『私は告白する』(53)
宗教に縛られてのサスペンスというのがヒッチコックらしくない
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d87a21b3ecb3bbad07cd27c8788f4f1b
『私は告白する』(53)
宗教に縛られてのサスペンスというのがヒッチコックらしくない
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『メタモルフォーゼの縁側』(2022.3.20.オンライン試写)
こっそりBL=ボーイズラブ漫画を愛読している17歳の女子高生・うらら(芦田愛菜)がアルバイトをする本屋に、夫に先立たれ孤独に暮らす75歳の老婦人・雪(宮本信子)が立ち寄る。美しい表紙に引かれてBL漫画を手に取った雪は、初めてのぞく世界に驚きつつも、男の子たちが繰り広げる恋物語に魅了されていく。
その後、BL漫画の話題で意気投合したうららと雪は、雪の家の縁側で一緒に漫画を読んでは語り合うようになり、立場も年齢も超えて友情を育んでいく。
鶴谷香央理の同名漫画を監督・狩山俊輔、脚本・岡田惠和で映画化。粗筋だけを見ると、ちょっと際物っぽいものを想像させるが、実は、不器用な女子高生と孤独な老女によるユニークな“青春物語”で、それを体現する芦田と宮本もチャーミング。つまり、BL漫画は素材に過ぎないのだ。
そしてタイトルの「メタモルフォーゼ」が表す通り、2人が互いに影響し合って“変身”していく様子が、ほのぼのとしたタッチで描かれる。
共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
『シン・ゴジラ』に続いて、舞台を現代社会に置き換えて再構築した
『シン・ウルトラマン』
詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1329727
『アパルーサの決闘』(08)(2009.3.21.)
「西部劇研究会」に出席。今回はロバート・B・パーカーの西部劇小説『アパルーサの決闘』をエド・ハリスが監督・主演した『Appaloosa』の輸入版DVDを観賞。
牧場主ブラッグ(ジェレミー・アイアンズ)の横暴に悩むアパルーサの町は、秩序を取り戻すためにすご腕のガンマンのコール(ハリス)とヒッチ(ビゴ・モーテンセン)を雇うが…。
パーカーの原作は、保安官、友情、悪党、撃ち合い、インディアン、町、酒場などなど、西部劇的要素満載の面白さで、続編の『レゾリューションの対決』まで読んでしまった。
映画の方は、最近はやりの弾丸のアップやスローモーションもなく、全体的にはオーソドックスで真面目に撮っている印象を受けたが、ハッチと恋仲になるアリソンを演じたレニー・ゼルウィガーが、原作のイメージよりもかわいい感じでちょっと違和感あり。相棒役のモーテンセンがなかなかの好演を見せる。未公開になるほど悪い出来とは思わなかったが、西部劇というだけでダメなのだろうか。
6年前に1度参加したことがあった「第19回大船まつり」に。コロナ禍で3年ぶりの開催だという。今回はパレードには参加せず、ウエスタン・ユニオン仲間のガンプレーを見学した。
会場の鎌倉芸術館では、「わがまち大船写真展」が開催されており、松竹大船撮影所についての「シネマと大船」や「坂東武士と大船 ~頼朝・義時そして泰時へ~」のコーナーがあった。
そこで、大船にも「鎌倉殿の13人」絡みの場所があることを知った。「頼朝の隠し湯」と呼ばれた温泉があったというし、常楽寺は、北条義時の息子・泰時が妻の母の供養のために建立したとされるが、北条政子が娘の大姫と許嫁の源(木曽)義高の菩提を弔うために創建したとする説もあるという。本堂の裏には泰時の墓があり、裏山には義高の首塚といわれる塚があるそうだ。
https://anthonhouse-ofunamatsuri.jpn.org/
「大船まつり 映画パレード2016」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7f436cded241dc43b8b87273cb812c05
今回のお題は『ラスト・シューティスト』(75)
ジョン・ウェインの遺作で、がんに侵されたガンマンという役どころが、やはりがんを患ったウェイン自身と重なって見えるところがあり、どうしても見る側は感傷的になるのだが、製作当時、ウェインのがんは小康状態を保っており、本人は遺作にするつもりはなかったらしい。
監督のドン・シーゲルとも随分やり合って、シーゲルは「二度とデュークとは仕事をしない」と言い切ったとのこと。
今、改めて見ると、ローレン・バコールの凛としたたたずまいが素晴らしいと感じた。
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(18)公開時に、ロン・ハワードにインタビューした際に、西部劇は大好きで、俳優としてウェインと共演したこの映画は、特に印象に残っていると語っていた。
『ラスト・シューティスト』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/912da8680a12a973dfdf104479573fb1
【インタビュー】『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』ロン・ハワード監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/034b9b32ed126b9e8c531d8a4ab698f0
『トップガン マーヴェリック』(2022.5.10.TOHOシネマズ日比谷)
トム・クルーズ主演の大ヒット作『トップガン』(86)の続編。アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校に、伝説の男マーベリックが教官として戻ってくる。だが、訓練生たちは彼の型破りな指導に戸惑い反発する。その中には、かつてマーベリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子ルースター(マイルズ・テラー)もいた。ルースターはマーベリックを恨み、彼と対立する。そんな中、彼らに重大なミッションが下る。
製作は前作に続いてジェリー・ブラッカイマー(今回はクルーズも参加)。クルーズ主演の『オブリビオン』(13)のジョセフ・コジンスキーが監督をし、『ミッション:インポッシブル』シリーズの監督としても知られるクリストファー・マッカリーが脚本に参加と、まさにクルーズ御用達映画の感がある。
クルーズは、年に似合わず、『ミッション:インポッシブル』シリーズなどで、常軌を逸したとも思えるアクションを披露しているが、今回も自ら戦闘機に乗り込んで演技をするという離れ業に挑んでいる。
24歳だった前作から36年、間もなく60歳になるとはとても思えないクルーズは、相変わらずカッコいいが、刻まれた皺や、時折見せる憂いのある表情から年相応に見えるところもある。
そんな彼が、自らの任務や、相棒の息子との確執、かつての恋人(ジェニファー・コネリー)との関係に悩む姿を見ていると、今回はいろいろな意味で“大人のトップガン”という感じがした。
見る前は、正直なところ、ウクライナ問題が叫ばれる今、ある意味、戦闘機が主役のこの映画がどう映るのか、という危惧があった。
だが、アクション、サスペンス、ユーモア、人間ドラマといったさまざまな要素を取り込み、圧倒的な飛行シーンを映すこの映画を見ていると、あくまでこれは娯楽作であり、映画館で上映されるべき映画、大画面で見るべき映画だと素直に思えた。
ところで、前作との接点だが、前作でマーべリックのライバル、アイスマンを演じたバル・キルマーが将軍役で再出演している。実際に咽頭がんを患った彼が、それを反映させた設定で出ていることに、時の流れを感じて感慨深いものがあった。
また音楽は、前作同様、ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」が流れ、グース(アンソニー・エドワーズ)がピアノの弾き語りで歌った「火の玉ロック」(ジェリー・リー・ルイス)を息子のルースターが歌う場面があるなど、前作を意識したところが多分に見られた。
ただし、前作でマーベリックと恋に落ちたシャーロット(ケリー・マクギリス)は今回は出てこないので、2人のテーマ曲ともいうべき「愛は吐息のように」(ベルリン)は流れない。今回のテーマ曲を歌うのはレディー・ガガだ。
『トップガン』30年ぶりに再見
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e1f1d33f778a69a5a93901e7926b9bb9
『シン・ウルトラマン』(2022.5.13.MOVIX亀有)
「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる謎の巨大生物が次々と現れ、その存在が日常になった日本。通常兵器が通じない禍威獣に対応するため、政府は、班長の田村君男(西島秀俊)、作戦立案担当官の神永新二(斎藤工)ら、スペシャリストを集めて「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立し、禍威獣対策に当たらせていた。
そんなある日、大気圏外から銀色の巨人が突如出現し、禍威獣を倒す。このウルトラマンと名付けられた巨人対策のため、禍特対には新たに分析官の浅見弘子(長澤まさみ)が配属され、神永とバディを組むことになる。
特撮テレビドラマ「ウルトラマン」を、『シン・ゴジラ』(16)の庵野秀明と樋口真嗣のコンビで映画化。庵野が企画・脚本、樋口が監督を務め、舞台を現代社会に置き換えて再構築した。
『シン・ゴジラ』は、音楽やタイトルなどに過去作へのオマージュは示しつつも、過去作を縛った前提を全てリセットして、「今の日本に“初めて”ゴジラが来たら?」という新たなテーマを提示しながら、自由なアイデアを展開させた点がユニークだった。
ところが、今回は、連続ドラマの「ウルトラマン」全39話の中から、庵野と樋口が自分好みの部分を抽出して、2時間にまとめた感じなので、どうしても語り口が急ぎ足になるし、いろいろと詰め込み過ぎて全てが中途半端な感じがした。しかも、ストーリーに縛りがある分、新鮮さや自由度も低い。「禍威獣(カイジュウ)」や「禍特対(カトクタイ)」という当て字もちょっと鼻につく…。
また、専門用語が飛び交う早口のせりふ回しなのに、滑舌やアクセントが悪くて何を言っているのか分からないことが多い。特に、禍特対隊員役の有岡大貴と早見あかりがひどかった。
では、この映画は救いようがないほどひどいのかといえば、決してそうではないのだから困ってしまう。
例えば、カラータイマーがないところに違和感はあるものの、ウルトラマンの造型は決して悪くはないし、スペシウム光線や八つ裂き光輪の使い方も面白い。
また、冒頭の「ウルトラQ」へのオマージュをはじめ、細部に見られるオリジナルへの敬意、ウルトラマンと禍威獣の対決シーンに流れる宮内國郎の音楽、そしてラストの“あの一言”などは、自分のようなオールドファンにはたまらないものがある。
庵野秀明は自分と同い年だから、「ウルトラマン体験」には共通するところが多いと思う。だからこそ、わが意を得たりと思うところと、そうじゃないだろ、というところが相半ばして、複雑な思いにとらわれるのである。何だか、勉強が出来て理屈っぽい同級生の研究発表を見せられたような、妙な気分になった。
『シン・ゴジラ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a8b731deeb233a3524d3bb3be27b3bfa
共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
訳ありのボクサーを主人公にした、熱き肉体派映画
『生きててよかった』『義足のボクサー GENSAN PUNCH』