田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『るろうに剣心 伝説の最期編』

2014-09-13 18:22:30 | 新作映画を見てみた

 

 この映画のクライマックスの対決シーン。敵役の志々雄真実(藤原竜也)のあまりの強さに、剣心(佐藤健)一人ではとても歯が立たない。そこで斎藤一(江口洋介)、四乃森蒼紫(伊勢谷友介)、相楽左之助(青木崇高)が束になって志々雄にかかっていくのだが…。

 このシーンを見ながら、ゴジラとモスラとラドンが共闘してキングギドラにかかっていく『三大怪獣地球最大の決戦』(64)を思い出したのは果たして俺だけだろうか。

 剣心が志々雄に「俺たち、人斬りの時代は終わったのだ」と言うように、この完結編では「時代に順応できず不器用に生きる悲しい男たちの物語」という面が強調されていた。

 志々雄の最後のセリフ「久しぶりに楽しかったぜ。こんなのは幕末以来だ」もなかなかいい。

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【ほぼ週刊映画コラム】『舞妓はレディ』

2014-09-13 17:53:58 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

新人女優、上白石萌音を発見するための映画
『舞妓はレディ』



名台詞は↓

「京都の雨は大概、盆地に降るんやろか?」
by京野法嗣(長谷川博己)

詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/966693
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不死身の殺し屋“ジョーズ”死す 『007/私を愛したスパイ』 『007/ムーンレイカー』 

2014-09-13 15:26:57 | 映画いろいろ

不死身の殺し屋“ジョーズ”死す

 

 2メートル18センチの巨漢俳優リチャード・キールが亡くなった。『007/私を愛したスパイ』(77)と『007/ムーンレイカー』(79)で、鋼鉄の歯を持つ不死身の殺し屋“ジョーズ”を演じて強烈な印象を残した彼である。ジョーズという名前は、スピルバーグの大ヒット作『ジョーズ』(75)にあやかったもの。サメの顎にも負けない鋼鉄の歯の持ち主というわけだ。

 『007/私を愛したスパイ』では冷酷な殺人鬼だったが、『007/ムーンレイカー』では三枚目的なキャラクターに変化したのも、キールの人柄がスタッフ、キャストから愛されたためだったという。007シリーズは個性的かつ魅力的な悪役の宝庫だが、今のところ2作続けて登場したのはジョーズだけだ。

 70年代の映画を語るときにジョーズは不可欠の存在。俳優としては一世一代の当たり役を得たことは幸せだったのではあるまいか。他の主な出演作は、『ロンゲスト・ヤード』(74)『大陸横断超特急』(76)『ナバロンの嵐』(78)『ペイルライダー』(85)など。

 カーリー・サイモンが歌った『007/私を愛したスパイ』の主題歌「Nobody Does It Better」を聴くたびに彼のことを思い出すことだろう。

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俳優の浦野RENさんと会食

2014-09-12 19:29:56 | 俺の映画友だち
旧知のベテラン俳優、浦野RENさんと久しぶりに会食。

http://sanki-pro.co.jp/urano.html

 

浦野さんはハリウッドでも
『オースティン・パワーズ:デラックス』(99)と
『オーシャンズ13』(07)で相撲の行司役、
『SAYURI』(05)では同じく呼び出し役を演じている。
http://www.imdb.com/name/nm0992143/?ref_=ttfc_fc_cl_t34


今年は
NHKドラマ「足尾から来た女」と「神谷玄次郎捕物控」

CMでは、
松平健のサントリーオールフリー『ドライブでオールフリー』篇
に出演。
http://www.youtube.com/watch?v=97jmfmt6OZE

Vシネマ25周年記念映画『25 NIJYU-GO』
伊坂幸太郎原作の『グラスホッパー』が公開待機中だ。
コメント (2)
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「男もほれるカッコいい男」『大脱走』『タワーリング・インフェルノ』『ハンター』

2014-09-12 09:11:31 | 名画と野球のコラボ

名画投球術 No4.「男もほれるカッコいい男が観たい」スティーブ・マックィーン



 
 男にはヒーローと呼ぶべき人がいる。彼らは「あんなふうになりたいと」思わせる憧れであり、手本でもある。その筆頭がスティーブ・マックィーンだ。彼には“男が男にほれる”という言葉がピッタリと当てはまる。

 彼がそのきびきびとした身のこなしで演じたキャラクターの多くは、まず銃やバイク、車といった男があこがれるアイテムを鮮やかに使いこなす。そして孤高、不屈、反逆、プロフェッショナルといった共通項を持ち、男が現実の社会で直面しながらなかなか打破できない壁を痛快に打ち破ってみせてくれた。そんな文句なくカッコいいマックィーンが堪能できる3本を紹介しよう。

不屈のキャッチボール 『大脱走(1963・米)』



 第二次大戦下、脱走不可能とされたドイツ軍の捕虜収容所から、連合軍捕虜たちがさまざまな手段を駆使して大量脱走を企てる。『荒野の七人』(1960)に続く、マックィーン+ジョン・スタージェス監督+エルマー・バーンステイン音楽&多彩なキャストが放ったプロの男たちのドラマ。

 多彩なキャラクターの中でマックィーンが演じたのは、何度も脱走を企てながら失敗し、クーラー・キング=独房王の異名を持つ一匹狼ヒルツ。彼は決して群れず、友を射殺したドイツ軍に対する義憤によって初めて脱走を計画する組織に加わる。だが脱走後はまたも単独行動。ドイツ軍のバイクを奪い激しいチェイスを展開させる。

 この映画のマックィーンのカッコ良さにしびれてバイクに乗り始めた男は数知れない。“不屈のキャッチボール”の意味は映画を観れば納得してもらえるはず。

宿命のライバル 『タワーリング・インフェルノ(1974・米)』




 サンフランシスコに137階建ての超高層ビル「グラス・タワー」が完成。その落成式のパーティーの最中に火災が発生。祝いの宴は一転して修羅場と化す。当時流行していたオールスター・キャストによるパニック映画のグランドスラム=最高傑作。

 ポール・ニューマン主演の『傷だらけの栄光』(1956)に端役出演した屈辱からおよそ20年。マックィーンが生涯のライバルと目していたニューマンをついに追い越した作品。扱いはあくまで同格だが、この映画の主役はだれが観てもマックィーン演じるオハラハン消防隊長であろう。火災現場で示される冷静かつ大胆な行動力はまさにプロの仕事人のかがみ。カッコいいぜ! 

 この映画を観て消防士を志した男たちもまた少なくない。

ゲームセット 『ハンター(1980・米)』



 パパことラルフ・ソーソンは現代に生き残ったバウンティー・ハンター=賞金稼ぎ。犯罪人を捕らえるために駆け回る毎日だ。一方、私生活では同棲中の恋人が妊娠し、父親になることに戸惑っていた。そんな中、かつて捕らえた凶悪犯からの脅迫電話が掛かる。

 マックィーンの遺作である。出世作となったテレビドラマ『拳銃無宿』(1958)を意識したとも思える役柄。『ブリット』(1968)をパロディー化したようなユーモアも感じさせる一方、撮影中にすでにがんに侵されていたためか、残念ながらマックィーンのアクションに往年のきれはない。

 だがアクション・スターとしてのイメージを観客の心に刻み続け、病とも断固闘い逝った男の美学はやはりカッコ良く美しい。またラストシーンで生まれたばかりのわが子に掛ける一言=ゴッド・ブレス・ユーは、観客に対する彼の遺言ともとれる。

 さて、かつてバイクにも乗れず、消防士にもなり損なった男たちは、この映画を観て賞金稼ぎを目指したとか…。

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昭和天皇が見た映画

2014-09-10 10:06:00 | 映画いろいろ

昭和天皇が見た映画

 宮内庁編纂の『昭和天皇実録』の内容が公表され、9日付けの毎日新聞に実録内の“昭和天皇が見た主な映画”についての記事と一覧表が載っていた。

 

 最初に登場するのは、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督、マレーネ・ディートリッヒ、ゲーリー・クーパー共演のメロドラマ『モロッコ』(30)。天皇が鑑賞する映画としては少々意外な感もあるが、日本で初めて字幕スーバーが付いたトーキー映画なのでそれを記念して見たのかもしれない。戦前の、チャップリンの名作『街の灯』(31)日独合作で原節子主演の『新しき土』(37)などを経て、戦中は、円谷英二が特撮を担当した『ハワイ・マレー沖海戦』(42)など、国策映画が中心となる。



 ただ、ラストシーンで出征する息子を見送る母の姿が、戦意高揚にそぐわないと軍部からクレームが付いた木下惠介の『陸軍』(44)や、特攻隊を描いた『最後の帰郷』(45)も見ていたのには驚いた。また、日米開戦後の42年の自身の誕生日にディズニーアニメの『ミッキーの捕鯨船』(38)を見たというのは皮肉な出来事だが、ほほ笑ましくもある。

 終戦直後、原爆投下後の広島など、各地の惨状はニュース映画を通して知った可能性が高いという。その後は、復興する日本、世界との協調の中で、ローレンス・オリビエ監督・主演の『ハムレット』(48)、エリザベス・テイラーらが4姉妹を演じた『若草物語』(49)、小津安二郎の『麦秋』(51)、黒澤明の『羅生門』(50)と続く。中でも『ハムレット』は2度見たと記されている。さらに、『ローマの休日』(53)に続いて『ベン・ハー』(59)をテアトル東京で見ている。どちらも監督は巨匠ウィリアム・ワイラーだ。

 

 そして高度経済成長期、日米開戦を描いた日米合作映画『トラ・トラ・トラ』(70)、先代の松本幸四郎が昭和天皇を演じた岡本喜八監督の終戦秘話『日本のいちばん長い日』(67)を見たことも記されている。特にこの2本は一体どんな思いで見たのだろうかと、興味をそそられる。

 そして最後に登場するのが、遣唐使となった留学僧たちの群像劇『天平の甍』(80)だ。昭和天皇は本当はこういう映画こそ見たかったのではあるまいか。いずれにせよ、映画が時代を映す鏡であることを示す貴重な資料として大変興味深く読んだ。

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早稲田松竹

2014-09-08 00:38:25 | 俺の映画友だち
高田馬場、
早稲田松竹のすぐ隣の居酒屋で映画好きの仲間たちと飲み会。



早稲田松竹では「黒人映画監督の夜明け」と題して、スティーブ・マックィーン監督の『それでも夜は明ける』
映画コラムはこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/446837

リー・ダニエルズ監督の『大統領の執事の涙』を上映していた。
映画コラムはこちら↓
http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/364585

お客さんもかなり入っている模様。
都内の名画座が軒並み閉館する中、頑張っている姿を見るとうれしくなる。

2012年4月に取材した
違いのわかる映画館「早稲田松竹」 はこちら↓
http://season.enjoytokyo.jp/cinema/vol18.html
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「新・紙ヒコーキ通信」最終回

2014-09-06 19:31:01 | 映画いろいろ

 『オール読物』に連載中の長部日出雄さんの新作映画時評「新・紙ヒコーキ通信」が、9月号の「幕引きの弁」で最終回を迎えた。病が重なり、もはや映画を見に行くことも大変になったとのこと。映画館で映画を見ることにこだわった長部さんだけにさぞや無念であろうと思われる。

  

 残念ながら「新・紙ヒコーキ通信」はまだ単行本にはなっていないので、その前身である「紙ヒコーキ通信」をまとめた三部作(83~88)「映画は世界語」「映画監督になる法」「映画は夢の祭り」を読み返している。

 長部さんの映画への熱い思い、映画に関する博識と鋭い分析によって支えられたこの三部作は、当時、映画について何か書きたいと思っていた自分にとって、楽しみながら学べる教科書のような存在だったことを思い出した。



 例えば、「映画は夢の祭り」所収の「なんてったってカスダン」では『シルバラード』(85)を評して、西部劇において守られるべき原理は、はっきりしている。強者の悪は許さない。主人公は弱者の立場に立ち、なにより女性と子供を庇うことに全力を挙げる。弱きを助け、強きを挫く。すなわちリベラルの精神(スピリット)である。

 なに(WHAT)を描くかは決まっているから、問題はいかに(HOW)描くかになる。もっと端的にいえば、どんなシチュエーションで、どのようなスタイルで拳銃を抜き、もっとも切れ味がよくて、しかも後味のいい方法で敵を倒すか、なのだ。と記している。

 いまさらながら分かりやすい見事な筆致だと思う。こうしてあらためて読み返すと、なにやら初心を忘れるなと言われているような気もする。長部さん、どうぞお大事に。

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【ほぼ週刊映画コラム】『フライト・ゲーム』

2014-09-06 17:40:15 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

“空飛ぶ密室サスペンス”
『フライト・ゲーム』



名台詞は↓

「俺は飛行機が嫌いだ」
byビル・マークス(リーアム・ニーソン)

詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/965616
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アンドリュー・V・マクラグレン逝く 『シェナンドー河』 『コマンド戦略』 『ビッグケーヒル』

2014-09-05 20:47:05 | 映画いろいろ

アンドリュー・V・マクラグレン逝く

  

 ジョン・フォードの後継者と呼ばれ、西部劇や戦争映画の秀作を残したアンドリュー・V・マクラグレン監督が亡くなった。94歳だった。

 父がフォード一家を代表する俳優のビクター・マクラグレンだったこともあり、『静かなる男』(52)などのフォード映画の助監督を経て1960年に監督デビュー。

 西部劇ではジェームズ・スチュワート主演の『シェナンドー河』(65)、ジョン・ウェイン主演の『マクリントック』(63)、『大いなる男たち』(69)、『チザム』(70)、『ビッグケーヒル』(73)などを残したが、すでに正統派西部劇の時代は晩年を迎えており、西部の家族劇を基調とする彼の真面目な作風は、残念ながらいささか時代遅れに見えた。

 また、チャールトン・ヘストンとジェームズ・コバーン共演の『大いなる決闘』(76に至ると、マカロニ・ウエスタン風の残酷さとしつこさだけが目立ち、なんだか無理をしているような感じがして切なくなった。

 むしろ彼は、『コマンド戦略』(67)や『ワイルド・ギース』(78)といったチームが活躍する戦争映画に冴えを見せたといえるかもしれない。

 時代に恵まれず巨匠になり損ねた感がある監督だが、最近になって彼の映画を見直すと、昔は時代遅れと思ったそのゆったりとした演出が、逆に心地良く感じられたりもする。これは自分が年を取ったからそう感じるのか。

 我が、マクラグレンベストスリーは、『シェナンドー河』『コマンド戦略』『ビッグケーヒル』。

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