田中雄二の「映画の王様」

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『涙の数だけ笑おうよ 林家かん平奮闘記』

2016-09-20 08:00:16 | 新作映画を見てみた

落語家の性(さが)



 脳いっ血で倒れ、リハビリを続けながら高座に上がり続ける車いすの落語家・林家かん平の姿を追ったドキュメンタリー。竹藤恵一郎監督の先輩にあたる友人に薦められて見てみた。落語家が主人公の『寝ずの番』(06)を監督し、『落語娘』(08)では落語家を演じた津川雅彦がナレーターを務めている。

 まず、一見したところはお涙頂戴や際物になりかねない題材なのに、全くそうした視点では描いていない監督の姿勢にすがすがしさを感じた。
もちろんそれは、かん平のひょうひょうとしていて、暗さや悲惨さを感じさせない性格や、落語家らしく言葉の端々に差し挟むユーモアなどに負うところが大きいのだろう。

 それ故、不謹慎とは思いつつも、その言動に笑わされる場面がたびたびあるし、身障者の話というよりも、一人の落語家の芸道話として見ることができる。とは言え、何としても人を笑わせようとするところに落語家の性(さが)を感じて切なくなるところもある。かん平を励まし続けながら先に亡くなった江戸家猫八の姿に涙した。


 映画の余勢を駆って、帰りに久しぶりに末廣亭を訪れた。(メモを取らず、記憶を頼りにしているので演目が違っているかもしれない)

9.18.昼の部 中入り
柳家燕弥…金明竹
すず風にゃん子・金魚(漫才)
三遊亭若圓歌…(新作)
五街道雲助(休演)…猫の皿
ペペ桜井(ギター漫談)
柳家権太楼…代書屋

夜の部
春風亭朝之助…
東京ガールズ(漫談)
三遊亭丈二…(新作)
春風亭勢朝…(新作)
笑組(漫才)
古今亭菊春…目黒の秋刀魚
三遊亭歌る多…片棒
林家ぺー(漫談)
春風亭一朝…笠碁
柳家小満ん…親子酒

中入り
柳家ろぺえ…もぐら泥
三増紋之助(曲ごま)
桂ひな太郎…(新作)
夢月亭清麿…時の過ぎ行くままに(新作)
林家正楽(紙切り)
春風亭一之輔…初天神


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