田中雄二の「映画の王様」

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『ザ・ロック』

2019-07-03 09:33:43 | 映画いろいろ
『ザ・ロック』(96)(1997.7.30.目黒シネマ 併映は『身代金』)

   
 
 アメリカ海兵隊員の英雄が率いるテロリストと、それを制圧せんとする特殊部隊との攻防を描く。製作ジェリー・ブラッカイマー、監督マイケル・ベイ。
 
 この映画は、まずはプロデューサー兼任のショーン・コネリーが、自分を際立たせるためのしたたかさを示したものだと言える。残念ながら、ニコラス・ケイジとエド・ハリスは、横綱コネリーの露払いと太刀持ち役といった感じだ。
 
 前半はケイジとハリスにそこそこ花を持たせておいて、おもむろに登場して全てをさらってしまうコネリーは、いささかあざとく見える。しかも幽閉された元英国諜報部員とくれば、嫌でも007=ジェームズ・ボンドの影がちらつく。時折、それに引っ掛けたようなジョークも発せられるから、これは意識的な役柄なのだろう。
 
 この映画、手の込んだ伏線も張られてはいるのだが、派手なドンパチの方が目立ってしまってそれが生かされていない。特にハリスが演じた国家に対して反旗を翻す将軍の腰砕けぶりにはがっかりさせられる。だから、トータルとしては、最近流行のスピーディーなノンストップアクションの標準作という印象に落ち着いてしまうのだ。

 【今の一言】この映画のプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは「映画は極上の娯楽である」をモットーに、『トップガン』(86)『クリムゾン・タイド』 (95)『アルマゲドン』(98)『ブラックホーク・ダウン』(01)『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど、派手なアクションと、ヒット曲を使用したサウンドトラックを融合させた映画を作り続けている。同種のプロデューサーであるジョエル・シルバーとともに、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(08)でトム・クルーズが演じたプロデューサー役のモデルとなったとされる。

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