田中雄二の「映画の王様」

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レイ・リオッタの映画『コリーナ、コリーナ』

2022-05-28 07:30:31 | 映画いろいろ

『コリーナ、コリーナ』(94)(1996.1.1.WOWOW)

 大学を卒業したものの、差別によって仕事に恵まれず、家政婦として働く黒人女性コリーナ(ウーピー・ゴールドバーグ)と、母親の死にショックを受けて口がきけなくなった娘モリー(ティナ・マジョリーノ)のためにコリーナを雇った父親のマニー(レイ・リオッタ)との心の交流を描く。

 この映画は、ハートウォームを装いながら、1950年代後半の人種差別の様子を見え隠れさせるしたたかな映画だった。特にこの映画の前に『フィラデルフィア』(93)でのデンゼル・ワシントンの弁護士役を再見したばかりだったので、隔世の感があった。

 しかも、またもやジェシー・ネルソンなる女性の監督作品である。確かに、この映画のような、少女の微妙な心の動きなどは男には分からない。だから、過去に作られた“女性映画”と呼ばれた一群も、実は男の勝手な視点から撮られていたのかもしれないと考えさせられる。このあたりに、わずかではあるが、映画界の変化が感じられる。

 この映画を見るきっかけは、ドン・アメチーの遺作と知ったからだった。もちろん若き日の全盛期は知らないが、『コクーン』(85)での見事な復活以降、粋なじいさんを演じさせたら天下一品だった。だから、今回のせりふなしでの動きだけの演技は、見ていて悲しかった。

【今の一言】犯罪者やサイコ役が多いリオッタが、この映画では珍しく娘に振り回されるいいお父さんを演じていた。

 


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