているので両方参加はきびしいですよね。
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カメラの感度をどれ位に設定されていますか。 (合唱部記録係)
2008-12-21 21:51:00
カメラの感度をどれ位に設定されていますか。
ASA400 出来れば800にセットしてみて下さい。
 これにより、シャッター速度がかなり速くなるはずで
す。
 さらに、デジカメのシャッターは、ボタンを押してから、
実際にシャッターが切れるまで、タイムラグがあります。

 また、指揮者の動きは、ある瞬間必ず止まりますの
で、音楽のリズムをとりながら、タイムラグを計算しつ
つ、その瞬間を予測しながらシャッターボタンを押してい
きます。

 ストロボは駄目です。カメラ内蔵のストロボはせいぜい
3から4メートル位しか届きません。だから全体が極端に
暗くなります。

 ステージ写真でストロボを使うならば、思い切り近づく
か、もっと大型の外付け光源が必要です。
  
 後は慣れです。デジカメはフィルムの費用を気にする
必要がありませんから、とにかく数を撮って慣れましょ
う。
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>Ikaubonさん (tek310)
2008-12-22 19:24:55
>Ikaubonさん
 実際、合唱部のある学校は限られていますよね。探すのが大変なくらい。どうしてあんなにお金のかかる吹奏楽部ばかりなのか、、、謎ですね(笑)。
 と言いつつ、僕自身は逆に教員だったら吹奏楽を指導してみたかったですね。中学でやっていたこともありますが、個人的には非常に興味があります。まあ今となってはどちらも叶っていませんけど(苦笑)。
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>合唱部記録係様 (tek310)
2008-12-22 19:35:06
>合唱部記録係様
 貴重なご助言ありがとうございます。T校の記録係様でしょうか?ためになります。そうですね、撮っていた感じを思い出すと、シャッタースピードって重要なのかもと思います。何枚とっても無料なのは本当にありがたいですね(笑)、精進します。
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 ええ、吹奏楽の指導は楽しいですよ。最近やっと... (ikaubon)
2008-12-22 19:37:11
 ええ、吹奏楽の指導は楽しいですよ。最近やっとハマって来ました。ただ、選択音楽でヴァイオリンやってるけど、吹奏楽の楽器加えてオーケストラ擬きをやってます。次はスクールオーケストラやりたいですね。
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>ikaubonさん (tek310)
2008-12-24 00:41:06
>ikaubonさん
 なるほど、ご苦労のほどよく伝わってきます。指揮者・指導者は、合唱吹奏楽ほか何を扱おうと、その音楽の楽しさを伝える責任がありますね。一人でも好きを増やせるように。僕もがんばりたいです。
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