goo blog サービス終了のお知らせ 

映画の王様

映画のことなら何でも書く

『メリー・ポピンズ』

2019-01-15 06:14:15 | 映画いろいろ
『メリー・ポピンズ』(64)(1981.5.6.新宿ロマン)



 子供のころに見逃し、高校の頃にも見逃して、今頃やっとお目にかかった。それ故、もはや自分は、この映画の子供たちの純粋さからは遠く離れ、父親のジョージ・バンクス(デビッド・トムリンソン)の頑固さや寂しさも何となく分かってしまうという、甚だ中途半端な立場の観客だった。

 『サウンド・オブ・ミュージック』(65)と並ぶ、ジュリー・アンドリュースの素晴らしくも美しい歌声と存在感、ディック・バン・ダイクの見事な大道芸(特にファーストシーンはすごい)、トムリンソンほかの達者な脇役たち、2人の子役のかわいらしさ、「お砂糖ひとさじで」「2ペンスを鳩に」「楽しい休日」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」「チム・チム・チェリー」「凧をあげよう」などシャーマン兄弟の名曲の数々、圧巻のダンスシーン、アニメと実写の融合…。これはまさしくディズニー映画の最高作であろう。

 監督のロバート・スティーブンソンは、この映画のほかにも『うっかり博士の大発明/フラバァ』(61)『シャム猫FBI/ニャンタッチャブル』(65)『黒ひげ大旋風』(68)『ラブ・バック』(69)『ベッドかざりとほうき』(71)など、ディズニーの実写映画の傑作を生んだ人。もっと評価されてもいいと思う。

 ところで、この映画は夢物語である。そんなことは分かっているが、現実の味気ない生活の中で生きている今の自分が、一時でもそこから離れて、温かいものに触れたいという欲求を見事にかなえてくれた。そして忘れていた“何か”を思い出させてもくれた。それはスピルバーグが『未知との遭遇』(77)で伝えた“何か”とも似ている気がする。その漠然とした何かとは、大人になるにつれて見失ってしまう希望、純粋さ、連帯感、温かい心といったものだ。それらは、最近読んだサン=テグジュペリの『星の王子さま』のテーマにも通じるものだ。

 【今の一言】約40年前に書いた、何とも青臭い一文だが、当時の心境はこんな感じだったのだから仕方ない。それよりも、いつの間にか、自分がこの映画のジョージ・バンクスの年齢を越えてしまったことに気づいて愕然とした。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北原白秋ゆかりの地を散歩 | トップ | 『私は殺される』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

映画いろいろ」カテゴリの最新記事