佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

メンデルスゾーン「讃歌」演奏会(その2)

2006年11月23日 19時06分19秒 | 合唱

 

 日曜日。

 

 

 合唱は朝10:00集合。

プログラム順にリハーサル。

フェニックス合唱団としては、一番最初に新市歌のリハ。

前日聴いてぶったまげたのだが、

今までピアノ伴奏で練習していたので、

衝撃的というか華やかなファンファーレがついて豪華に。

その後少し空いて「讃歌」「大地讃頌」のリハ。

明らかに昨日のサウンドより良い。

 

 

 13:00前に終了し、昼食。

前も書いたのだが、僕は開場前の客席に一人座って

ボーっとするのが好きなのだが、

今日は開場が1時間前(13:30)。

昼を食べたらもう開場時間。残念。

 

 

 基本的に、出番前って、

僕は一人でいることが多い。

あんまり楽屋にもいなくて、

一人でいて、何となく気持ちを高めていくのが好き。

 

 

 14:30、開演。

オープニングでまず「新長岡市歌」。

懸案だった言葉を立てることに皆注意を払っていた。

曲が終わると、合唱団の団員でもある森市長の挨拶。

 

 

 合唱団員は、少し時間が空く。

僕は楽屋(3階)へ一度上がったが、すぐにステージ脇へ。

ショスタコービッチの「祝典序曲」の後半と、

イベール「フルート協奏曲」の最初を一人袖で聴く。

祝典序曲は、長岡高校の吹奏楽部も参加。

派手な作品で、高校生も一生懸命吹いていた。

フルート協奏曲は、長岡の星小山裕幾がソリスト。

高い技術に感心しながら聴いていた。

  

 

 舞台が休憩に入って、合唱団は準備。

後半は「讃歌」のステージ。

オケのみの演奏が最初30分近く続く。

前日と打って変わってオケの切れ味が格段に良い。さすがプロ。

そして2番の最初で起立。

第一声は良い音が鳴った。

小澤先生は客席でガッツポーズをしたとか。

 

 

 この日出来が良かったと個人的に思ったのは、

強い声のところより、むしろ弱音部分。

4番、5番が結構上手くいったと思う。

 

 そして、この日最も心が震えたのが、

テノールソロの6番から7番、8番への流れ。

テノールソロの高橋淳さんが後に打ち上げで語っていたとおり、

6番の歌詞、そして曲は、

震災で被害に遭った長岡市の状況に重なる。

部分的に少し引用すると、

 

我々は闇の中で叫んだ。

番人よ、もうすぐ夜が明けるのか?

しかし番人は言った。

朝は来たが、また夜も来る。

(中略)

番人よ、もうすぐ夜が明けるのか?

 

 このソロは、曲の最中に、

レチタティーヴォの部分が繰り返し出てくる。

それが、

「番人よ、もうすぐ夜が明けるのか?」

という部分。

この高橋さんの歌唱が本当に素晴らしく、

後ろで聴いていて本当に心が震えた。

震災後の暗く長い「夜」。いったいいつ復興するのか。

長岡市民の気持ちを代弁するレチタティーヴォ。

「番人よ、もうすぐ夜が明けるのか?」

 

 

 そしてソプラノソロ、釜洞さんが歌う。

 

 

「夜は過ぎ去った。」

 

 

 7番に突入。

ここの一連の流れが、あまりに感動的で、

僕は一人感激して7番に入っていた。

高らかな合唱の歌声。「夜は過ぎ去った!」

心が震え高鳴り、歌う。

しかし、周りは不思議と良く聴こえていた。

女声の充実した素晴らしい響きにまた感激。

そして、7番からアタッカでの8番。

先に書いたとおり、この8番が一番の肝。

 

 

「Nun danket alle Gott ! 」(さあ、全てを神に感謝しよう!)

 

 この冒頭の歌いだしが良かった。

高らかなオケと合唱のサウンドによる7番から、

8番の冒頭から2ページにわたるアカペラ。

アカペラは非常に重厚で、各パートがほぼ2声、計8声に分かれる。

恐らく一番の出来だったと思う。

オケが入ってからは全声ユニゾン。

神への感謝を歌う。

そして、一番最後、

 

「神に我らの歌をもって感謝をささげよう。」

 

 ここだけ、4声が分かれる。

分かれることで、それぞれの思いを表したメンデルスゾーン。

一人一人の歌、それぞれの歌で、

皆が感謝する。

前日のメールで読み替えたように、

指導者、スタッフ、聴衆、演奏者、

そして全ての団員への感謝を表して歌った。

私たちを結びつけたこの「讃歌」、

素晴らしい作品に出会ったことにも感謝して。

 

 

 10番の最後で、

冒頭のテーマが現れる。

最後数小節は、正直感極まってしまった。

1年にわたって練習してきた「讃歌」の演奏が終わった。

 

 

 最後は長岡少年少女も混ざっての「大地讃頌」。

オケ伴奏と合唱で雄大に奏でられた大地讃頌。

演奏会が終わった。

 

 

 終了後すぐに打ち上げへ移動。

1年間お世話になった方にご挨拶をする。

この1年間についてはまた別に書きたいと思う。

 

 

 遠いので、1次会で失礼したが、

充実した1日が過ぎた。

そして、誰にも言わなかったが、

思い出深い、良い歳の取り方だった。

 

 


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