『夕陽に向って走れ』(69)(1974.10.17.日曜洋画劇場)
1909年に実際に起きた事件を基に映画化した異色西部劇。出稼ぎから故郷の居留地に戻ってきたパイユート族の青年ウィリー(ロバート・ブレイク)は、恋人のローラ(キャサリン・ロス)との結婚を決意するが、反対するローラの父親を誤って殺してしまい、ローラと一緒に逃走する。クーパー保安官(ロバート・レッドフォード)たちが、彼らの後を追うが…。
レッドフォードとロスが出ているからか、『明日に向って撃て!』(69)にあやかったような邦題になっているが、原題は「ウィリーはここにいると彼らに言え」。監督・脚本は、赤狩りで追放され、59歳で映画界の表舞台に復帰したエイブラハム・ポロンスキー。
テレビでの解説を採録した『淀川長治の日曜洋画劇場』に、「赤狩りの追放への怒りが、この映画のウィリーの姿になってあふれ出ている。この映画にはポロンスキーの執念が出ている。それがこの映画を厳しいものにした」と記されている。確かに、当時この解説を聞いて感心したことをよく覚えている。
また、ポロンスキーについては、藤本義一が『映像ロマンの旗手たち』アメリカ編(角川文庫)で、フィクションを織り交ぜながら書いている。
この映画の後、結局ポロンスキーは数本の脚本を書くにとどまり、完全復帰とはならなかった。久しぶりにポロンスキーの名前を聞いたのは、赤狩りの時に同士の名前を密告したエリア・カザンが、アカデミー賞の名誉賞を受賞した際、会場の外で抗議デモを行ったことでだった。
ビデオ通話で西部劇談議『夕陽に向って走れ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2d43aeb953525b94bd07cfbec9e1d465
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