goo blog サービス終了のお知らせ 

映画の王様

映画のことなら何でも書く

『翔んだカップル』

2020-07-07 07:00:05 | 映画いろいろ

『翔んだカップル』(80)(1982.6.12.)

 九州から東京の名門高校へ入学した田代勇介(鶴見辰吾)は、叔父の留守宅に住むことになるが、不動産屋の手違いでクラスメートの山葉圭(薬師丸ひろ子)が間借り人として同居することになる。

 今年の正月に、この映画と同じく、相米慎二と薬師丸ひろ子が組んだ『セーラー服と機関銃』(81)を見た際に、随分この映画との比較論を目にした。

 その中でも、相米の長回しが話題になっていたが、今回、一緒にビデオを見た先輩が「テレビのトリミングされた画面では、相米の長回しの画は時折そこからはみ出して、収まり切れないんだよ」と解説してくれたおかげで、改めて、映画のテレビ放映の限界を知らされた思いがした。

 ところで、肝心のストーリーの方だが、意外に楽しめた。柳沢きみおの原作漫画とは全く違うイメージだが、かと言ってテレビドラマ版ほどコメディタッチでもなく、現代の若者の典型を描き出しているとも言える。

 ところが、見ているうちに、「このカップルは、翔んでるどころか、むしろ古いタイプのカップルなのではないか」と思わされた。自分の周りにいる今の若者たちは、恋愛やセックスに関しては、こんなに気を持たせるような、回りくどいことはせず、もっと直接的なのだ。

 それ故、薬師丸が演じるヒロインが、翔んでいるようでいて、実は純粋なかわいらしさを持った、伝統的に男が惚れるタイプの女に見えてくる。彼女の人気の秘密は、実はこのあたりにあるのでは? とも思える。

 つまり、現実においては、映画の中で彼女が演じたような女性に出会う機会はほとんどない。大げさに言えば、彼女が演じた役は、一風変わってはいるが、男が女に対して抱く理想像なのではないか。そんな気がした。

【今の一言】約40年前、スパイダースの歌じゃないが、「あの時、俺も若かった」ということ。  


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『スネーク・フライト』 | トップ | 映画音楽のマエストロ、エン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

映画いろいろ」カテゴリの最新記事