田中雄二の「映画の王様」

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『寄生獣』

2014-12-05 19:39:30 | 新作映画を見てみた

母性や種の存続をめぐる争いを描く
グロテスクがユーモアを上回る




 人間に寄生し、人間に擬態し、人間を捕食する新種の寄生生物(パラサイト)が出現。高校生の新一(染谷将太)と彼の右手に寄生したミギーとの奇妙な友情と、寄生生物との戦いを描く2部作の前編。山崎貴監督がVFXを駆使して、岩明均の人気漫画を映画化しているが、原作は未読なのであくまでも映画としての印象を。

 大まかにいえば、寄生生物を媒介にした、新一と母親(余貴美子)の相克劇であり、そこに、何かと新一の世話を焼く人間側の同級生(橋本愛)や寄生生物側の妊娠した女性教師(深津絵里)の存在を加えると、『エイリアン』のように、ホラーの形を借りて、母性や種の存続をめぐる争いを描くという図式が浮かび上がる。

 ただ、人間(寄生生物)が人間を捕食する場面などがリアル過ぎて、グロテスクがユーモアを上回り後味が悪い。『モンスターズ』もそうだったが、果たしてここまで執拗に見せる必要があるのかという疑問が残る。今回は新一が母の死を受け入れて独り立ちし、新たに寄生生物に戦いを挑むところで終わっているが、完結編でどう収拾をつけるのか。


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