佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

第2回若い指揮者のための合唱指揮コンクール(その1)

2010年05月02日 23時29分47秒 | 合唱
 
 出場して来た標記コンクールについて、
客観的な情報を少しご紹介したいと思います。
 
 
 21世紀の合唱を考える会 合唱人集団「音楽樹」
が主催するTokyo Cantatは今年で15周年を迎えました。
代表幹事に栗山文昭氏、幹事に片山みゆき氏、藤井宏樹氏、
野本立人氏をはじめ、89名の会員(プログラムより)、
またそれらの合唱団などが中心となり、
意義ある企画を毎年この時期に開催しています。
毎年3名ほどの外国からの著名な講師を招いているのですが、
その中の2名からの提案により、
一昨年に初めて、この指揮者コンクールが開催されました。
 
 
 まず、事前審査があります。
プロフィール、音楽歴等の提出と、
5分以内の任意曲のリハーサル風景と、
その曲の通し演奏を映像資料として提出し、
それで審査があり、
申込者中、12名が29日のコンクールに臨む形です。
tek310は、一昨年はこの審査で落選しました。
今回も合唱団ユートライの協力を得て、
モンテヴェルディ「アリアンナの嘆き」の1曲目を収録し、
審査を通して頂きました。
結構直前に送った僕の番号が14番だったので、
申込者数が前回よりだいぶ少なく、
それで通して頂いたと思ったのですが、
当日他の出場者に聞いたら、26番という人も居たので、
昨年より少なかったようですが、
それでもそれだけ申込があったんだなと思い、
少しホッとしたのも正直(笑)。
 
 
 結果が来たのが3月の中旬。
予め知らされている課題としては、
まず最初にこのコンクールのために作曲された
ヴォカリーズによる作品(作曲:寺嶋陸也)、
3分ほどの曲ですが、初見でモデル合唱団と演奏、
そして、課題の2つ目として、
以下6曲の中から当日の抽選で決まったルネサンス作品を
合唱団相手に12分のリハーサルをし、
最後に通し演奏をする、
この2つが予選の課題です。
曲は下記。
 
Sicut cervus(パレストリーナ)
Dies sanctificatus(パレストリーナ)
Ave Maria(ビクトリア)
O magnum mysterium(ビクトリア)
Ave verum corpus(バード)
Laetentur coeli(バード)
 
 そして上記の課題の後審査があり、
12名中6名が本選へ出場。
本選は、以下のロマン派の作品6曲から、
当日抽選で決まった曲を20分間のリハーサル、
そして6名が終わった後、演奏会の形式で
6名が続けて通し演奏を披露し、それで順位等が決まる、
ということを、丸1日かけて行います。
ロマン派の作品は
 
Virga jesse(ブルックナー)
Locus iste(ブルックナー)
Letztes Gluck op.104-3(ブルックナー)
Abendlied(ラインベルガー)
Ave maris stella(グリーグ)
Dominus regit me op.55-2(ニールセン)
 
 です(ブラームスのuはウムラウトです)。 
 
 
 結果としては、1位から3位まで決まり、
他に初見演奏賞、ルネサンス賞、ロマン派賞、
聴衆によるオーディエンス賞などがあります。
前回突如決まったのは、1位の人に
審査員のホグセット氏から、ノルウェー大使館の協力により、
ノルウェー・スカラシップ賞が授与され、
ノルウェーまでの往復航空券ほどの賞金が授与され、
オスロに滞在し、氏の指導する合唱団のリハーサルへの見学参加や
ロイヤルアカデミーの合唱指揮のクラスを見学できたりする
ということになり、前回優勝者の赤坂さんは
2ヶ月間滞在して研鑽を積まれたとのこと。
 
 
 審査員は、
 
カール・ホグセット(ノルウェー)
エルヴィン・オルトナー(オーストリア)
サイモン・キャリントン(イギリス)の3氏。
 
 ホグセット氏は合唱指揮者でカウンターテナー、バリトン歌手。
世界6大合唱コンクールでの受賞や世界各地での演奏、
また著書の「Singing technique」で日本でもよく知られている方。
オルトナー氏はあのアーノルト・シェーンベルク合唱団を創設し、
現在まで音楽監督を務めている方。
キャリントン氏はあのキングス・シンガーズの創立者。
退団後はエール大学の教授を務めた方、
ということで、3名とも本当に凄い方々。
モデル合唱団は、Voces Arbos(事前指導:藤井宏樹)でした。
 
 
 どの作品が当日当たるのか、
当日まで分からず、
また予選を突破できるか分からないけど、
突破したときのことを考えて、
本選のロマン派の曲も勉強しておかないといけない、
ということで、まず指定の楽譜を買って、
当日まで12曲の勉強。
で、これを機にと思って、
他にも本を買ったり借りたりして勉強を、と思ったんですが、
普段の生活の中にこれを組み込むのが結構大変で、
まあ、他の出場者もそうだったと思いますが、
仕事があって、普段の自分の合唱活動があって、
僕の場合は連盟の事務的にも忙しい時期で
50周年記念事業やH22の総会があったり、
まあ、それでも勉強しないといけないんですけど、
直前10日間くらいにようやくエンジンがかかる、
といった状況でした。
 
 
 今回、ユートライの方々にもお世話になり、
特にN島先生からもいろいろご協力を頂き、
本番2日前に先生から急遽提案を頂き、
前日に、先生が振られている東京の合唱団で、
たまたま練習していたバードのAve verumと、
他に練習している曲を元に、初見演奏について、
本番と同じ設定で振らせて頂けることになりました。
僕が知らない作品を15分見て、実際に指揮をすることと、
バードの曲を実際の12分リハーサルし、通すことを、
初めてお目にかかった合唱団相手に行う、ということ、
前日ということでちょっと迷っていたのですが、
行ったことが結果としては
当日にとって非常にプラスになりました。
貴重な練習時間を提供して頂いた合唱団の皆様にも感謝です。
 
 
 前日は会場の第一生命ホール近くに宿を取り、宿泊。
あの辺、初めて行ったんですが、すごいですね。
晴海トリトンスクエア内にあるホール、駅でいうと勝どき。
埋め立て~って感じ(笑)。
翌朝は9時15分集合。 
寝坊だけはしないように、でもなかなか寝付けず。
当日を迎えました。
                    (つづく)
 


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