田中雄二の「映画の王様」

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「BSシネマ」『捜索者』

2024-07-05 07:11:28 | ブラウン管の映画館

『捜索者』(56)

 

 原作は、アラン・ルメイの同名小説。南北戦争終結後、コマンチ族によって兄一家を殺され、連れ去られた姪(ナタリー・ウッド)を救出するための旅を続ける男の姿を描く。ジョン・フォードは「一人の孤独な人間の悲劇の物語」と語っている。

 ジョン・ウェイン=デュークが、兄嫁への思いを胸に、コマンチへの復讐に取りつかれたイーサン・エドワーズを見事に演じた。『タクシードライバー』(76)でロバート・デ・ニーロが演じたトラビスは「イーサンからヒントを得た」と脚本のポール・シュレーダーが語っている。

 後に、自身の演技について聞かれたデュークは、「『駅馬車』(39)『赤い河』(48)がベターであり、『黄色いリボン』(49)『静かなる男』(52)『果てなき船路』(40)もいい。でも、『捜索者』はもっと賞されてもよかったと思う」と答えたという。息子の一人をイーサンと名付けたことからも、彼のこの映画に対する思い入れの強さが分かる。

 ロードムービーとして見ても面白い異色西部劇。イーサンと共に旅をするマーティンを演じたジェフリー・ハンターもなかなかいい。

『捜索者: 西部劇の金字塔とアメリカ神話の創生』(グラン・フランケル)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7f436cded241dc43b8b87273cb812c05


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