田中雄二の「映画の王様」

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『色ごと師春団治』

2021-05-10 10:44:15 | 映画いろいろ

 今日の朝ドラ「おちょやん」は、成田凌演じる一平のモデルとなった、渋谷天外脚本の舞台「桂春団治」を再現していた。人力車に乗って春団治が昇天していくラストシーンが印象に残るこの舞台を基に、天外がペンネームの館直志(たて・なおし)として脚本を書き、天外の弟子の藤山寛美が春団治を演じた映画があった。ちなみに「『おちょやん」』では、前田旺志郎が寛美をモデルにした“寛治”を演じている。

『色ごと師春団治』(65)(1990.5.26.)

 藤山寛美が亡くなっての追悼放映。それにしても、平均寿命を考えたら、最近亡くなった成田三樹夫も、早野凡平も、この寛美も、早死にだろう。特に喜劇をやっていた人は、その死とともに、生前の仕事が喜劇から悲劇に転化してしまうところがあるのが悲しい。

 例えば、このマキノ雅弘監督の映画は、都はるみの「浪花恋しぐれ」で復活した落語家・桂春団治の一代記(芸のために泣かされた女房役は南田洋子)だが、妙に寛美の生きざまと重なるところがあって、哀れさの方が際立って見えてしまうところがあった。

 とは言え、正直なところ、自分のような舞台音痴な東京の人間には寛美という役者の本質は分からない。だから、寛美と言えば、大昔にテレビで見た“あほボン”のイメージが強いのである。改めて、東京と大阪の見えない距離を思い知らされた気もする。

【今の一言】ところで、木村恵吾監督、森繁久彌主演の『世にも面白い男の一生 桂春団治』(56)という映画もある。この映画には、「おちょやん」のモデルとなった浪花千栄子が出ている。こういうしり取りも面白い。

 


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