《農園日誌》
・宇佐美農園に、じゃがいも(とうや、キタアカリ)を植えた。
*とうや
(1)形態的特性
萌芽時の葉色は赤色を帯びる。茎長は「男爵薯」よりやや長く、そう性はやや直立型。茎は太く数は少ない。茎色は緑色で基部に赤紫の分布がある。茎翼は直で、分枝は少ない。葉色は「男爵薯」よりやや淡い緑で、小葉の形は幅広く、大きさは大きく、光沢があり厚くてややでこぼこしている。小葉の着き方は「男爵薯」に比べるとやや疎で、全体としては粗剛な感じ。花色は白で、大きさは中位。花粉が多く、自然結果は中程度みられ、果実は大きく直径3cm以上のものもある。
ふく枝の長さは短~中で、ふく枝が太く、黄変期前の掘り取り時にはふく枝の離れが悪い。いも着はやや密で、深さは浅い。いもの形は球形で、目は「男爵薯」より浅くて少ない。皮色は黄褐色で、表皮がやや粗くネットがみられる。肉色は黄。
(2)生態的特性
いもの休眠は「男爵薯」並でやや長い。萌芽期及び初期生育は「男爵薯」並だが、茎数が少なく着葉がやや疎のため生育不良にみえることがある。塊茎形成始期は「男爵薯」より遅いが、その後の肥大は「ワセシロ」と同様に早い。枯凋期は「男爵薯」並か数日早い早生。茎葉の二次生長は無く、均一に黄変する。倒伏は少ない。
株当りいも数は少ないが、大いもが多く、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「ワセシロ」よりやや小さい。早掘り時の大いも比率も「ワセシロ」並。いもの粒ぞろいは良い。上いも収量は、早掘り、普通掘りとも「男爵薯」及び「ワセシロ」より多く、中以上いも収量では「男爵薯」より多く「ワセシロ」並。澱粉価は「男爵薯」より0.5~1ポイント低い。施肥量及び栽植密度に対する反応は鈍く、多肥や疎植でも過繁茂になることはないが、いもの大粒化が著しいので、L規格いもをそろえるには密植が適する。
(3)品質特性
いもが球形で、目が浅く大いものそろいが良いので、剥皮しやすく歩留りも高く、また酵素による剥皮褐変も少ないので一次加工などの業務用にも適する。肉質はやや粘質で、舌ざわりはきわめて滑らか。煮くずれは「男爵薯」や「ワセシロ」より少なく、調理後黒変はみられない。「キタアカリ」のような香りや、「男爵薯」や「農林1号」のようなジャガイモ臭は少ない。食味の評価は、好みによって異なり、粉質好みの人は低く、粘質を好む人は高く評価する傾向にある。
蒸しいもにすると水っぽいが、煮物やサラダ(スライスサラダ)、マヨネーズなどに向いている。ポテトチップやフライには向かない。ビタミンC含量は「キタアカリ」より少ないが「男爵薯」及び「ワセシロ」より多い。グリコアルカロイド含量は「男爵薯」より多く、特に曝光による増加が「メークイン」並に多い。
(4)用途 食用
長所 目が浅く、剥皮褐変、調理後黒変が少なく、業務用にも適する。
早期肥大性に優れ、早生、大粒である。
ジャガイモシストセンチュウに抵抗性。
短所 裂開を生ずることがある。
澱粉価がやや低い。
*キタアカリ
(1)生態的特性
休眠期間は「男爵薯」より短い。萌芽、初期生育とも「男爵薯」並ないしやや早い。枯凋期は「男爵薯」より1~2日遅い早生に属する。
株当りいも数が多くなる、やや個数型の品種。上いも平均一個重の増加は「男爵薯」よりやや遅く、枯凋期後も「男爵薯」並かやや小さめだが、中以上いも収量は「男爵薯」より若干多い。澱粉価は肥大の初~中期ではやや低いが、最終的には16~17%で「男爵薯」より1ポイント程度高くなる。施肥量に対する反応は「男爵薯」並で、1.5倍肥にした場合の収量は、中~小いも収量の割合が減少し、大いも以上の割合が増加する。栽植密度に対する反応は、3,419株から4,444/10aにすることによって若干増収するが、中~小いもの割合が高くなる傾向がある。いもの貯蔵性はやや劣る。
(2)品質特性
水煮の肉質はやや粉質で、貯蔵の経過とともに粉質度が低下していく。煮上がりが早く、煮くずれの程度は「男爵薯」よりやや多い。「キタアカリ」に煮くずれが多い要因としては、澱粉を多く含む細胞群が「ホッカイコガネ」では維管束環内部にあるのに対して「キタアカリ」では表皮に近い部分にあること、細胞サイズが大きく単位体積あたりの細胞間の接着面積が小さくなり細胞が分離しやすいこと、細胞間隙の量が多く、細胞分離が起こりやすい構造を持つこと、さらに細胞壁成分の特性として、細胞間を接着するペクチン質の分子間架橋結合力が低いことが明らかにされている。舌ざわりはやや滑らか。調理後黒変は無い。食味は「男爵薯」並かやや良好な中の上で、えぐ味がなくややさつまいもに似た良い香りがする。長く貯蔵すると食味が低下しやすい。
用途は、サラダ、皮つきで蒸したり、粉ふきとしたり、また、スープなどのそう菜や外食産業にも向いている。煮くずれしやすいので長時間煮込む料理には不適。電子レンジ加熱は香りを生かすことができて煮くずれの心配もないので「キタアカリ」に適した調理法といえる。
貯蔵中の糖の増加が多く、ポテトチップなどの油加工には向かない。
カロチン含有量が高く、ビタミンCは「男爵薯」の約1.5倍近く含まれている。グリコアルカロイド含量は「メークイン」、「とうや」より少なく「男爵薯」並で、曝光による生成も「男爵薯」並。
・宇佐美農園に、じゃがいも(とうや、キタアカリ)を植えた。
*とうや
(1)形態的特性
萌芽時の葉色は赤色を帯びる。茎長は「男爵薯」よりやや長く、そう性はやや直立型。茎は太く数は少ない。茎色は緑色で基部に赤紫の分布がある。茎翼は直で、分枝は少ない。葉色は「男爵薯」よりやや淡い緑で、小葉の形は幅広く、大きさは大きく、光沢があり厚くてややでこぼこしている。小葉の着き方は「男爵薯」に比べるとやや疎で、全体としては粗剛な感じ。花色は白で、大きさは中位。花粉が多く、自然結果は中程度みられ、果実は大きく直径3cm以上のものもある。
ふく枝の長さは短~中で、ふく枝が太く、黄変期前の掘り取り時にはふく枝の離れが悪い。いも着はやや密で、深さは浅い。いもの形は球形で、目は「男爵薯」より浅くて少ない。皮色は黄褐色で、表皮がやや粗くネットがみられる。肉色は黄。
(2)生態的特性
いもの休眠は「男爵薯」並でやや長い。萌芽期及び初期生育は「男爵薯」並だが、茎数が少なく着葉がやや疎のため生育不良にみえることがある。塊茎形成始期は「男爵薯」より遅いが、その後の肥大は「ワセシロ」と同様に早い。枯凋期は「男爵薯」並か数日早い早生。茎葉の二次生長は無く、均一に黄変する。倒伏は少ない。
株当りいも数は少ないが、大いもが多く、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きく「ワセシロ」よりやや小さい。早掘り時の大いも比率も「ワセシロ」並。いもの粒ぞろいは良い。上いも収量は、早掘り、普通掘りとも「男爵薯」及び「ワセシロ」より多く、中以上いも収量では「男爵薯」より多く「ワセシロ」並。澱粉価は「男爵薯」より0.5~1ポイント低い。施肥量及び栽植密度に対する反応は鈍く、多肥や疎植でも過繁茂になることはないが、いもの大粒化が著しいので、L規格いもをそろえるには密植が適する。
(3)品質特性
いもが球形で、目が浅く大いものそろいが良いので、剥皮しやすく歩留りも高く、また酵素による剥皮褐変も少ないので一次加工などの業務用にも適する。肉質はやや粘質で、舌ざわりはきわめて滑らか。煮くずれは「男爵薯」や「ワセシロ」より少なく、調理後黒変はみられない。「キタアカリ」のような香りや、「男爵薯」や「農林1号」のようなジャガイモ臭は少ない。食味の評価は、好みによって異なり、粉質好みの人は低く、粘質を好む人は高く評価する傾向にある。
蒸しいもにすると水っぽいが、煮物やサラダ(スライスサラダ)、マヨネーズなどに向いている。ポテトチップやフライには向かない。ビタミンC含量は「キタアカリ」より少ないが「男爵薯」及び「ワセシロ」より多い。グリコアルカロイド含量は「男爵薯」より多く、特に曝光による増加が「メークイン」並に多い。
(4)用途 食用
長所 目が浅く、剥皮褐変、調理後黒変が少なく、業務用にも適する。
早期肥大性に優れ、早生、大粒である。
ジャガイモシストセンチュウに抵抗性。
短所 裂開を生ずることがある。
澱粉価がやや低い。
*キタアカリ
(1)生態的特性
休眠期間は「男爵薯」より短い。萌芽、初期生育とも「男爵薯」並ないしやや早い。枯凋期は「男爵薯」より1~2日遅い早生に属する。
株当りいも数が多くなる、やや個数型の品種。上いも平均一個重の増加は「男爵薯」よりやや遅く、枯凋期後も「男爵薯」並かやや小さめだが、中以上いも収量は「男爵薯」より若干多い。澱粉価は肥大の初~中期ではやや低いが、最終的には16~17%で「男爵薯」より1ポイント程度高くなる。施肥量に対する反応は「男爵薯」並で、1.5倍肥にした場合の収量は、中~小いも収量の割合が減少し、大いも以上の割合が増加する。栽植密度に対する反応は、3,419株から4,444/10aにすることによって若干増収するが、中~小いもの割合が高くなる傾向がある。いもの貯蔵性はやや劣る。
(2)品質特性
水煮の肉質はやや粉質で、貯蔵の経過とともに粉質度が低下していく。煮上がりが早く、煮くずれの程度は「男爵薯」よりやや多い。「キタアカリ」に煮くずれが多い要因としては、澱粉を多く含む細胞群が「ホッカイコガネ」では維管束環内部にあるのに対して「キタアカリ」では表皮に近い部分にあること、細胞サイズが大きく単位体積あたりの細胞間の接着面積が小さくなり細胞が分離しやすいこと、細胞間隙の量が多く、細胞分離が起こりやすい構造を持つこと、さらに細胞壁成分の特性として、細胞間を接着するペクチン質の分子間架橋結合力が低いことが明らかにされている。舌ざわりはやや滑らか。調理後黒変は無い。食味は「男爵薯」並かやや良好な中の上で、えぐ味がなくややさつまいもに似た良い香りがする。長く貯蔵すると食味が低下しやすい。
用途は、サラダ、皮つきで蒸したり、粉ふきとしたり、また、スープなどのそう菜や外食産業にも向いている。煮くずれしやすいので長時間煮込む料理には不適。電子レンジ加熱は香りを生かすことができて煮くずれの心配もないので「キタアカリ」に適した調理法といえる。
貯蔵中の糖の増加が多く、ポテトチップなどの油加工には向かない。
カロチン含有量が高く、ビタミンCは「男爵薯」の約1.5倍近く含まれている。グリコアルカロイド含量は「メークイン」、「とうや」より少なく「男爵薯」並で、曝光による生成も「男爵薯」並。
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