田中雄二の「映画の王様」

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『映画検閲』

2024-09-01 14:50:41 | 新作映画を見てみた

『映画検閲』(2024.8.30.オンライン試写)

 1980 年代、サッチャー政権下のイギリス。暴力シーンや性描写を売りにした過激な映画「ビデオ・ナスティ」の事前検閲を行うイーニッド(ニアフ・アルガー)は、その容赦ない冷徹な審査故に「リトル・ミス・パーフェクト」と呼ばれていた。

 ある日、イーニッドがいつも通り作品をチェックしていると、あるホラー映画の出演者が、幼い頃に行方不明になった妹のニーナに似ていることに気付く。

 妹の不可解な失踪といまだに向き合えていないイーニッドは、真相につながるかもしれない不気味なホラー映画と、謎めいた映画監督の背後にある真実を突き止めることを決意するが、次第に虚構と現実の狭間へと引きずり込まれていく。

 長編映画はこれが初監督となるプラノ・ベイリー・ボンドによる心理ホラー。サンダンス映画祭など各国の映画祭で上映されて注目を集めた。

 劇中に流れるホラー(ゴア、スプラッター)映画、それを再生するVHSテープとデッキとブラウン管テレビ、あるいはフィルムと映写機、そして闇レンタルビデオ店(ダビングテープ)の存在など、「ホラー映画の過激な描写は青少年の人格形成に有害」と言われた80年代当時の映画事情の一端を再現している。

 また、映画検閲官を描いた映画は珍しいので、その仕事ぶりは興味深く映ったが、虚構と現実の交錯描写が曖昧過ぎて、見終わった後にもやもやした感覚が残るのは否めない。


 この映画を見ながら、80年代中頃、『人喰いエイリアン』(84)『悪魔のオペ』(74)といった、劇場未公開の低予算ホラーやアクションものを中心にビデオ化した「MIMI」というレーベルがあったことを思い出した。懐かしくなってちょっと調べてみたら、創業者は何と俳優の仲雅美だったというから驚いた。

扱った映画のラインアップもあった。
https://mimivideo.amebaownd.com/pages/2692004/schedule


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